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魔王少年の異世界物語  作者: 天之ヒガシ
学生ドラン
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第10話 精霊契約試練

 場所も知っていたので精霊の住処のある森までは余裕で着いた。あとはこの森の中の住処を探さなくてはならない。だがこの森には魔物もいるのでここから探すのはかなり面倒そうだ。しかし見つけないと始まらないのでドランは森に入っていった。道っぽいものがあったのでそれにそって進んでいくが森のでなかなか景色が変わらず苦戦する、今のところは魔物も出てきていない。


 「くそ、住処のある森だけ知っててもここからが大変じゃねぇか」


 一人で悪態を吐きながら進んでいるとなかなかでかい魔物が姿をあらわした。この大きさの魔物では能力で殴るだけで一撃で仕留めることは出来なさそうだ、動きを見るにかなり素早い。一撃で仕留めないと危ない程度に。しかしナイフはかばんの中それを取り出す時間はおそらくない、なら手段は一つ。


 「しゃーねー、逃げるか」


 能力を使い速攻で魔物の視界から外れ逃げていった。がかなりのスピードで追いかけてくる。なので本気でダッシュすることにした。本気で進むために思い切り踏み込み血を蹴ると、自分でも周りを視認出来ないくらいいっきに進み魔物からは逃げられた。そのかわり自分のいる場所も分からなくなってしまったが。


 「とりあえず短剣だけは腰に付けておくか」


 さっきのような事がまた起きたら面倒なので今のうちに腰に短剣を装備する。そのまま進みすぎた道を戻っていくが景色は同じなのでかなり苦戦する。もうめんどくさくなったので能力を使ってジャンプし上から見て住処を見つけられるか試して見る。


 「そりゃそんな簡単に見つけられないか、しょうがないから歩き回るしかないか」


 上から見たが結局なにも分からず分かったのはこの森は想像以上に広かったという事だけ……


 (いやおかしい、あんだけ高く飛んだのに全てが森とは、奥行きだけがそうならまだ納得するが横幅はそんなになかったはずだ。なにかの術か、精霊契約試練はもう始まってるっつう事かよ)


 精霊契約試練とは資格を持つものが受ける志を持ちながらこの森に入った途端スタートするものだった。故にさっき入った森と今いる森は別の場所、又は術により隔離されたかのどちらかだ。これは予想以上に精霊契約試練とは厄介なものなのかもしれない。

 その後数十分はヒントがないか道ではない場所にも入り探した。この広さでヒント無しだとするとそれは完全に運になってしまう。精霊契約試練とは完全な実力評価なのでヒントを探しゴールを見つけなければならない。そしてようやく1つ目のヒントを見つけた。そこに示されてたのは、


 『五、やつの示された箇所を刺せ』


 少なくともあと最低四つのヒントがあるので探してみることにする。その後も数十分歩き続ける。疲れはするが眠気や空腹にはならない。試練のための特別術式なのだろう、体力はそもままで睡眠や食事を必要としないのであれば体力が許す限り好きなだけ動き回れる。そしてようやく見つけた2つ目のヒントそれは、


 『二、蛇で輝きをつけ』


 さっきのと比べてこれだけじゃまるで意味が分からない。何で何を回すんだよ、これは後で考えるため保留としよう。これでは頭脳試練に感じるがもしかしたら聖霊契約を交わしたあとは精霊と共にならなければいけないので頭脳もそれなりに使うのだろうか、そう考えた。 次のヒントを探し始めようとしたとき陽気な声が森全体に響くように聞こえた、おそらく精霊の声か何かだろう。


 〈ぴーんぽーんぱーんぽーん、精霊放送のお時間です。この放送は試練者が2つのヒントを入手したことにより放送が開始されました。繰り返します、開始されました。〉


 いやそこは繰り返す必要ないだろと内心呆れながらツッコミをいれる。


 〈そして今、3つ目のヒントは私が直々に教えちゃまーす〉


 なんとも気前の良いやつだ。それかこれはそういう設定なのか? でもあのおちゃらけた感じの精霊はヒントをくれるらしいので聞くだけ聞こう。


 〈数字は番号では無いのだぞ〜! はっはーでは引き続き頑張りたまえ〜。 あっそれと〜精霊契約試練では、試練ライフと言うものがあってだねっ、それが0になると不合格となるんだ! そしてそのライフは3だぞ!〉


 ヒントを言った後大事な事をサラッと言ってきた。どうやら2回までならミスが許されるらしい。だがライフ3も与えられて大抵の者が試練失敗に終わるのだからかなりの難易度だと思われる。それにこの第一試練は精霊が楽しんでいるだけのように感じる。精霊とはみんなこうなのか? なら鬱陶しい限りだ。

