イービルマウス討伐
街から距離にして10kmほど西に向かうと小高い岩山が見えてきた
その岩山のふもとに高さ5m横10m程の洞窟の入り口が空いていた
ギルドで借りたカンテラを手に携え中に入り完全地図を開く
すると「ケーブ洞窟」と表示され洞窟内のマップが表示された
マップを洞窟の全体が見えるサイズにまで引く
すると横から見たアリの巣の様に細い通路がいくつも交差している構造のようだ
あれ?洞窟の奥の方に一箇所だけ体育館ほどの広さがあって
どの通路とも繋がってない孤立した空間があるな
水でも溜まってるのか?
…まぁいいやクエストは鼠討伐だ
そう思って通路を進んでいくと早速鼠が現れたので
鑑定してステータスを見る
【 種 族 】 イービルマウス
【 ランク 】 G
【 レベル 】 3
【 体 力 】 18/18
【 魔 力 】 8/8
【 ちから 】 7
【 まもり 】 5
【 はやさ 】 19
【 わ ざ 】 噛み付き(毒・極小)
当然狼よりは弱いが素早さだけはそこそこ高いようで
サイズもあいまって倒すのは少々めんどそうだが
俺が武器も用意せず鼠の討伐を受注したのにはある考えがあるからだ
それは異世界転生では醍醐味とも言える魔法の力を試すためである
鼠はGランクで弱く数も多いので実験にはちょうどいいと考えたのだ
自分が使える魔法は(火、水、風、土、聖、時、空間)らしい
まずは効果が分かりやすそうな(火、水、風、土)を試したいが
洞窟で火は酸素とか無くなったりしそうなので他の三つからだな
ちょろちょろ動いてる鼠に対して手をかざし
漠然と水をイメージして少しだけ魔力を込めてみる
するとバレーボールほどの水が出現し鼠に向かって飛んでいったが
スピードが遅かったため避けられ壁に命中し弾けた
念じるだけでこんな事が出来るとは魔法とはかなり便利なものだな
しかし今のだと攻撃と言うほどのスピードも破壊力は無さそうだ
ステータスでMPを確認してみる
【 M P 】 1999/2000
魔力も最小単位しか消費してない
今度はさっきより魔力を込めて
ホースから水が出るようなイメージで水魔法を使ってみる
するとさっきより数倍速く水が細く発射され
避ける間もなく鼠に命中し「ヂュッ!?」と鳴き声を挙げると
そのまま動かなくなった
【 M P 】 1996/2000
今度は魔力を3ほど消費したようだ
どうやら込める魔力量とイメージによって
発現する魔法の質量や発射される速度は調節できるようだな
これなら攻撃にも使えるし生活する上でも活用出来そうだ
そう考えながら倒した鼠の尻尾を切り取りさらに洞窟の先に進む
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…あれから洞窟の先に進みながら十数匹の鼠を倒しながら
風と土の魔法も色々試した
風魔法は風を起こし鼠を巻き上がらせる事も出来るし
鎌鼬の様に真空を作り出し相手を切り裂く事もできる
土魔法は地面を壁の様に隆起させる事も出来るし
石のつぶてを出現させる事もできる
それぞれ攻撃や防御にも活躍しそうだ
レベルは1上がって9になった
鼠がGランクってのもあるが上がりづらくなってきた
…それにしても魔法の実験に夢中になってたな
完全地図を開き改めて自分の位置を確認してみると
大分洞窟の奥の方まで来た様だ
魔法もだいぶ試せたし鼠も宿分以上は倒したしもう終わりでいいか
そう考えていると急に鼠が横から出現し襲ってきた
ビックリはしたが難なくかわし風魔法で壁にたたきつけ倒す
直前まで見当たらなかったのに何故急に現れたんだ?
そう疑問に思い辺りを調べると窪みに隠れてたが
壁にちょうど鼠が通れるほどの穴が空いてるのに気付いた
まさか?
そう思い完全地図を開き同時に鑑定を使う
これは道中に鼠が急に現れるのが面倒だと思い
目視するより先に発見出来ないか試してみたら使えたやり方だ
するとマップ内に自分の表示と
鼠穴の先にあるだろう体育館ほどの孤立した空間に
イービルマウスと表示された点が無数に蠢いていた
つまりそういう事だ
今まで見つけて倒したのはあくまでねぐらからあぶれた鼠だったのだ
…これはクエストを受けた以上スルーは出来ないだろうな
しかしこの数とまともに対峙するのも嫌だ
作戦を考えていると地面に置いたカンテラが大きく揺らめくのが見えた
その事によってとある作戦を閃く
まずは土魔法で鼠穴のある壁を崩し空間への入り口を空ける
すると中にいる1000を越えるであろうネズミ達が一斉にこっちを睨む
即座に火魔法を天井付近に放つと
鼠の死骸などによって発生して天井に滞留してるメタンガスに引火し
爆発を起こし天井の岩が崩落してきた
それによってほとんどの鼠達は圧死し
潰しもらした鼠も水魔法と風魔法を駆使し残さず倒す
いくらGランクとはいえこれだけの数を倒したことによって
レベルも一気に15ほど上がった
【 レベル 】 24
【 H P 】 12000/12000
【 M P 】 6000/6000
【 STR 】 268
【 VIT 】 231
【 INT 】 396
【 MND 】 330
【 AGI 】 429
【 LUK 】 50
昨日ギルドで絡んできた冒険者のステータスが
この世界の平均からそう離れてないとすると
それに比べてかなり強くなってきたなぁ
まぁ最強レベルがどの位まで強いかは分からんが
そうそう負けたりする事もないだろう
そう考えながら鼠の討伐箇所である尻尾をひたすら切り取っていく
すると部屋の中央辺りに光る物が見えた
近づいていくとどうやら剣が地面に突き刺さってるようだった
とりあえず鑑定してみると
【 種 別 】 魔剣カラドボルグ
【 ランク 】 A
【 攻撃力 】 50
【 特 性 】 込めた魔力分だけ攻撃力が上がる
ランクもかなり高いし武器も持ってなかったのでちょうどいいな
いざとなったら高値で買い取ってもらえるだろう
剣を握りとりあえず100ほど魔力を込めてみると
魔力が吸われる様な感覚がある
改めて鑑定してみると
【 攻撃力 】 50+(198)
と攻撃力が確かに上がっていた
…だけど剣だけではなく別のとこにも魔力を吸われてるような気がするな
…まさか
自分が着てるマントも鑑定してみる
【 種 別 】 ワイズマンローブ
【 ランク 】 B
【 防御力 】 10+(165)
【 特 性 】 込めた魔力分だけ防御力が上がる
なるほど思わぬ拾い物は剣だけじゃなかったらしい
よしクエストも完了したし思わぬ収穫もあったし冒険者ギルドに帰ろう