5.真夜中に現れし美少女
夕食を食べ終わったあと宿題をして風呂に入り、今日する
ことは終えた。ベッドの上でゴロゴロしながらテレビを観ていると
『最近家に不法侵入して金品を盗む事件が多いですよね
ー』
と人気アイドルグループの子が発言した。
さっきまでぼけーーーっとしながらテレビを観ていたが不
法侵入という言葉が聞こえて「はっ…!?」と意識が覚醒し
た。
すると専門家のような人が話し始める。
『鍵を掛けていたら安全だとは思ってはいけません。ほんの
少しの工夫と技術を身につけてしまえば鍵なんて簡単に開け
てしまいます』
そう言ったあと専門家の人が実際に鍵を開けて見せると言
い始めスタジオに家を再現した道具が持ってこられた。さす
がに鍵を開けているところは放送されなかったがほんの1分
程度で閉ざされたドアの鍵を開けてしまった。
俺はその様子を観て鳥肌がたった。
俺の部屋に入った人もこの専門家の人のように簡単に入っ
てきてしまうのだろうか。
少し怖いなと思いながらもふと時計を見るとちょうど0時
をさしていた。
「そろそろ寝るか…」
テレビと部屋の明かりを消して布団をかぶった。
◇
「眠れない…」
せっかく頭からあの紙袋のことが離れていったのにテレビ
のせいでさらに恐怖が盛られて帰ってきた。
それに手紙の内容も気になり始めてますます眠れなくなっ
てしまった。
時計を見る。
(もう2時なのか…2時間目を瞑っていても眠れないなんて重
症だぞ…)
全然眠れないためスマホで眠る方法を調べようとしたとき
だった。
ガチャガチャ
と音が聞こえてくる。
(ん…なんの音だ…?)
俺は疑問に思いながら耳をすます。
(あれ……ちょっと待て…この音俺の部屋のドアからして
ね!?)
割と近くから聞こえるこの音は間違いなく俺の部屋のドア
の鍵を開けている音だ。
(嘘だろ!?来るとしてもパンツ送ってきてこんなすぐに来
るとは流石に思わないよ!!)
いや待て落ち着くんだ。もしかしたらパンツの人とは違う
危ない人かも…いやそれもっと嫌だよ!!あっそうだ…!も
しかしたら両隣さんのどちらかが自分の部屋と間違えて鍵を
開けようとしているのかもしれない。
そうだそうに違いない。
あっ、でも俺の両隣誰も住んでないーーーーー。
ガチャッ
(ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!!!!)
明らかに鍵が開いたような音が響いた。
そしてギーーーーとドアが開く音がする。
(まじか…あっ靴を脱いでる音がする。
あっ意外と普通な人…なわけねえだろ俺!!人のパンツ盗んで「おいしかったです」という手紙とともに返してきた変態だぞ!?)
ドアノブに手をかける音がする。
とっさに寝たフリをしたがどうやら勉強部屋のほうに入っ
たらしい。
俺はベッドから立ち上がり壁に耳をあてる。
[はあ…はあ…はあ…]
やけに息が荒いように聞こえるが俺の男としての本能が察
した。
(これは…ただ疲れたときの息荒れなんかじゃない…興奮し
ているときの息荒れだ…!!)
何がとは言わないがちょっと良い動画をみたとき女性がこ
んな息をしていた…。何がとは言わないが。
(しかしこの音は女性だな…完璧にヤバイ人だな…)
すると勉強部屋から何か引き出しを開ける音がする。
(引き出し…勉強部屋に置いてある引き出しのもの…タンス
じゃないか!?)
[スー…ハー…スー…ハー…スー…ハー…スー…ハー…スー…ハー…スー…ハー…]
(いや何回スーハーしてるの!?そして俺の何をスーハーし
てるんだ!!)
ドアが開く音がする。
(やべえこっちくる!?)
音を絶たないよう気をつけながら俺はベットに戻ろうとす
るが動きを止める。
(違うだろ俺…捕まえると心の中で意気込んでたしゃないか…勇気を振り絞るんだ!!)
俺はドアノブを手をかけためらうことなく開いた。
するとそこにいたのは1人の少女。
誰が予想できただろうか…そしてどうしてここにいるんだ。
「な…七宮さん…?」
「桜田くん…」
俺のパンツとTシャツを大事そうに抱きしめていた七宮さ
んがそこにいた。
『誰が予想できただろうか…』
作者)これを読んでくれている人たちはみんな
普通に予想してただろうな〜。
と考えながら書いてました。