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10-7

 血の臭いが、不快なほど身体に纏わり付いている。その感覚に気持ち悪くなり、ティアは急速に覚醒した。

 目覚めて、はっとする。……自分の身体が、誰かに乗っ取られている! 誰に? 答えを探す為に、辺りを見回す。なぜか見えるようになっている視界が捉えたのは、赤、赤、赤。そして。

〈これ、は……〉

 床に倒れている仲間の姿に、愕然とする。全て自分の行為の結果なのは、血に濡れた右腕を見れば明らかだった。

〈そん、な……〉

 仲間を、殺してしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。慚愧の念が、ティアを襲う。そして、分かってしまった。自分が何者に乗っ取られているのかが。

〈スーヴァルド!〉

 こんな残酷なことを平気でできるのは、あの神のみ。

 昔夢で見た、ルディテレスの苦い過去が、ティアの脳裏に蘇る。これ以上、スーヴァルドの好きにさせない。させてたまるか。


 意識を浮上させ、乗っ取られた身体を取り返す。

 そしてそのまま、ティアは部屋にある唯一の窓の方へ走り寄ると、その窓からその身を外へと投げ出した。

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