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クロニクル・アース  作者: 零﨑海識
扶桑帝国編
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04話 ハンナVS宗像大神①

さん』姫に導かれたその先は?


 真剣な面持ちの先輩に尋ねた。


「先輩、俺たちに大事な話って何ですか?」


「やれやれ、お遊びはここまでのようデスネー。私はこの国の太陽神、天照大御神と契約しているのです。このような神話の神々や偉人たちと結ぶことを、パクトゥムとよんでいます。これにより様々な能力を行使することができるようになります」


「先輩、能力ってどんなのですか?」


「ここでは能力を発現すると危険なので、またの機会に。まあ、しいて言うならよく漫画やアニメで見かけるあれです」


「はい!はーい‼」

 

ハンナが勢いよく手を挙げた。


「アリスみたいにボクたちも能力を使えるようになるの?」


「なります。というよりこれからなってもらいます。あなた方にはその素質があります。もちろん。響磁君や和音さんにも素質はあります。二人は先に試練を受けているはずです。あとで他の2人にも伝えるので詳しい事はその時に。では、先に進みましょう」


「リョーかいっ!!こういうのワクワクしてくるね」


 屋内だというのにカラっと澄んだ山奥のような空気の道。三本足の八咫烏(やたがらす)に先導されるがまま道幅二メートルくらいの何の装飾もない白亜の通路を右へ左へ進んだ。やっと通路の終端が見えたが、太陽ほどの光に通路の先が照らされてほとんどその場所が見えなかった。分かるのは何か部屋がありそうだということくらいだった。


 迷路のような通路を通り終え、その場所に着くとやはり巨大というのがオーバーではないくらい大きな部屋が待ち構えていた。その部屋は凹凸や水たまり、家などの建物が所狭しと並んでおりここが最初の試練の場所だとすぐに検討がついた。


 そうこう考えながら部屋中央の一番高い円柱のような台の前の一区画だけ平らな場所に着いたところで、台の中央からものすごい音と光を放ちながら『()の者』は現れた。


「我が試練の道に挑まんとする挑戦者は如何(いか)()るか。我が名は海神素戔嗚(すさのお)を父に持ち、太陽神天照(あまてらす)を母にした全ての道をつかさどる宗像大神(むなかたのおおかみ)である。急に訪れた非礼は母と其の末裔(まつえい)の名において免じよう。我が試練を受けるのはお主だな?赤毛の少女よ」


 そう言って彼女、宗像大神は地上に完全に姿を現しハンナのもとへ近づいてきた。しかし、近づき時歩きはしない。地面から数センチ上をホバークラフトのように浮いていた。


 急に名指しされたハンナは驚きを隠せないようだった。


「ボク!?しかも名指し。アリスはともかく、やまとじゃないのはなんで?」


「我が母の末裔には二人の主神のうち一人がが試練をなされることになっておる。もう一人の主神はすでに試練を終えられている故な。では試練を始めよう。試練の内容は」


「あっ!ちょっと待って‼。ボク、動きやすいように着替えるから」


「うむ。よかろう」


五分後。ハンナは喫茶店の制服であるメイド服から、いつもの学校に行くときのラフな服装の上に学制服を羽織っていた。


「オッケー。準備できたよ。なにをすればいいの?」


「試練の内容は、いたって簡単。一対一のドロケイである。我がケイサツ役、赤毛のお主がドロボウ役である。ただし、このゲームでは捕まることは許されない。その代わり五分間でこの地図の唯一正解の道を見つけ出し逃げ始めるがよい。我はきっかり五分後に追跡する。逃げる側は逃走中どのような妨害をしてもルール違反にはならない。分かったか?」


「う、うん。頑張る」


「それともし捕まったら負けとみなしここに来た記憶はなくなる。これが此処(ここ)の地図である。せいぜい我を楽しませよ。では、試練始め‼」


 開始の合図とともにハンナに地図が配られた。


 まずは地図を覚える。これに関してはハンナは問題ないだろう。ただ唯一の道を探す以外は。


「う~ん。地図は覚えたんだけどなー」


 やはり予想通り、地図は覚えたといっているのにハンナはなかなか先に進もうとしなかった。


「ヘイ、ヤマト~。なんでハンナは進まないデース?」


「先輩。それはですね。ハンナの唯一の欠点というのが探すということなんですよ。特に一つのものを多くの中から探すのがとても苦手なんです」


「そういうことでしたかー。これはハンナには厳しい試練になりそうデスネー」


 再びハンナの方を見るとまだ一分も経っていないというのに、苦手分野をいつの間にか克服したのか複数ある通路の内の一つ目指して走っていった。そして目視できないところまで行くと空中にハンナの様子が映ったホログラムがあらわれた。


 しばらくすると脳内に声が響いてきた。


「五分が経過したぞ。これより我が追跡を開始する。赤毛の少女よ。精々あがくがよい」


 宗像大神はハンナが通った道に入り姿が見えなくなった。今度はそちらのホログラムを見ていると、壁に大きな穴が空いていた。おそらく先に通ったハンナがこの道は使えないと判断して開けたものだろう。


「う~ん。ここも行き止まりかー。仕方ない。次はこっちの壁を。セイヤ!!」


『ズゴーーーーーーーーーーーーン!!!!』


 フロア中に振動と音が響き渡る。


「我が一生懸命考えた道だというのに考える気はなしか…。我につかまるのも時間の問題じゃろ……む?」


 宗像大神が道を右折すると左右の壁あちこちに穴があけられていた。しかもそれはどれも違う道に行くための穴だった。


「ならばここじゃろう」


 迷わず複数の穴のうち一つを選びハンナを追っていった。するとその道の先は様々な家が立ち並ぶタウンエリアになっていた。宗像大神の視線の先のほうに赤毛の少女が角を曲がる姿が映った。

今回は少し短いですが、ここでいったん区切りたいのでこの続きをお楽しみに!

次回もハンナの試練は続きます。

☆彡用語辞典☆ミ

天照大御神あまてらすおおみかみ:日本神話に登場する神。皇室の祖神。太陽を神格化した神。

素戔嗚尊すさのおのみこと:日本神話に登場する神。海原を治めるように言われた神。

・パクトゥム:ラテン語で契約

宗像大神むなかたおおかみ道主貴みちぬしのむちとも呼ばれ、あらゆる「道」の最高神として航海の安全や交通安全などを祈願する神

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