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3.いかがわしいことなんか思ってないよ!

 今日の授業は七宮さんにドキドキさせられることが多かっ

た。

 昨日までは普通に会話していただけなのに今日は付き合っ

たばかりのカップルのような雰囲気になっていた。

 その様子を見ていたクラスの男子連中からの殺意のこもっ

た視線にビクビクする。

 あの普段真面目そうな顔から見せてくる少し頬が赤くなっ

た小悪魔のギャップの誘惑は俺の理性を壊しにかかっていた。授業中に自分に向けられていなくても急に倒れだす男子もいるぐらいだ。

 しかし俺はそこらの狼のように襲いはしない。

 桜田伊月は紳士でなくてはいけない。


「HRは以上だ。解散」


 そう先生は言い残し教室を出て行った。厳しい先生がいな

くなり教室が活気で溢れる。

 そしてみんな急いで部活へと向かっていく。

 どの部活も総体が近いため気合が入っている。

 神崎高校は部活動が県内でもトップクラス高校のためプラ

イドがあり結果を残そうと頑張っている。

 俺は帰宅部なのであとは帰宅するだけだ。

 俺以外のクラスメイトは部活に入っているため教室はだん

だんと人気がなくなりつつある。

 俺は急ぐ必要もないためゆっくり荷物の整理をする。


「じーーーーーっ」

「……七宮さん部活行かなくてもいいの?」


 ずっと向けられていた視線に耐えきれず俺は七宮さんに尋

ねる。


「文化部だから大会もないし急ぐ必要ないかなーって」

「家庭科部って大会じゃなくても展覧会とかはないの?」

「えっ…わたしの部活覚えててくれたの?1年生のときは同じクラスじゃなかったのに」


 驚いた様子の七宮さん。そりゃあ知っていますとも。

クラスは違っても同じクラスの男子が七宮さんのことについ

て毎日欠かさず話しをしていた。

 その話していた内容の1つが七宮さんの嫁力だ。

 家庭科部は料理や手芸をするのが主な活動内容、そして文

化祭のときには実際に手芸で作ったものを販売したり、料理

を振る舞ったりしていた。

 手芸の方は七宮さんの作ったものは販売開始とほぼ同時に

売り切れた。料理の方では店を開いていた教室の前に長蛇の

列ができていた。

 七宮さん自身の人気もあるがどちらもプロ顔負けの実力を

持っていた。

  容姿、性格が共に良く、文武両道で料理や手芸もでき

る。そんな完璧な七宮さんと付き合う…いや…結婚したいと

いう男子は多くいた。

  

「そりゃあ七宮さんは有名だからね」

「えっわたしって何て言われてるの!?」


 まさか本人が自分のことを有名だと気づいてないとは。こ

れだけみんなに言われているのに。

  

「かわいいなって」


 すると七宮さんは顔を赤くし少しモジモジとし始めた。

 こういう少しの恥じらいの行動だけでこうも可愛く見えて

しまうのか。

 七宮さんを世界中の人が見てたらもう争いなんて起こらな

いのでは?と思ってしまった。

  

「桜田くんもわたしのこと…かわいいって思う?」


 上目遣いからのこのセリフは俺の胸をまたドキドキさせら

れる。

  

「お、俺も思ってるよ」

 

 恥ずかしながらも俺も本心を言う。しかしそんな俺よりも

目の前で恥ずかしがっている七宮さん。そんな態度されたら

勘違いしてしまいそうになる。


「わたしに興味があったりする?」


 つい七宮さんを見ているのが恥ずかしくなって下にうつむ

いていたが無理やりにでも俺の視界に入ってくる。

 世界史の授業の時とは違い椅子という2人を分ける境目が

ないためより近くなり俺に身体を預けるように寄り添ってく

る。柔らかい七宮さんの胸が俺の身体に当たっている。

  

 (今日の七宮さんどうしたんだ!?なんか大胆というか…

何かあったのか?)


 年齢=彼女のいない歴で童貞の俺には刺激が強すぎる

っ…!


「きょ、興味は確かにあるけど決していかがわしいことなん

か考えてないよ!!」


 そう言うと七宮さんはさっきまでの恥ずかしがっている顔

から一変、固まってしまった。


「えっ…?」

「えっ…どうしたの?」

「いかがわしいこと考えていないの?」

「う、うん」

「少しも?」

「少しも」


 突然七宮さんは膝から崩れ落ちた。

  

「七宮さん大丈夫!?」


 まるで魂が抜け落ちたようになった七宮さんはどこか落ち

込んでいるように見えたかと思うと突然立ち上がり「桜田く

んのばかーーー!」と言いながら走り去ってしまった。


「えっなんで!?」


 いかがわしいことは考えていないと安心させるつもりで言ったのに…。女子の気持ちはよくわからない。

  


  



  

  

  

  

  

  

  


  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

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