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記憶を失くした最弱勇者の物語...IF  作者: 田中 カース
1/5

プロローグ [諦めた勇者]

とある勇者のもう1つの話です...。

これからも頑張って投稿していきます...。

 ……


 もうこんな世界はいやだ……。

 何で僕だけこんな目に会うのか?

 いや、実際はみんながみんな同じ目に会ってるのかもしれない……。


 位の高い人は権力で何でも好きなように人に冤罪を掛ける……。

 一方、位の低い人間はいくら無実を証明しても、そもそも、話すら聞いてもらえない事の方が多い……。


 前回、冤罪を掛けられた時は、一方的に冤罪を掛けられて、そのまま指名手配にされたほどだ……。

 本人に掛け合っても、僕がなぜ指名手配されてるのかってのは、結局わからなかった……。


 実際、今回は話は聞いてもらえた。

 だが、今回の相手は、僕が完璧にやったっていう冤罪を掛けるための準備をしていたようだ……。

 そのせいで、どんなに無実を証明しても、もっと悪い方向に進んでいってしまっている気がする……。


 犯人は誰かってのは僕は分かっているのに……

 だけど、それを証明しようにも、僕が犯人って事になってるので、今の状況では何にもできない……。


 そもそも、自分が犯人じゃないって証明をしないと、犯人が誰かって推理すら取り合ってもらえない……。

 だが、その証明をするのが、どうやってもできないのである……。


 もう何をしても、結果は変わらないのであろう……。

 ここで自分がやったって認めれば罪を少しだけ軽くしてくれるそうだ……。


 つまり、何にもやってないのに素直に認めろと……。

 何をやっても完璧に僕が殺したようにされているから、この後も何をやっても無駄だろう……。


 やってない罪を認める...

 そんなの出来るわけがない!

 絶対に最後まで足掻いてみせる!


「僕がやったって証拠は?どこにあるんですか?」


 自分で言ってても分かるが、ほとんど屁理屈だ……。

 その屁理屈が余計に犯人っぽい感じがしてしまう……。

 実際どう質問しても、結局は僕が悪く返ってくるのだから、正解となる答えなどあるのだろうか?


 どうすれば正解だったのだろうか……。

 今もそんなことを考えてしまう。


 なんとなくって気持ちで来た街でこんな目に会うなんて……。

 結局その質問もそのまま完璧に僕が悪くなるように返されてしまった……。


「お願いだから、殺してしまったのだったら素直に認めてくれ!もうこれ以上そんな姿を見たくないんだ!」


 ...


 一緒にこの街に来た仲間にまでそう言われてしまう…。

 みんな、僕を信じてくれない……。

 僕だってそうだ……。


 僕は自分自信に強い自信を持っていたはずだ……。

 僕は何故なのか記憶がない状態からスタートして、なんとか頑張ってここまで生きてきた……。

 それだけでもすごいことだと自分でも思う。


 それだけではない。

 今までも冤罪を掛けられてきた場面もあった。

 だが、それでもなんとかやってこれていた。

 今まで冤罪を掛けられても、確かに無実を証明することは出来なかったが、それでもやれるだけはやったはずだ……。


 だが、今回は、何をやっても悪い方向に進んでしまう……。

 そういう風に計算されていたのだ……。

 今まででも、ここまで僕を貶めるような事はされなかった……。


 もしかしたら、僕がやったんではないか?

 実は無意識のうちに僕が殺してしまったんじゃないか?

 実際直前まで寝てて、その間の記憶がない……。

 自分の記憶にないだけで、実は、殺してしまったんじゃないのか?


 そんな不安しかでてこない……。

 不安と同時に自分自身への自信がどんどん失われていく...。


 自分がいい人間ではなかったことは自覚していたが、自分がいい人間か悪い人間か、それとは全く違う。

 そもそも、僕は生きていていいのか……。

 いっそのこと死んだ方がいいのではないか……。


 そっちの感情の方が流れ込んでしまう……。


 ……


 これ以上無実を証明しようとしても、どうせもっと悪いようになるのだろう……。

 それだったらもう罪を認めて、軽い罪で終わろう……。


「僕がやりました……本当にすいません……。」


 ここまで悔しい思いをしたことは記憶の中では初めてであった……。

 そして、初めて、まともな涙を流したのであった……。

 悔しさの涙である……。


 それが、他の人達にはどんな涙に見えたのだろうか?

 そんなことはわからない……。

 だが、悔しさで泣いてるとは誰も思わないだろう……。


 ……


 こうして、無実だったのに誰にも理解してもらえず、諦めた勇者は、そのまま牢屋に連れていかれるののであった……。

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