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記憶を失くした最弱勇者の物語...IF  作者: 田中 カース
4/5

Three 変わってしまった物

主人公の名前は...

正直に申し上げますと、まだ出てきません。

きほんてきに[僕]か[勇者]で表現されることが多いです。

ごりょーしょーください。

 僕は男と少しずつ距離を詰めていく。

 この男を絶対に殺さなければいけないからだ。

 今殺さなければ、僕以外にも犠牲者が出るかもしれない。

 そんな気持ちがあって、そう思ったわけではない。

 ただ、僕が殺したいと思ったから殺すのだ。

 しかし、どれだけ僕が追い詰めてもきょりは縮まらない。

 なぜなら、僕が追い詰めても、すぐに後ろに後退りをされるために一向に僕と男の距離は縮まらないのである...。


 しかし、そんな事をずっと繰り返していれば、流石に男は壁に追い詰められてしまい、とうとう逃げ場がなくなってしまったようだ...。

 そして、そんな時に男は僕に向かって叫んだ...


「これ以上近づくんじゃねえ、この化け物め!さっさとどっかに行くか早く死んでこい!」


 ほう?

 僕が化け物だって?

 僕に冤罪を掛けておいてこの男は何を言ってるんだ?

 仮に僕が化け物だったとしたら、それは全部お前のせいだと思うが?

 まあ、今の僕には復讐するだけの力があるのだから確かに化け物なのかもな?

 前までは力なんてほぼなかったしな。


(本当にマスター以外の人間は自分勝手ですね...いちいち変な理屈をつけては自分を正当化し、簡単に人を貶める...これこそが人間の最低な所ですね。まあ、そういう人間の方が殺したときの快感は比べ物にならないのですがね!)


 デビーの言ってる通りだよな!

 本当に人間ってのは平気で嘘を付くし、人を貶める。

 ...まあ、僕も人間なんだけどね。

 そんな最低な生物をこの世に残していいと思うか?

 いや、ダメだよな!

 だから、この世からこの男を消し去る!


 それでも、人を殺すことはダメなことだか、もう僕にはそんな事は関係ない。

 どうせ、こいつの冤罪のせいで僕は死刑になる存在だろ?

 そんな存在が別に誰かを殺そうってやっても問題はないよな?

 だって、どうせ犯罪者なんだからな!

 みんな、信じてくれなかったから犯罪者にされたんだ...。

 だったら、自分で思った通りに行動することも大事だと思う!

 いや、絶対に大事だ!


 おいおい、まだ逃げ続けようとするのか?

 もう逃げ場はないんだぞ?

 全く...

 憐れなもんだ...

 仕方がない...

 お前が何をやったのかを親切に教えてやるか!


「おい、お前、自分の立場が分かってるのか?いいか?お前がな、僕に冤罪を掛けてきたせいで僕はどうなったか知ってるか?俺が王様を殺したように民衆に見せつけて、お前はそれを自分が探偵のように説いたって民衆に見せつけて正義面したんだよな?本当の犯人はお前なのにな!そのせいで僕は..俺はお前を殺したくなってきてしまったぞ!だから、死んでくれ!」


「あのな、そもそも騙される方が悪いだろ?どうして俺が悪くなるのか聞きたいけどな?冤罪ごときでグチグチ言うとか、お前絶対モテないだろ。ってか、それより早く逃げなくていいのか?さっきの炎魔法は実は誰かがここに来るように呼ぶ合図だぜ?このままだと僕を倒せても、物量差で集団に負けるぞ?でも、今ならこの事は見逃してやるから早くどこかに行くがいい!見逃してやろう!」


 ...

 デビー、今のこいつの発言をどう思った?


(個人の感想ですが、ここまでクズな人間は初めて見たかもしれません。いや、魔王軍のなかにも最低でもここまではいなかったでしょうね。こんな人間を放置していたら、この街が本気で腐ってしまいそうで怖いので、すぐさま殺してあげましょう!)


 だよな!

 僕も全く同じ事を考えてた!

 だけど、デビー、すぐに殺すのはゆるいと思うんだよね?

 ゆっくりじわじわと殺すのじゃダメかな?


(はい、ですが、今のままだと、仮に炎魔法が誰かを呼び出す合図ならゆっくりじわじわする時間はないでしょうね...ですから、とりあえず扉を封鎖しておきましょう!ちょうど封鎖しやすいように扉の取手には穴が空いてるので、そこに棒を通せばいいんじゃないでしょうか?そうすれば、扉は開きませんよ!)


 なるほど!

 それはいい案だ!

 ってことは、とりあえず棒を探すべきかな?


 ...


 そこまでまともそうな棒がこの部屋には無さそうだな...

 こういう時は...


 とりあえず椅子の足の部分をへし折って、それを棒の代用にすればいいか。

 しかし、前までは力が足りなくて絶対にできなかった事が今は余裕過ぎて逆に怖いな...


(それはそうですよ!だって、この力は本当はマスターの力ですよ?本来はこれぐらい余裕でありますよ?いや、むしろ、もっと上の力がないとダメなんですからね!)


 これが本来の力?

 それってどういうこと?