 普通精霊試練の資格を獲得してすぐに試練に向かうものはいない、だいたいは念入りに精霊に関して調べ、役に立つような魔法や魔術を覚えてから挑むもの。それでも大抵は失敗に終わってしまう。それなのにドランは少しの調べだけで魔法も魔術も全く覚えてきてない。


 「くそったれ、慢心が過ぎたか、もう少し調べときゃ良かったな。まぁそれでも魔法や魔術には頼らねぇが」


 これからというものヒントやゴールを探し続けたが何も見つからない。あの三つのヒントだけでゴールを見つけるのは至難の業だ、今のところ何もわからない。少し休憩してまた歩き続ける。途中でかい岩があったのでそこに寄りかかりながら考えた。


 (あの三つのヒントだけじゃ何も分からないやけくそになって探しても見つからないだろうしどうしたものか、ヒントに蛇とか書いてたが魔物どころか生き物すら見当たんねぇけどそれに関しても探さなくちゃな。それとずっと景色が同じだしこの岩を基準として動くか)


 仕方がないのでまた立ち上がり基準とした岩に背を向け歩き出した。数十歩歩いた時にようやく気が付いた。あてずっぽうでヒントを探すんじゃ結局なにも変わらない。なら気になるもの全てを調べつくせば良い。その最初の標的はさっきの岩、今までずっと景色が変わらなかったのに急に岩なんて言う異物が出てきたのだから何かある。自分はそこを振り返り岩があるはずの場所に視線を飛ばした。が、そこにはあるはずの岩がなかった。念のため左右も確認したがどこにもない。やはり秘密があった。岩が動いたのか自分が転移したのか確認すべく足跡を確認し少しずつ戻っていきさっきまで座ってた場所を見るとしっかりと座った後が残っていた。間違いない、あの岩には何かある。何気なく触った岩にこんな秘密があったとは、もう少し早く気付くべきだった。

 その後ドランは久しぶりに魔術を使うことにした。魔術は記憶さえしていれば便利道具のようなもの。だから攻撃や防御魔術など戦闘魔術ではないものをいくつか覚えている。今から使う術は探知魔術、陣の真ん中に入れたものと同じものがどこにあるか、そのその物の一番近いものがどこにあるかを探知する魔術だ。近くの木の枝を折りその枝を使って地面に陣を描く。そして真ん中には自分の汗を入れた。詠唱を唱え自分の汗がついた岩がどこにあるかを探知した。そしたらようやく引っかかった。

 俺はそこに向かい再び岩を見つけることに成功、そして岩の表面全てをくまなく調べつくした。しかし何も見つからなかった。なので壊してみることにした。能力を使い岩に一発パンチをぶち込む。一発目はほぼ全体にひび割れが生じただろう。二発目をぶち込むとようやく岩が粉砕した、その中に入っていた物はひとつのヒントとナイフだった。やはりなにかあったなこの岩。岩を割る事が出来ない人ならここでリタイアしなければならなかったという事だ。資格をしにしたものなら大体が割れるとは思うがそれでもライフ関係なく失敗する場合もあるという事を覚えておこう。そして書いてあったヒントだが、


 『南に向かえ、そこでもう一つの物が役に立つ』


 ここから南に向かえばナイフが役に立つとのこと。行かない理由がないのでさっそく向かった。 10分程度歩いたところに魔法陣を見つけた。そこから何かでてきた、蛇の魔物だ。 その蛇をよく見たら色々な模様が体に描いている。◎、☆、△、◇、金に光ってる〇、光ってる模様だけは凄い目立っているが示している場所をさっき出たナイフで刺せばいいのだろうか。そう考えて金に光ってた〇をナイフで刺した。その瞬間視界が白に染まった。そして精霊の声が聞こえてきた。


 〈ざんねぇ~ん、残りライフ2! ミスにより5分程時間が巻き戻りまぁす〉


 失敗した? 死んだのか? それともあいつは倒しちゃいけない? それか刺してはいけない場所を刺してしまった? 分からないが失敗はあと一回しか許されない。


 視界が元に戻ると森の中に突っ立っていた。視界が白に染まっている時精霊が5分ほど戻ると言っていたので恐らく今はさっきの蛇の場所に向かっている。今のうちに考えよう何をミスしたのか、蛇を刺すのは絶対として金の〇は刺してはいけない。ならどこを刺せばいいのか。まだ見つけてないヒントがなにか示していたのか、だがヒントはいくつあるのだろうか、一個目と二個目に見つけたヒントには二と五という番号が書かれていたが精霊がくれたヒントと岩に入ってたヒントには番号が振られてなかった。そうするとヒントはいくつあるのかなんてわかったモンではない。どうせならヒントの数とすべてのヒントに番号をふr……


