表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロニクル・アース  作者: 零﨑海識
扶桑帝国編
12/20

11話 いつものお店

(きゅう)』 人数制限




 この異例の扶桑帝国における大規模演習を遠くから観察している者がいた。

 彼女は暗い室内に浮かぶ直径一メートル程の大きな水晶玉にて戦況を確認していたのである。


「あの程度の者にはやはり“魔法銃”は使いこなせないようね。帝国はこんなに急に戦力を増強しようだなんて、なにか思惑があるに違いないわ。地球帰還作戦だけではなさそう。これは面白くなりそうね。クフフフフフフ」


 彼女は静かに怪しく嗤うのだった。



   ─────────────────



 学校の帰り道。

 いつものようにハンナの実家でもありお店でもあるルーフスパフェへ向かう大和たち。

 もう常連ともなると大体の時間帯から曜日、席まで予約しなくても開けてくれている。


 ハンナのお母さんやさしい


 いつもの、お店の一番奥の角に少しだけカーテンで仕切れる八人位が入れる個室がある。その大和たちの特等席に着き、いつものメニューを頼んだ。


「しかし大和よー。十から三十人なんて十日でどうやって集めるんだ」


「それなー。どうしようか迷ってたんだよ。俺にそんなにつてがるわけでもないしな……。先生にでも頼むか!」


「ヤマトー。それはダメデース。そんなことしても意味ないデース。待っていても大丈夫だと思いますよ」


「それって根拠はあるんですか?先輩」


「女の感です‼」


 でたよ、こういうの。でもこういう時の先輩の感はよく当たるからな。少し期待してみるか。


「わかりました。その感に少し。ほんの少しだけ期待します。響磁。あと八咫も、ちょっと」



 俺は響磁とついでに暇そうな八咫を手招きして、少し席から離れた空きスペースまで移動した。


 小さな声で「先輩の話は少しは信用できるかもしれないけど保険をちゃんと取りたい。二人にはそれを手伝ってほしい」と声をかけた。

 こうして先輩が和音と楽しそうに会話している隙に、秘密の会議が開かれる。


「大和。先輩はあれでいいとして和音を見てみろよ。のけ者にされて今にも人を殺しそうな目でこっちを睨みつけてるぞ。あとで死んだな」


「まあそれはやばいかもしれないけど一旦置いとこ。それよりも重要なことがある」


「うむ、そうじゃな。妾も何時聞くか迷っておったわ」


「そのことなんだけど、響磁は人当たりいいからいっぱい人を勧誘できると思うんだ。八咫はクラスの最初の反応をみて確信した。このグループのアイドルにできるって」


「面白い。いい案だ」


 俺と響磁は二人で友情のグータッチをした。


「そうじゃな。妾がアイドルになって勧誘……かんゆう。えっ!?この話って次のメニューをいつ頼むかだったんじゃなかったのか」


 なぜか一人だけ話についてこない。それどころか分かって他風な人が一ミリもわかってなかった。

 とんだ天然さんだ。


「違うよ。三十人の(レギオン)を作るのに人数を確保するってことだよ」


「むぅ。そうだったのか。妾としたことが…………はずかしい!マスター。バナナオレちょーだい」


 八咫は恥ずかしさのあまり床に丸くなって注文をし、誰にでもわかるような照れ隠しを実行した。

 

「それで妾はクラスの連中を虜にして人数を集め、いる人数分までふるいにかければよいのじゃな」


 恥ずかしかったことなどどこ吹く風、自身は『わかってましたよ』とばかりに胸を張り言いのけた。

 しかも実際にはそうするけど、ふるいにかけるなどと頼んでもいないことまでこなしてくれるようだ。


「うん。じゃあ頼んだよ、二人とも」


「心得た」

「わかったぜ」



 たった数分の極小会議を終えて元の席に戻った。戻ってもまだ先輩の楽しそうな話は続いていた。

 先輩の話よりもさっきの話の方が重要で、対策になった。



 その後、散々寛いだ(のち)各自、自宅に解散した。



「おはよ、大和。あんたが先に学校行くなんて珍しいわね。(そら)から銃弾でも降ってくるんじゃない?」


 教室ですでに自分の席について暇してるところに彼女が来た。


「ああ、和音。おはよー。今日はね朝から家にいられなくなった」


「何があったの?」


「お前の家近くだから、もしかしたら気が付いたかもしれないんだけど、今朝家で大喧嘩があったんだよ。俺と八咫で。俺がね、今朝起きたら八咫がいつものごとく俺の布団に潜り込んで、しかも俺の上に寝てたんだよ。それで八咫を起こすのがあいつなかなか起きないから面倒なもんで、ベッドの上に落としたんだよ。そしたら八咫のやつ寝てる間に人化プラス背中にカラスの羽、なんて言う器用なことやってたから羽をモサモサしてたら、どうもそこが弱いらしく怒っちゃって自分の家を追い出された」


「それはあんたが完全に悪いわね。鴉ちゃん可哀そう」


「このあと機嫌を取ってクラスのやつらをチームに引き込みたいのに」


「その件なんだけど、あの後、私と響磁とアリス先輩で通話をして気づいて、そんなに頑張らなくてもホンッ当に大丈夫そうなことが分かったわ。私の所属してる剣道部、アリス先輩の友達と狙撃部、そして響磁の所属してる格闘部の数人で軽く人数オーバーだわ」


 そうか!その手があったか。これにハンナが連れてくるとか言ってたメンバーを合わせると大変な人数になる。早いうちに候補者に確認を取って選別してからみんなで一度集まろう。


「じゃあ和音の方も候補者集めてきてくれる人確認してメンバー表作っておいて。そのあとでみんなで誰を残すか話し合おう」


「そうね。それが一番効率的だわ。それじゃあさっそく朝練の人たちに声かけてくる」


 和音は走って道場の方へ向かっていった。

土日に投稿するとか言っときながら遅くなりました。

今度も早く投稿できるように頑張ります


それとバレンタインの投稿も読んでくれた方はありがとうございます。

ちょっと教師の方にもライトを当てられて楽しかったですww


次回もどうぞよしなに。


前のあとがきで言った和音の剣技の技名ですがこうなりました↓


☆用語集☆彡


視雫流旋しだりゅうせん:剣戟を放つ際に一度相手の攻撃をかわし、再度鞘に刀身を納め、鞘内部の特殊な水滴により摩擦による抵抗をなくし超人的な速度の居合切りを放つ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