QUEST5 孤独なオーガ
ゲームにログインした私はアイレクスとオウカがログインしているかどうか確認するためフレンドリストを開くと2人ともログインしていなかった。私は「あらら、2人ともログインしていないのか・・・クエストでも受けるかー。」と仕方なくボルティア学園へ向かった。
掲示板を見ると街のものほどではないが様々なクエストがあった。私は「これにしようかな。」とポスターのうちの1つに手を伸ばした。すると、別の人の手が伸びてきて私の手と接触した。
手が伸びてきた方を見るとオーガと思われる女性アバターの姿があった。お互い目を合わせ
「どうする?」
「できればこのクエストを受けたいんですけど。」
「じゃあ2人で受けよう。」
「仕方ありませんね。」と話し合った結果、一緒にクエストを受けることになったがオーガの人は何か不満げだった。
パーティーを組んだ私たちはフレイ学園の生徒が殴り込んでいるというクレセント学館へと向かった。
私たちが到着した時には既に犠牲者が出ていた。とりあえず近くにいた人から話を聞くとその人は「フ・・・レイ学園の野・・・郎が突・・・然やって来・・・て、校舎・・・へ向かった。」と説明した。別の人は「あいつらは・・・蛮族だ。」と口にした。
私は「ジュリか・・・一体どんな協力のやり方をするんだろう・・・」と思いながらとりあえず校舎へと向かい、教室の扉が壊されていたり壁に穴が開いていたり床が血で汚れているといった惨劇を目にしながらも武装してフレイ学園の生徒を探す。
すると、フレイ学園の生徒がクレセント学館の生徒を殴っている所を目撃した。私が止めようとするとジュリが前に出て2人を引き離し、フレイ学園の生徒にジャイアントスイングをした。私は巻き込まれないように遠ざかり、生徒が投げ飛ばされたら撃つためにある程度近づこうとした。
だが、ジュリが「下がって。」と言い、投げ飛ばされた生徒の体を起こして今度は一本背負いを決めた。
このような戦いが何度も続き、流石に痺れを切らした私は「これじゃあパーティーを組んだ意味ないじゃん。もっと協力してやらないと駄目だと思うよ。」と抗議したが向こうは「協力する事にどんなメリットがあると言うのですか。私は私の思う通りにします。」と聞く耳持たずだった。
その後も先程と同じ戦い方が続いた所為で2人の間に溝ができてしまった。そして、あと4人倒せばクエストクリアとなり校舎の一番奥に辿り着くと残りの4人が集団になって襲い掛かってきた。ジュリはまたもや単独で殴り掛かり仲間意識を軽視するような戦い方をした。そして、他の3人に背後から攻撃されていた。私はそのうちの1人の後頭部に銃口を突きつけ引き金を引いた。
ジュリは私に「余計な真似しないで下さい。」と言ったが私はジュリに平手打ちをして「ふざけないで!今このクエストを受けているのは貴方だけじゃないんだよ!少しは協力してよ!」と胸ぐらを掴みながら怒鳴った。
すると向こうは「それが何なんですか?パーティーとか組んでも仲間が目障りなだけですが?」と悪びれもせず吐き捨てた。
これは流石に我慢できず平手打ちを当てた方とは逆側の頬にストレートを入れた。
そして、殴り合いになり罵言雑言が飛び交っていると「ちょっと、2人とも喧嘩は止めてよ。」とどこかで聞いたことのある声が聞こえてきた。振り向くと、アイレクスが私を抑えていた。
オウカもその場にいて、「クエスト中に喧嘩は駄目だよ。」と私たち2人を諫め、アイレクスも「そうそう、パーティーを組んだからには仲良くしなきゃ。」とオウカに賛同し、「みんな、こいつらを倒すよ。」と私たちに呼び掛けた。
私とアイレクス、そしてオウカはそれぞれ得意とする距離に立ち、それぞれ攻撃を行う。そして、最後の1人を倒したことでクエストクリアとなり、報酬の2万ゴルダと経験値を獲得した。
パーティーを解散し、別れ際に「確かジュリだっけ?是非『叡智の白百合』に入って、お願い!」とジュリにギルドに入るよう懇願した。だが、ジュリは「遠慮しておきます。私はソロプレイを愛する一匹狼ですから。ですが・・・」と断り、私が「えっ、ですが?」とその発言に疑問を抱くと「貴方となら、パーティーを組んでいいかもしれません。」と考えを改めたかのように言った。私は「あんな酷いこと言ってごめんね。」と謝罪すると向こうも「いえ、私があんな行動をとったのが仲間割れの原因ですし。」と言い、和解できた。
翌日、オウカとアイレクスに「昨日、私と一緒にパーティーを組んでたオーガなんだけど・・・」と話すと「どうなったの?もしかして僕たちの所に?」とアイレクスが聞いて来て、私は「残念だけど、断られちゃった。」と答えた。オウカはそれを聞いて「あちゃー、それは残念だったね。」と私に向かって慰めるように言った。そして、「実はもうすぐあたしがこのゲーム内で所属しているホロ総合学園で学校っぽいイベントがあるの。」と楽し気に話し始めた。
それが気になった私とアイレクスはメニューから「お知らせ」を開き、それらしきものを探すのであった・・・
廿楽です。
今回は初めてヒジリが怒りの感情を露わにしました。これに声が吹き込まれたら迫力あるものになるでしょうね。