10話 大規模演習訓練④
『捌』 強者の戦闘
門の前で待機していたハンナと響磁は門の横から一瞬だが、小さな鏡がちらりと見えたのを確認した。二人は目を合わせて本当に見たと確認すると音を立てないように後方に用意しておいた銃弾避けの壁まで下がった。
隠れてからみんなに状況を報告する。
「今、僕と響磁は門の前に一瞬だったけど敵チームがいることを確認したよ」
「だから俺たちは後方に用意しておいた壁まで退避したぜ」
「了解。響磁達は家の中まで下がっていいよ。和音はそのまま玄関で待機。俺と八咫は正面のベランダに行って入ってきた奴らを撃つよ。だから三人はもし敵が家に侵入してきたら対応よろしく」
大和たちはこれから来る敵に備えて再度気を引き締めた。
響磁達が家に入って数秒後、敵チームが門をくぐって正面から一気に侵入してきた。敵の武装は拳銃が主なようで、ほとんどの人が拳銃を所持していた。しかしその中に他とは違う二名を発見した。一人は見るからにわかりやすく、二丁拳銃だ。もう一人は外見では他の人同様、拳銃を一つしかもっていないのでわかりにくいが、拳銃の種類が違う。なんと時代遅れもいいところ、リボルバー式だ。よっぽど自分の腕に自信があるか、自分の腕を過信しているかのどちらかだろう。
ここは大和たち射撃部の見せ場。大和たちは確実に一人また一人と各個撃破していった。しかしそれでも狙撃から逃れる者は出るようで途中の壁に隠れたり、玄関前まで行って見方を待っていたりする。玄関前のポーチは屋根があるため狙撃するのは難しい。狙撃で十人近く居た内の七人は確実に行動不能にした。残りの侵入者は先ほどの他と違う二名を含めると五人近いと推測する。敵が全員ポーチの屋根の下に隠れたことで大和たちの狙撃は無効果された。しかし、敵の援軍が来るかもしれないので、八咫は引き続きベランダに待機させる。大和は玄関に入ってくる敵を迎え撃てるようにエントランスと吹抜になっている二階の廊下に潜んだ。
その直後、やっとピッキングが成功したのか、敵が一人入ってすぐさま近くにいた和音に発砲した。敵の発砲空しく、和音が敵の銃弾を居合切りではじいた。これにはさすがの大和も驚いた。正直幼馴染がここまで強いとは想像していなかったのだ。それどころか和音は入ってきた一人の拳銃を切断し、敵に峰内を食らわせて倒した。和音に焦りなどの感情は見えず、寧ろ余裕の表情だ。
恐ろしいやつを味方につけたものだ。和音が敵じゃなくってほんっとによかった。
敵は怖気図いたのかそれとも作戦か一向にやってこない。ならばこちらから出向いてやるだけだ。俺は響磁に視線で合図しポーチに出る様に指示した。
響磁が出ると直ぐに交戦が開始した。結果は響磁が撤収してきた。それでも成果はあったらしく「三人ほどぶっ飛ばしてやったぜ」と無線で連絡があった。これで大和が予想しているポーチ前の残り人数は三人となる。ハンナがなんの予定もない攻撃をいきなり出て仕掛けた。出て早々アサルトライフルを連射するのだからこれには敵味方問わず驚いた。しかしこのハンナの思い切りがキーとなったようで、三人の内意識のある一人をとらえることができた。からは二丁拳銃を所持しており、さっきのグループのリーダーだそうだ。聞くところによると後三人狙撃手がいるそうだが、リーダーである自分が捕まった時点で降参は決まっていたそうである。
そんなわけで長く続いた戦闘———体感では数分———もようやく終わり、無事に敵チームが所持していたフラッグ10旗を譲り受けた。これで大和たちの合計フラッグ数は13となり序列で言うところの一位。圧倒的強者となった。
その戦闘の数十分後まだ他のフラッグをもらおうと移動していた大和たちであったが、結局どのチームとも遭遇できず大規模演習訓練は終了した。
次の日いつものように学校に遅い時間に行くと大和、響磁、和音、ハンナ、八咫の五名は言うまでもなく誰かが戦果を伝えた様で、内容に尾ひれがつくほど有名人になっていた。
昼休み。最終的に結果は廊下に張り出され、このようになっていた。
一位 フラッグ数:13
メンバー:天龍院大和、天坂響磁、麟童和音、ハンナ・ルーフス、八咫 鴉
二位 フラッグ数:7
メンバー:眞名瀬、森戸、東、三ヶ浦
三位 フラッグ数:4
メンバー:芝﨑、三浦、以下略
四位 フラッグ数:2
メンバー:剛磁機 玄、以下略
五位同率四チーム フラッグ数:各1
残りのチーム フラッグ数:0
この結果を見て驚きだったのが、捕まえた後すぐに見方を引き連れて四チームも倒してしまった芝﨑達と二回戦目に戦った剛磁機達である。芝﨑達は強いのはわかっていたが以外にも剛磁機達もそれなりに強い連中だったらしい。大和たちに疑問を抱かせたのは二位の謎の人物たちである。この人たちはクラスも校舎も違うのでしゃべったことすらない。正直部活としてもあったことないので戦力が未知数である。
そして今日最後の、授業の終わりに驚くべきことが伝えられた。
「月末に地球への本国奪還作戦を開始するので、各自、戦力バランスを考えてチームを組むように!なお人チーム十人以上三十人以下とする。これには一年生から三年生までの全学科、全生徒を対象とする。期限は十日後。以上」
そう言って先生は退出した。と同時に騒がしい人が入ってきた。
「ヤマト―。一緒のチームになるデース!」
というわけで昨日のメンバーに加え、アリス先輩が仲間になった。
今日は二話分も進めてしまった。
流石に疲れましたw
次回も早いうちに投稿できればと思ってます。
お楽しみに‼
用語集は今回はおやすみです。
書くことないww