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4-4

 微かな泣き声に、目を覚ます。

 首を動かすと、ベッドの傍らで俯いている白い影が、見えた。

〈あ……〉

 その影に声をかけようとして初めて、声が出ないことに気付く。戸惑いの感情が、ティアの全身を支配した。

 と。

 俯いていた白い影が、顔を上げる。銀色の長い髪に縁取られたその顔は、ティア自身によく似ているような気が、した。

 もしか、したら。

〈母上……?〉

 心の中で、その影に向かって声をかける。

 勿論、ティアの母は、ティアがまだ赤ん坊の頃に亡くなっているのだから、ティアは母の顔を知らない。自分に似ていたと、ヴァリスの話で知っているだけだ。それでも、傍らにいるこの影が母親であるような確証が、何となくあった。

 不意に、ティアの額に、影の細い手が触れる。初めて感じた母親の手は、微かに冷たく、それでいて温かかった。

 だが。

「私は、この子を産んではいけなかったのかしら」

 悲しい言葉が、ティアの心を冷たくさせる。

「こんな過酷な運命を持つ子など……」

 しかし、母の紫の瞳に見えた、心からの想い、ティアをかえってほっとさせた。母は今でも、僕のことを案じてくれている。

〈僕は、大丈夫です、母上〉

 声が出れば、すぐさまこう言えるのに。忸怩たる想いで、ティアは母親の顔を見つめることしかできなかった。

〈僕には、助けてくれる仲間がいます〉

「そう、そうね」

 ティアの言葉がうまく伝わったのか、不意に、母が強く頷く。

「一人では越えられない壁も、仲間がいれば大丈夫かもしれない」

〈はい、母上〉

 濡れた菫色の瞳で、それでもティアを元気づけるように笑う母。その母に、ティアもにっこりと笑い返した。

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