 正直、記憶がないってのもあるからだけど、そんなに僕に力があるのか?


 まあ、今はそんな事を考えるより、そこにいる害悪を殺すことだけに集中すればいいか!


 とりあえず、椅子の足を扉の取手の穴の部分に入れ込んだし、これで、この棒を外さない限りは外からも中からも開かないだろう!


 さて、じゃあ存分に痛め付けるとしますか!

 隅っこで震えているこの男をまずは、どう痛め付けるべきだ?

 とりあえず、デビーに聞きたいんだけどさ?

 精神を全面的に潰すか、肉体に大きなダメージを与えるか、どっちがいいと思う?


 ...


 こんなひどいことを考えるようになってしまい、僕もかなりひどい人間になってしまったな...。

 まあ、それもこれもこいつのおかげなんだけどな!

 むしろ、誇ってくれていいと思うがな!


(いえいえ、マスターはひどくありませんよ!悪いのは全部あっちでしょう!とりあえず、私はその選択肢なら両方選びますね!片方だけなんてぬるすぎますよ!そして、殺したあとは死体にたくさんの落書きをしてあげましょう!死んだ後も滑稽だった男として歴史に引き継がれますよ!)


 ...


 それは面白い!

 そうすれば、死んだ後もみんなから笑われるっていう偉業を得れるじゃないか!

 よし、殺したあとは、ちゃんと落書きをしような!


 ってことで、そろそろ本格的に殺しにいくかな!


「お、おい!これ以上近づくと、お前の罪がもっと重くなるぞ!いいのか?」


「はあ?お前が着せてきた罪って王族殺人だよね?それより重い罪なんてないんだよ?だから、何をしても問題がないのだよ!よかったな!お前のおかげで、自由にお前を殺せるのだから!お礼に地獄に行っても忘れられないほどの恐怖をあげるよ!」


 これ以上こいつとは言葉を交わしたくないし、僕が近づく度に何かを訴えてきてるが、そんなことばなんてもう聞かないよ。


 とりあえず、まずは右腕からか?

 そうだね...

 とりあえず、右腕を引きちぎるとかってどうかな?


 うん!

 それは面白そうだ!

 面白いほど苦痛を与えられそうだ!

 それと、ここをこうすればかなりダメージとかはい....


 ....


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ....


 あれれ?

 もう死んじゃったの?

 まだ、壊したりないんだけど?

 右腕と左腕しか取れてないよ?

 まあ、それでも、僕の心は思いっきり爽快だけどな!


 ...


 人を殺して爽快になってる辺り、もう以前の僕ではないのかもな...

 だけど、それを後悔している訳ではないよ?

 だって、この世から悪を消し去ったわけだし!

 悪を消すためなら、もう自分がどうなってもいいよ!

 それで、悪が消えたのなら、それだけで僕の存在価値ができるし!


 さてと、後は死体に落書きをするだけ...


 ...!?


 死体が消えてるだと!?

 そんな馬鹿な?

 何でだ?

 まさか、逃げた!?


 いや、確実に殺したはずだぞ?

 それなのに生きていたとでもいうのか?


 そうなると、まだ死んでいないっていう説も出てきたぞ?

 このままだと、せっかくの苦労が台無しに...

 急いで探して、息を止めないと!

 デビー、目的の物を探しだす魔法を唱えられるか?


(マスター...本当に申し訳ないのですが、このままだと力が持ちません。せいぜい魔法なしで使えて後50分位でしょう...とりあえず、今回は諦めてまた、来るっていうのに変えた方がいいのではないでしょうか?)


 ...


 まあ、確かに急ぐ必要もないと言えばないのだけどな...

 だけど、すぐさま殺したい...

 いや、殺さないといけない!

 だけど、本当にどこに行ったんだ?

 この部屋の窓から抜けたってこともないだろうし、それに扉からも出てはいないはずだ。


 ...


 なんかの魔法で外に出たか?

 それだったら、すぐさま外を探さないとやばくないか?

 それなら、時間もないしすぐに街を探そ...


 !?


 扉に手を近づけた瞬間、扉が燃え尽きた??

 これは...高度な炎属性魔法の炎か?

 いや、正確に言うのなら、その炎が扉の一点に集中することによって扉を貫通したってことか?

 そして、扉は全部燃え尽き、扉が無くなったことにより、炎が僕にまであたったってことか?


 ...


「やはり脱出をしていたか...お願いだからこれ以上罪を増やさないでくれ...頼む...もうそんな姿を見たくないんだ...!」


 そう、そこに立っていたのはかつての仲間だった者であり、この街の女王だった...


 金色に輝く金髪に、紅の色をした瞳、そして、誰がどう見ても一目見たときに思う身長の小ささ!

 女王だからか、ドレスを着ているな...


「いつもはクールなのに、今日はなんだか悲しそうだけどどうしたの?何かあったの?」


「...そう思ってくれるのであればお願いだ...お願いだから、大人しく牢屋に居ててくれ...必ず死刑にはならないように頑張るから...だから...本当に...お願いだ!」


 かつての仲間は悲しそうに僕にそう告げたのだった...。


 ...

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