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アカデミック・ウォー  作者: 廿楽
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QUEST2 アイドルはマーメイド

 「いやー、まさかこんなに貰えるなんて思わなかったよ。」とアイレクスは報酬の15000ゴルダが入った袋を見つめて言う。私も「これさえあれば少し良さげな武器と防具一式が買えるしね。」とこれからゲーム内でやっていくための使い道を口にする。それを聞いたアイレクスは「それじゃあ明日武器と防具を買いに行こうよ。」と提案した。それに対して私は「うん。私はまだ初期装備のままだから買っておかないといけないからね。約束だよ。」と約束を取り付けた。アイレクスも「じゃあ僕はこれでログアウトするよ。明日の約束、すっぽかさないでよね。」と私に対して言った。

 ログアウトしてVR機器を外した私は「このゲーム案外楽しいし熱中しそうかもしれないなぁ。」と思いにふける。そして「アイレクスかぁ、リアルで一度会ってみたいな。」と思っていることを口にする。スマホでSNSを見ていると声優の(ひいらぎ) 沙夜(さよ)が「学園大戦で初心者とフレンド登録」とツイートしていた。写真が無いのでその「初心者」とやらが誰かは分からない。そこでリプライを見ると「そうなんだ」やら「その初心者って誰?」といったものだったが後者に対しては「うーん、それは言えないね」と返していたため私であるか否かは分からない。

 だが、「一体誰なんだろ・・・私の可能性もあるし・・・」と推測していると部屋のドアをノックする音が聞こえ、「姉貴、ワッフル買って帰ったけど一緒にどう?」と妹の(いつき)の声がした。その呼びかけに私は「うん、ありがとう、樹。」と返事をしてキッチンへと向かった。

 キッチンで樹が買って帰ったワッフルを食していると樹が「そういや姉貴、朝からどこに行ってたの?」と私に聞き、私は「今大人気の『学園大戦』っていうVRのゲームあるでしょ、」と言い、樹は「それで?」と聞き返し、私は「実は・・・」と言った。すると、樹が「もしかして姉貴、買ったの!?凄いよ。あれ、発売してからずっと品薄状態でしょ。しかもネットオークションで高額で転売されてたし。」と興奮したように言う。その言葉に私は「そうでしょ。ちゃんとパソコンショップで買ったんだよ。」と自慢げに言うと樹は「私もやりたいな・・・」と呟いた。

 翌日の夕方、ログインした私は「こっちこっち。」と呼びかけて来たアイレクスと合流し武器屋へと向かう。そこで複数ある拳銃から性能と値段を見て一番バランスのいい「WT-003」を購入し、4000ゴルダを支払って店を出た。その後、「ついでに隣の防具屋で防具を買わなきゃ・・・」という感じで入店した防具屋にて拳銃の時と同じような選び方で「宵闇の服」を購入して2500ゴルダを支払った。

 その後、スキルを会得し、近くの洞窟でスキルの試し撃ちを行ってから町の茶屋へ赴くと「何かホロ総合学園に可愛いアイドルがいるらしいぜ。」という情報が私たちの隣の席に座っている人から聞こえてきた。私は「どうする?」とアイレクスに尋ねると「とりあえず話を聞いてみようか」と答えられ、私は「何の話してたんですか?」と聞くとその人は「ああ、ホロ総合学園にいるアイドルの話をしてたんだ。興味あるか?」と言い、私は「是非聞かせてください。」とお願いした。

 男性は「そのアイドルなんだが所属は話を聞いてたから分かるよな。んで、そいつの名前と種族なんだが名前はオウカ、種族はマーメイドだ。会いたいならホロ総合学園へ行けばいいぜ。」と私とアイレクスに情報を寄越した。私は「ありがとうございます。」と告げ、アイレクスに「ねえ、お菓子食べ終わったら行こうよ。」と呼びかけ、「うん、ヒジリはまだ知らないだろうからそうしよう。」と返事をもらった。

 お菓子を食べ終わり、私とアイレクスは男性から「ライブのチケット余ってるからお前らに譲るよ。」と貰ったチケットをバッグに入れ、「アイドルのオウカかぁ、いったいどんな子なんだろ。」と想像しながらホロ総合学園への道を行く。

 その道中、ゴブリンの集団に襲撃されている男女の3人組を発見した。メンバー唯一の男性が「ふざけるな、お前らに構っている暇は無いんだ」とゴブリンのうちの2体を相手にしているため手が離せない中女性2人はゴブリンに「お前が持っているその荷物を寄越しな。」と荷物を奪われそうになって「やめてください。この中には大切なものが入っているんです。」と抵抗している。それを見た私たちはそれぞれ自分の武器を構えて

「行くよ。」

「うん」

と私の銃による射撃とアイレクスの刀による斬撃で応戦し一体一体確実に倒していく。そしてリーダーと思われるゴブリンを私が先ほど会得した「クロートラップ」を発動させ、その後「フットバレット」でとどめを刺した。

 男女3人組に「ありがとうございます。もしかして貴方たちもオウカちゃんのライブに?」と言われたので私は「そうだよ。」と返した。すると男女3人組は「そうなんですね。一緒に行きましょう。」と私たちを誘った。

 チケットに書かれていた会場であるホールに着いた私たちは空いていた場所に立ち、ライブ開始時刻を待つ。数分後、開始時刻になると照明が消え、ステージのスポットライトが点灯した。そして、「みんなー、今日はあたしのライブに来てくれてありがとー!」とステージの方から可愛い女の子の声がした。私たちが立っている場所では残念ながらよく見えないが歓声に混じって「オウカちゃん今日も可愛いよー!」やら「人魚としての姿を見たいから海行こうよー!」といった声が聞こえてきたうえにオウカはその声に対して「えへへ、ありがとー。」と返していたのでかなり可愛いくて魅力的なのだろう。

 そんな彼女のライブは4曲分続いた。最後の曲が終わった後にここに向かう道中に出会った男女3人組のうちの唯一の男性が立ち去って行き、私は「どこに行くんですか?」と聞くとその男性は「これから待ち構えに行くんだよ。」と言ってホールを後にしようとした。

 私とアイレクスは後をつけ、人が集まっている場所で待っていると扉が開きそこからオウカが出てきた。すると、みんな揃いにも揃って「今回のライブ良かったよー!」といったコメントをオウカに訴えかける。オウカはアイレクスを見つけるとこちらに近寄って行き、「来てくれてたんですね。リアルではないけどお会い出来て光栄です。」とアイレクスの手を握って言った。そして、「ちょっと人のいないところで話しましょうか。あっ、そちらの方も是非。」と私とアイレクスを人気の少ない所へ誘導した。

 私たち3人が人気のない所へ向かおうとしたらファンたちが付いて行こうとしたが妨害されパニックになったのは言うまでもなかった。それを切り抜けて校舎の屋上にあるテラスらしき場所へと向かい、テーブルを囲んでオウカが私にフレンド申請を出し、私が承諾するとフレンドトークの状態で

「2人って知り合い?」

「実はあたし、リアルのアイレクスさんのファンなの。」

「ごめんねヒジリ、僕、リアルでは芸能人だから正体明かせられないんだ。もし明かしちゃったらファンが次々とフレンド申請出してきて後々面倒になるんだ。」

「そうなんだ、でも、絶対言わないから正体教えて、アイレクス。」

「でも教えられないものは教えられないよ。」

といった会話の後、オウカは「そうだ、ギルドを組みませんか?」と提案したのだった・・・

 廿楽です。

 今回は新キャラが登場しました。これから話が進むにつれ魅力が分かると思います。

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