15.一緒に帰らない?
3,000ポイントありがとうございます!
宵月があれからも懲りずにイタズラをし続けてきたためまったくプリントが進まなかった。まあでも期限に余裕があるから今回は許すことしよう。
部活動連中もとっくに帰っている時間帯のため学校は静まり返っていた。時計を見ると最終下校時間ギリギリだ。靴箱で宵月と別れたあと靴を履き替えて門を出た。すると、人影のようなものが見えた。始めは宵月かと思ったがもう一度見返すと違った。
「薫何してるんだ?」
門の前にあるちょっとした広場の端に棒立ちしていたため
後ろから軽く頭を叩いた。
「うわっ!?ちょっと伊月驚かさないでよ!?」
「驚いてるのは俺の方だよ。なんでまだいるんだよ。部活とっくに終わってるだろ?」
「今日はその…いつもより部活が長引いたの…」
それは嘘だ。図書室の窓からは門が見える。宵月とプリントを書いていたときに「テニス部の人たち帰ってますねー」「そうだなー」という会話をした。しかし、おどおどしている薫を見て何か理由があるのだと思い騙されることにしよう。
「そっか。じゃあ気をつけて帰れよ」
「えっ、ちょっと待って!」
俺が歩き出すと右手を握られる。
「えっと…その……一緒に帰らない?」
顔を赤くし、恥ずかしそうにううむいている。その姿に不覚にも俺はドキッとしてしまう。
「いや…その…買い物しようと思ってるんだけどいい?」
「うん…わたしも食材買おうと思ってたから…」
いつもと違う女の子らしい薫に心が落ち着かなかった。
◇
「なんかこの感じ久しぶりだな」
「うん、昔を思い出す」
小学生までは登下校どちらも一緒だったが、中学生になってからは薫はテニス部に入り、俺は帰宅部だったため一緒に帰ることはなかった。
「ここのスーパーよろ」
「うん、わかった」
「……お前今日どうしたんだ?テニスで頭にボールでもぶつけられたのか?女子みたいだぞ?」
「…誰が女子みたいだってぇ?わたしは正真正銘の女子よ!」
背中に担いでいたラケットを取り出しいつも以上の威力で後頭部を叩かれ、首がもげそうになった。
◇
「わたし買いたい物揃ったけど伊月は?」
「俺も揃ったよ」
薫と一緒に店を回りながら自分の欲しいものをカゴに入れていった。
「じゃあレジに行ーーーー伊月…それ…」
さっきまで笑顔だった薫の顔が曇る。俺のカゴに入ってあるテーピングを見ている。上に他のものを乗せて隠していたが見つかってしまった。
「やっぱりまだ足痛いの?」
「いや全然痛くねえよ。これは強大な力がある俺の右手を封印するためにあるんだ」
「そっか…その年でそのセリフはないわー」
「かっこいいだろ」
俺の答えに少し不満そうな薫ではあったが明るい表情に戻ってくれた。
「そうだ伊月今日晩ご飯食べてかない?」
「あー久しぶりに外食も悪くないかもな」
「違う、わたしの家で」
「えっ!?」
リアルが忙しくなってきたので週3、4投稿に変更します。