QUEST6 ホロ総合学園体育祭(前編)
オウカは私とアイレクスに「今度、ホロ総合学園で学校っぽいイベントがあるの。」と教えた。それを聞いた私とアイレクスはメニューから「お知らせ」を開き、それらしきイベントを探した。
すると、私の目にあるワードが入り、「この時期に体育祭?」と思いながら詳細を見るとオウカが言っていたイベントはこれの事だろうと私は確信した。
アイレクスも「へぇー、この時期にやるんだ。僕の従兄が住んでる地域みたいだね。」と発言し、私は「そういう地域もあるんだ。」と安心した。アイレクスは「もうそろそろお開きにしようか。僕、明日に出演作品のトークイベントがあるから前乗りのためにホテルを予約してるんだ。」と私たちに伝えてログアウトした。私も「それじゃあ今日はこの辺で失礼するね。」とオウカに伝えてログアウトした。
公式サイトを開いた私は体育祭の情報を見つけ、ルール説明に目を通す。内容はチーム戦で、参加者には赤、白、青、黄、緑、桃、橙、紫、紺の9色のうちどれか1色の鉢巻きが与えられ、同じ色の鉢巻きを装備している人同士でチームを組み、各チームのポイントで争われる。
他校生である自分たちは参加できるのか気になり、画面をスクロールすると、「他校生も参加可能」と書かれており、私は「他校生も参加できる体育祭って現実じゃないから可能な所だよねー。」と一人呟く。
それを偶然樹が聞いていたらしく、部屋の外から「姉貴?一人で何言ってるの?」と聞こえてきた。私はそれに対して「聞かなかったことにして!」と言った。
それから数日後、アイレクスと合流した私は会場へと向かい、オウカを探したが姿が無い。一応フレンドリストを見たからログインしていることは分かっている。まだ到着していないのだと思った私とアイレクスは校門前で受け取った鉢巻きを装備した。因みに鉢巻きの色は私のものが黄色でアイレクスのものが紺色だ。
私がまず最初に60m走を、アイレクスがレザーボール投げを行い、それぞれのチームに得点を入れる。普段は仲間だが今回はそれに加え敵でもある、ここは黄色チームと紺色チームが両方とも上位に来るように頑張ることにした。
二人で得点を確認しにスコアボードへ向かうと「あっ、やっと会えた。」と聞き覚えのある声が聞こえてきて、振り向くとそこには臍が露出しているデザインのチアリーダーの服を着たオウカの姿があった。彼女の姿を見ることができなかったのはチア部隊以外の立ち入りができない場所にいたからだと本人の口から告げられた。
オウカがどのチームなのか気になって彼女の頭部を見ると紺色の鉢巻きが装備されていた。即ちオウカはアイレクスと同じチームなので私は2人と敵対する事になった。アイレクスは私に対して「残念だったね、ヒジリ。だけど僕はヒジリたちと一緒に上位へ入ろうと思ってるんだ。だからお互い頑張ろうね。」と言葉を投げかけた。
向こうも同じ事を考えていると知り私は少しばかり嬉しくなった。こうなっては醜態を晒していられないと思い、自信のある60m走でポイントを稼ぐことにした私はスタートポジションに位置する。
すると、横にいた紫チームのヒューマンが「この勝負、勝たせてもらうぜ・・・ヒャハハ。」と気味悪そうに言った。絶対何かあると思っていると「位置について、」と合図が聞こえ、「よーい。」の後に銃声が響いて私たちは走り出した。
開始3秒で追い抜こうとすると相手が突然攻撃スキルを使ってきた。それでも根気よく追い抜こうとするとまたもや攻撃スキルを使ってきた。しかも今度は足首に命中したため私は足止めをされた。結果として私はあまりよくない結果で終わったが例の男性アバターは観客の顰蹙を買ったようで「てめえこの野郎!」やら「ざけんじゃねえぞこの卑怯者!」といった罵声を浴びせられていた。私はそれを見て自業自得だと思いその場を後にした。
そして「只今の試合、紫チームの妨害がありましたので、紫チームを失格にします。」とアナウンスが流れ、観客席からは「ざまあ見やがれ!」やら「女の子にそんな事するからこうなるんだよ。分かったかこの野郎!」と野次が飛んだ。そんな中、アイレクスが飛んできて「ヒジリ、大丈夫だったの?」と心配そうに聞いてきた。
私は「ポーションも飲んだし相手も相応の罰を受けたから結果オーライじゃない?」と言い、アイレクスも「まあ、ヒジリがそう思うんだったらいいけど。」と納得した。
現時点で行われている競技をある程度周回し、得点を見に行くためスコアボードへ向かう途中、赤チームの観客席から男性アバターが出て来て私を呼び止めた。すると、その男性アバターは「さっき君を妨害したやつの情報を教えるよ。」と言い、「あいつの名前はマヒロ、モンスターの情報を教えるいいやつだと思わせて実は嘘の情報を教えるわそれで抗議した奴を殺すわ女性アバターに対して粗相や嫌がらせをするわというプレイヤーの風上にも置けないクズだよ。」とマヒロを非難した。
改めてスコアボードを見ると、先ほどのペナルティが災いしているのか紫チームが最下位となっていた。そしてその近くでは罵言雑言が響いていた。近づくと、マヒロが紫チームのメンバーに「お前のせいだぞ!」やら「あの妨害さえ無ければこんな事にはならなかったんだぞ、詫びろ!」と罵られながら攻撃されていた。それを見ていると紫チームのうちの1人が私を見つけて「丁度良かった。お前、あいつに妨害されてただろ、お前が止めを刺せばいいんじゃねえか。」とマヒロに止めを刺す提案をした。
私は承知し、マヒロのこめかみに銃口を突きつけ、「謝る、謝るから命だけは!」と命乞いをされるも引き金を引いた。それを見た他の人たちは「こいつを敵に回しちゃいけないな。」やら「まあ、あのクズに相応しい最期だったな。」といった発言をした。
私が所属する黄色チームは現在4位で、3位の赤チームとの得点差は僅かだ。そして、5位の緑チームとは差が開いているため大勢で来ない限り抜かれることはあまりない。そう考えた私はいったんログアウトした。
あの噂が本当なのかどうかを調べるため「学園大戦 迷惑プレイヤー」と検索し、掲示板を開くと、女性プレイヤーに対してチャットでセクハラをする輩やモンスターの狩場で他のプレイヤーに対して通せんぼしてゴルダを支払うまで通さず、無理矢理通ろうとするとその人を攻撃してデスペナルティに追い込んだりする輩がいて少しスクロールするとマヒロの名前とこれまで彼が行ってきた悪事が書かれていた。その内容は私が聞いた話通りだったため、私は「そりゃあんな事になるな。」と納得した。
翌日、また翌日と参加して、私たち黄色チームは3位に上がっていた。そして、新種目が実装され、私はそれに挑戦するのであった・・・
廿楽です。
だいぶお待たせしてしまいました。