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冷タイ色ハ決シテ失望サセナイ
そうっと
ドアが開きました
おばあさんはまるまると太って
まるでパンのようです
赤ずきんちゃんは
バスケットから林檎を出して
おばあさんに渡しました
♪紫色の蜜の味
卑しい貴女は食べました
疑いもせず
確かめもせず
貴女は卑しく食べました
満腹になったおばあさんは
ベッドに入り眠りました
しっとりとした
寝息が聞こえてきます
赤ずきんちゃんは
林檎の種を拾いました
どんぐりほどの
大きさの黒い種は
見つめていると
吸い込まれてしまいそうな
ほどの闇を
纏っておりました
赤ずきんちゃんは
パンにナイフを突き立てました
切り開くと
渦巻く光が飛び立ちました
がらんどうになった
パンの中に
闇を植えました
♪絶望の中で開花すれば
やがて仰い実が生るでしょう
希望の中で開化すれば
やがて貴い身を知るでしょう