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クロニクル・アース  作者: 零﨑海識
扶桑帝国編
6/20

06話 言い聞かせる平常心

よん』転校生


「妾は八咫(やた) (からす)という。よろしくの」


 教室に入ってそう名乗ったのは綺麗でツヤのある短髪黒髪にアクセントに三本足の鳥をかたどったヘアピンをつけていて、背は高くないものの足がスラっと長く、整った顔だちの綺麗なトパーズ色の瞳をした少女だった。


 じゃあ八咫はそこにいる大和ってやつの後ろの席に座れ──先生はそのまま1限目の授業を始めた。


 1限目と2限目の間の休み時間始まり。八咫の席の周りには既にクラスの連中だけでも多いのに他のクラスからの見物人も含め芸能人並みの人気と人集りが出来ていた。


 八咫さんはどっからきたの?八咫さん何部にはいるの?など質問攻めにあっている。そんな中神の使徒の名前を持つ彼女はトパーズ色の瞳を助けを求めるように蚊帳の外にいた俺の方を凝視してきた。そのままにらめっこを続けていてもどうしようもないので、仕方なく彼女の方へ足を運んだ。


「八咫さん。先生から呼ばれてたぞ。職員室の場所教えるからちょっと来て」そう言って“えー。もう行っちゃうのー”などという声を押し切り少し強引に彼女の手を引き人だかりの中からほとんど人のこない屋上への階段の途中に逃げるように移動した。響磁がニヤニヤ顔で八咫の手を引く俺の方を見ていた。


「で?君は何者?」


「む?気付かんのか。妾は正真正銘お主達と白亜の塔の中で行動を共にした八咫烏じゃぞ。」


「やっぱりそうか。えっ! でもなんで人の(かたち)を?」


「お主とおるにはこっちの方が都合がよかろう?主殿」


「それだけ? 都合がいいとかっていう」


「うむ」


「ホントに?」


「うむ」


「そうなんだ……」


「とりあえず今後学校生活どうしたら良いかの。妾はこういうことはよう分からなんだ」


「当面はどっかの神社の一人娘っていう設定でそれ以外は分からないで何とかなんじゃないかな。状況にもよるけど。あと、部活は俺と同じ射撃部に入ればいいと思うぞ。ここの学校は一つは部活に入らなくちゃいけないからな」


「うむ。ではそのように」


キーンコーンカーンコーン


 今日一日の授業が全て終わり放課後の帰り道「そういやヤマトよ。最近お前一限目から学校来てるよな。なんかあったのか?」と響磁が聞いてきた


 だが、これといって何もない気がする。何も?いや違うな色々ありすぎたんだ。謎の警報、白亜の塔、ファントム・ナイツ、神話の神。だからといって一限目からくる理由にはならないな。まあ、気分だろ。


 翌日もいつもの日常が始まろうとしていた。いつもの様に朝は街中に訓練用戦車が走り回り、俺の家の前にはほかの戦車よりも大きくて頑丈そうなのが主砲を空打ちしていた。大きいのは当たり前でとまっているせんしゃは実用車なのだから。そこに見えるのはいつも通り同級生。和音と響磁。今日も待ち合わせの場所に来なかった俺の事を起こしに来たのだろう。いつもより20分ほど早い。


 しかし、今日の俺にはいつもと違う点が一つある。それは俺の家の俺の部屋の俺のベッドで俺の隣で俺と一緒に寝ていた昨日転校してきたばかりの彼女が昼寝をしている子猫のようにぐっすり不用心に眠っていることだ。この光景は朝起きたての俺には刺激が強すぎる。正直可愛い。


「八咫起きろよ。お~い。八咫鴉さん?」


 八咫はクワァァァァアと伸びをしながら大きなあくびをして服を着替える………「わわわ!お、俺は先にリビングに行ってるぞ!」それだけ言って玄関におり外で待っていた二人の幼馴染を出迎えた。


「和音に響磁おはよう」


「ヤマトおはよう。私朝ごはんまだなのよね。ここで朝ごはんもらうわよ」


「おう!大和。おはよう。俺ももらうぞー」


「なんか騒がしいと思ったらお主たちか。朝ごはんというやつか。どれ妾ももらうとしよう」


 なんて自由なやつらなんだ。人の家の冷蔵庫を勝手にあけて朝ごはんを食べ始めた。まあ賑やかだからいいんだが。俺も朝ごはんにしよう。


「で、なんで今日は早いんだっけ?」


「忘れたの? 今日は班を組んで実技演習でしょ。街中での演習だからわたしたちはこの家からスタートするわよ」


「そうだったね。忘れてた」


 会話に一区切りか付いたところでまだ演習時間前だというのに家のドアが豪快に開く音が聞こえた。

 そして彼女はやはり豪快に元気にはいってきた。


 「やっほーヤマトー‼今日の演習ボクもキミ達の班に混ぜてー!」と大声で宗像大神に試練を認められた赤髪の少女、ハンナは勢いよく何の躊躇もなく家に上がりリビングまで来た。


「ハンナじゃないか。おはよう。分かった、今日はよろしくな」


「うん‼ ボクもみんなに負けないくらい頑張るよー。みんなよろしくねー。今日は頑張ろう!」


おお‼‼


 ハンナが来ていきなりこの班が一気にまとまった。───気がする。

 これでやっと仮初だが程よいチームになったわけだ。仮にリーダーである俺がキングだとすると、クイーン和音、ナイト響磁、エースハンナ、ジョーカー八咫、という具合にバランスよくなるわけだ。

 まもなくアナウンスの時間だ。演習とはいえ試合形式だから気を緩めず真剣に頑張ろう。

投稿大変遅くなりました。なんといってもリアルの課題や用事が多い!

こんなのはただのいいわけですがねww

そんなわけで第6話投稿です!

次回は大和たちの演習訓練の様子がうかがえます。

クロニクル・アースとともに天現のアヴァも併せてどうぞお楽しみに!

では今回はここまでということで次回もよしなに。


☆ミ用語集☆彡

☆八咫 鴉:やた からす。ハンナが宗像大神の試練を受けるまでと帰り道を示すために出てきた八咫烏と同一。現在は人間界にて大和たちと行動するために人の姿になっている。


☆ミ復習用語集☆彡

☆ファントム・ナイツ、通称「帝国の番犬」:扶桑帝国軍内部の裏組織。表の世界では政治家の三分の一がその組織と内通している疑いが…

☆八咫烏:日本神話で神武天皇を大和の国に道案内したとされる烏。一般的には三本足の烏と伝えられている

宗像大神むなかたおおかみ:道主貴みちぬしのむちとも呼ばれ、あらゆる「道」の最高神として航海の安全や交通安全などを祈願する神


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