 「そっか、精霊のヒント」


 素直になりすぎてた。試練の精霊は性格が悪い、なら素直に考えちゃいけなかったかもな。気が付いた俺はすぐさま蛇に向かい、そして刺した。☆マークの場所をナイフで。そしたら次は視界ではなく蛇が白い光を放ち変形していく。そして光が消え残ったのは何か変な模様が付いた槍のようなもの。模様が気持ち悪すぎて正直触りたくない。だがこれは攻略に必要だ。蛇でつくとは蛇が変形した槍でつくという事だろう。あとは輝きと示されていた場所を見つけるだけだ。だがそれを見つけるのは苦労しそう。と思ったが輝きなら空から見れば一発だろう。そう思い思い切りジャンプをしたら小さいがしっかりと輝いている木を一本見つけた。俺は着地しすぐにその木の方向に向かった。そこには木に小さい魔法陣が描かれてあった。俺はそこを槍で()()ついた。すると気が破裂するようにはじけ飛び地下への階段が現れた。


 「ようやく第一試練クリアと言ったところか」


 今回の試練のヒントで一番大事だったのは精霊が言っていた”数字は番号ではない”というもの。それは最初の二つのヒントを見つけた時の二と五を勝手にヒントの順番や番号と認識していた、その数字は番号ではないのならなにか、その数字もヒントの一角、五は五角形、つまり☆。そして二は簡単、二回つくと言う事。

 俺は階段を下りていき大きな部屋に着いた。そこにはゴーレムが一体いた。


 〈は~い、そのゴーレムの体力ゲージを0にすれば第二試練クリアだよ~。壊れることはほとんどないので安心して攻撃しちゃっていいよ!〉


 そう言われると壊したくなってしまう。少し調整して性格の悪い精霊に嫌がらせをしてやろう。ゴーレムの動きは遅い、攻撃を入れるのは簡単だが堅そうだ。そしてもう一つ、これは俺が勝手に決めたことだが壊れる前にゲージが0になっては欲しくない。あのゴーレムを壊すのは簡単な事ではないが頑張って調整してぶっ壊してやろう。

 第二試練が始まったので硬さを確かめるべく軽く一発殴った、なかなか硬かったので大変なミッションになりそうだ。まずは全体にひびを入れていく、ゴーレムの四肢や胴体のあたりを全体的に少しずつ中にもひびを入れていく。今の体力ゲージは四分の三ほどだ、意外と勝つだけなら楽そうだ。 ひびを入れた後は表面のコーティングを脆くし少しずつ削り落としていく。コーティングを剥がす程度じゃ体力は減らないらしい。ゴーレムの攻撃はほとんどが魔法だ、時々物理的に蹴りや殴りを入れてくるがそれは簡単に避けられる。だが俺の作業はかなり妨害されるので鬱陶しいがそれは我慢するしかない。攻撃を避けつつ少しずつ衝撃を与えていく、その衝撃が先ほど入れたひびを広げていった。30分程ゴーレムの攻撃を避けながら少しずつひびを広げていった、そろそろ体力ゲージが0になる所で一度離れ、もう一度思い切り踏み込んだ。そのままゴーレムの胴体に強烈な一撃を与えた。そのままゴーレムは完全に吹っ飛ばされ体力ゲージが0になったがゴーレムは壊れなかった。 むかついた俺は終了の合図が鳴っている間知らないふりをしながらもう一度胴体を殴りつけた。そこで粉砕とまではいかなかったがいくつかに割ることは出来た。


 〈ちょちょちょ、ちょ、何やってるのぉっっっ!!!!!!! アタシのゴーレムが……壊れるなんてぇ!!!!!!!〉


 ゴーレムが壊されたことで慌てた精霊が文句を言ってきた。


 「ストレス発散だ、気にするな」


 〈気にするよ! ストレス発散で大事なゴーレムを壊さないでよぉぉぉっっっ!!!!!!〉


 「そんなことは良い。さっさと次の試練をさせろ」


 〈あぁぁむかつくぅ、けど次の試練開始するわよさっさと隣の部屋に移動してねぇ〉


 なかなか感情豊かな精霊だった、ただうざいだけではなかったようだな。その精霊に言われた通りに隣の部屋に移動した。扉をあけたら強い光が俺の意識を持っていこうとする。これは試練だと思って意識を手放した。 しかし意識が完全に落ちる前にかすかに聞こえた。


 「クリア条件は、克服と昔の恋」

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