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無垢ノ瘡蓋
赤ずきんちゃんは待ちました
ずっとずっと待ちました
やっと花が咲きました
赤ずきんちゃんは待ちました
ずっとずっと待ちました
やっと実がなりました
赤ずきんちゃんは
実を飲み込みました
ごくり
赤ずきんちゃんは
鏡の前に立ち
頭巾を外して
自分のことを見つめました
なんてことでしょう!
無いのです!
右を向いても
左を向いても
狼の耳はどこにも!
「ああ!
狼の呪いから
解き放てられたのだわ!」
でも……
赤ずきんちゃんの顔は
しわくちゃでした
「お腹もこんなに……
いつの間に
太ってしまったのかしら」
赤ずきんちゃんは
お腹をさすりました
そのとき
ドアのノックが聞こえました
トン トン トン
「おばあさん
おいしい林檎は
いりませんか?
きれいな花もあります」