プロローグ~女神との会話~
こうして俺の人生は幕を閉じたはずだったが…
「わしが先に選んだんじゃぞ!」
「いいえ、私が先に選んでました」
何故か目が覚めてみると「見しらぬ、天井」どころか空は星だらけ
というかまるで自分が宇宙空間に浮かんでるような世界で
見しらぬ女性同士が言い争ってると言う事態
どれほど時間がたったのか分からんが
通り魔の男に刺された腹には傷の跡一つもない
とりあえず混乱を鎮め落ち着いて現状を把握しよう
争ってる女性を改めて観察してみると
一人は十二単の様な着物を着た長い黒髪の和風美人で喋り方もどこか古風だ
もう一人は煌びやかなドレスをまとった金髪碧眼の女性で
タイプは違えどどっちも俺の人生で見たことがないほどの美女だ
だが今はとりあえず容姿は置いといて何を争ってるのか
今度は喋ってる内容に注目して聞いてみる
「だから、わしがこいつを先に選んだのに
お前が勝手に決めるからこんな状況になってるんじゃろうが!」
「私が先に選んでたのにあなたが勝手に決めたからこうなってるんです」
…う~ん良く分からん
「こいつ」とはおそらく俺の事だろう事は分かったが
何を決めて選んだのか肝心なとこは分からない
しかしこの二人が今の状況を知る人物なのは確からしい
埒が明かないのでここは手っ取り早く聞いてみよう
「あの~すいません」
今まで不毛な言い争いをしてた二人の口論が止みパッとこっちを向いた
「自分は通り魔に刺されて瀕死になったはずなのに
目が覚めたらここにいたんですけどあなた方が助けてくれたんですか?」
「…そうじゃな、まずは説明をしないといかんな」
「そうですね言い争ってる場合ではありません」
「とりあえず、お前はもう死んでいるんじゃ」
某漫画の有名な台詞風にとんでもない事をさらっと言われた
「ど、どういう事ですか?!」
「混乱するのも無理はないが何と言ったらいいかのぉ…」
言いよどんだ和風美人の代わりに金髪碧眼の女性が言う
「簡単に言うと、あなた達の世界の漫画や娯楽小説で言うところの転生ね」
「私達はそれぞれ異なる世界を管理してる女神よ」
「それでたまに別の世界で功績を残した人物を
自分の世界に転生させる手伝いをしてるってわけ」
転生ってあの所謂「転生」なのか?俺が異世界で活躍する勇者の様になれるのか?
それにしても何で俺なんだ?
「あの、自分はそんな功績なんて残した覚えはないんですが」
「確かに死ぬ直前までは全然じゃったな」
その即答された答えにちょっとショックを受ける
「でも、死ぬ直前に親子を助けたじゃろ」
「あの時の子供が後に初の女性首相になるのよ」
「それであなたに助けられた経験から人を助けるための政策を次々に発表し
ノーベル平和賞も受賞するほどの「功績」を残すの」
つまりあの子の「功績」のおこぼれって訳か
まぁおこぼれでも何でも貰えるもんは貰っておこう
「…なるほど大体分かりました、けど」
気になる事がまだ残ってる
「異なる世界を担当するはずの女神が何故二人いるんですか?」
「そして何を言い争っていたんですか?」
女神二人の顔が曇る
「そこが問題なんじゃ…」
「普通は有り得ないんじゃがわしがお前を見出し
ちゃんとわしの世界を転生先に選んだのにこの女神が勝手な事をしおって…」
「私が先にこの人を見つけてちゃんと私の世界に適応できるような肉体にしたのに
あなたの様な駄女神が勝手に転生先を決めたせいでしょ」
「誰が駄女神じゃ!」
「自覚ないのねあなたの事よ」
また不毛な争いがはじまりそうなのでとりあえず二人を制す
「えーと、つまりは肉体は金髪碧眼さんの世界に合わせたのに
転生するのは駄女神さんの世界になってしまったという事か」
「お前まで駄女神言うな!わしの名前はカンナじゃ」
「ぶっw、失礼、自己紹介がまだだったわね私の名前はナターシャよ」
今は自己紹介よりも俺の先行きが心配だ
「それってどんな問題があるんですか?」
「問題と言うかその世界の住人とは成長の仕方とか
使える魔法やスキルが違ってくるので苦労するかもしれないという事じゃな」
死んだと思ったら新たな人生に転生出来るんだから
多少体が弱かったり不便だったりするぐらいなら我慢するしかない
俺はそういう生き方なら得意だしな
「それぐらいならいいですよ、自分の能力の範囲で過ごすだけです」
「そう言ってくれるか、すまんのう」
「お侘びといってはなんですが二人の女神の恩恵を授けます」
「と言っても制限があるのであまり大きなものは授けられないですが」
「まずはわしからじゃな」
「わしが授けるのは異世界翻訳と完全地図じゃ」
翻訳と地図か…
転生能力としては地味だけど実際にいきなり異世界に
転生される事を考えるとかなり有効な能力かもな
「私が授けるのは鑑定スキルね」
「人のステータスやモノの名前や詳細を確認できるわ」
「後おまけで肉体年齢を18歳の頃にしておいたわ」
これは採取とか危険な人間を見分けるのに役立ちそうだ
年齢も気分を新たにするとするという意味ではありがたいね
地味だけど生きていくのには困らなそうな能力ばっかりだ
「ありがとうございます」
「なんとか平穏に暮らせるような気がしてきました」
「ではそろそろ転生させるがいいか?」
「はいお願いします」
そう俺が答えると駄女神が手をかざし俺の足元が光り
段々と体が薄れ始めた
「最後に言い忘れてたがわしらがお前を評価したのは
助けた娘の「功績」なんかではなく危険を顧みず助けたあなたの「勇気」じゃよ」
「あの娘にとってあなたは確かに「勇者」だったわ」
「転生された世界でもあなたの助けが必要な人はいると思うわ」
「出来るだけ助けてあげてね」
…最後に今まで欲しかった言葉を貰えるとは
涙がこぼれ落ちるの止められないまま俺の体は完全に消えた
大体その場の思いつきで書いてるので
矛盾や描写不足があればコメントください
先の展開もあまり考えてないので
アイデアを提供してくれれば採用するかもしれません