STEP3
今回で最終回、早いね。
やばい、いつかは、来るだろうと思ってたけど、いざそうなるとやっぱり怖いだってこんなのやられる人なんて今の日本ではまずないだからめっちゃ怖い。
まな板の上なう。
私に包丁が向かってくる。怖い包丁怖い。いや、今気づいたけど母親の顔も怖い、すごい笑顔だ。
こんな笑顔で人を切る人はじめて見た、あっ、私ナスだから当たり前か。
あっ、待って、まだ心の準備ができないからいやいや早すぎない? 包丁が私に迫ってくる。
私に包丁が入る、ぐっう、ってあれ痛くないは、そっかナスには痛覚ないもんね、てへっ❤︎。
その後も淡々とと調理を進める母親。出来たものはホイコーロー。
食卓に大皿にのって私が並べられる。
食事が始まった。母親とその旦那さんは美味しそうに食べてくれる。あぁ、よかったおいしくて不味かなくてよかった、問題は子供が私を巧みな手さばきによって私を食べない事だ。きっと今の私ならあの子供にもおいしくいただけられるはずだ、なんかいただけられるって使う人って珍しくね? いや人じゃないか。
「ほらっ、ナスも食べなさい」
母親が子供に食べるように促す。
「いーよ、僕べつにナス好きじゃないし」
いやー、食べよーぜ、私をほら、おいしいぞ私は?
「食べないとパパみたいになれないぞ?」
そうだ、食べろ。
「いや、別にパピーみたいになりたいわけではないんだけど」
はいー、パピー撃沈。残るはマミーのみ。
「食べなさいっ」
うわっ、マミー怖っ。
「あっ、はい、すんません」
マミーつえぇ
子供は目を瞑り鼻を摘みナスを口に入れる。それじゃぁ私の旨味がわかんないだろうが!
「それ、やめなさい」
「いや、でも……」
「やめなさい」
「わかった……」
子供は口にナスを入れた。
「どう?」
「うん、まぁまぁおいしいかも」
「でしょ」
あぁ、野菜っていいな。そんな言葉を残し最後の私が食べられた瞬間意識がフッと消えた。
あー、うん適当だね。




