リセット系青年の場合その4
「よっしゃーガチャるぞ!いやー楽しみだなぁ!」
めんどくせーチュートリアルのギルドお使いも終わったので早速全力で奴隷を買いにいく、まぁ最初だからレアキャラが出るはずは無いが、それでもやっぱりガチャは楽しい、それに今回がハズレでもリセマラすればいいだけだ。
ワクワクしながらさっききた道を戻って、あのめんどくせーおっさんの机にギルドで登録した職業欄に冒険者と記入された国民証を叩きつけた。
「おっさん、俺はもう冒険者になってきたぜ!これで奴隷を売れるよなぁ?」
本当に苦労したがニヤニヤしながら言ってやった、これでこの面倒くさいおっさんも黙って俺に奴隷を売るはずだ。
「では拝見しましょうと言いたいところですが、見るまでも無く貴方に奴隷の主人としての資格はありません、初級の依頼すら達成した事がない貴方に、奴隷を使役する権利を与えても奴隷と共倒れの未来しか見えません、どうしても言うならまずはせめて討伐の最下級の依頼の一つでも達成して下さい」
「はぁ!?話が違うじゃねーか!冒険者になったら奴隷を売ってくれるんじゃねーのか!こんなん詐欺だろ!ふざけんな!」
この腐ったおっさんに俺は常識というものを教えてやる、自分で言ったことを守らないなんて、そんなの可怪しいだろ!さっき冒険者には奴隷を買う資格があるって言ったばかりじゃないか!
「ええ、確かに冒険者には資格があります、ですがそれは仕事として必要と認められた時だけです、冒険者の仕事をしない人間が簡単になれるのが冒険者です、ですが職業登録をしただけ名乗れるほど甘いモノではありません、やはり仕事をしてこそ冒険者と認められるは当然の事でしょう」
さっきから聞いていれば屁理屈ばかりですげームカつく、こいつマジで頭悪い、さっき少しだけ認めてやったのに、そんな俺を騙して笑ってやがったんだ、こう言う汚い大人が居るから世の中悪くなると思う、俺ルールを振り回してワガママ言ってる老害は死ねばいいよ。
「その辺は冒険者ギルドの方でお聞きになるはずの項目ですが、貴方は恐らく聞かずにそのままこちらへ来たのでしょう、そういう方には絶対に依頼を達成するまでは資格を与えないと法律で決まっています、そして何度も言いますが、奴隷はあくまで人間です、売り買いするものではないのです」
睨みつけるように一気に言い切るおっさん、なんだか無駄にイキっててキモい、こういうのが格好いいと勘違いしてるんだろうな、ホント困るぜ、正論を武器にするのが正しいとか思っているタイプなんだろうな、正論を武器に人を傷つけるのは悪だと思うね。
「あっそ、んじゃも~いいわ面倒だしリセットする~、あ~次はもっと簡単ならいいなぁ、こんなめんどいチュートリアルは最低だろ、モチっとユーザーフレンドリーな感じじゃないと今の世の中じゃ、絶対売れないって女神さんよー」
俺はここに連れてきた女神に文句を言いながら、奴隷商の中でリセットを念じる、お陰で一日頑張ったのに全くの無駄足だ、ほんとつまんねー話だ、こんなんだったらもっと派手なチートを頼むべきだったかもしれない、まぁ最速も分かったし夕方になったから遅いし、朝に戻ってからギルドへ行って速攻登録してからモンスター退治をしてくりゃいいだろ。
「貴方が何を話しているのか私には良く解りませんが、再び来られる時はもう少し常識をわきまえた上で来てくださることを望みます」
うっせーなー、お前に次に会う時、お前は初対面なんだよ!俺はこれから何度も会うんだろうけど、お前は俺が良いキャラ引くまで、ずっと同じ言葉を喋ってろよ!老害のカスが!
怒りと共にリセットを念じる、そうすると世界がゆっくりと靄がかかるように崩れていく、そして眩しい光で周りが全てが見えなくなる、ホントに大丈夫なんだろうな?ここでまた死んで女神様にに会うとかマジ勘弁だからな!
大分文句を言ったけど、いいゲームになるようにアドバイスしてやっただけだし、ユーザーの当然の権利を行使しただけだ、女神様は解ってるはずだよな?
そんな事を考えていると、光が収まって徐々に普通に眼が見えるようになって来た、そして朝俺が居た市場に戻ってきた、だって目の前できゅうりを買ったババァが同じように野菜を売ってるし、間違いないだろう。
「はぁ、ババァが目印とかやめてくれって言ったのに、どうしてそのままんなですかねぇ」
俺は半ギレになりながら愚痴ってみた、まぁ誰にも分かる訳もないだろうけどユーザーとしてはこう言う所は改善して欲しいとマジで思う、だって毎回ババァがお出迎えとか、そんなん萎えるしか無いだろ?
そう思っていたら、ババァの隣に確実に手を出したら事案になる違法なロリが居た、あんなんさっき居なかったぞ?
「おい、こいつをくれ、小銅貨一枚だよな?」
「うん!そうだよお兄ちゃん」
俺が声を掛けたらババァではなく、ロリっ子が応えてくれる、これは癒やされますわ~、さっきまで文句ばっか言ってごめんなさい、女神様!マジ女神様だわ、俺はあんたを信じてたよ!
「うひひ、お嬢ちゃん、お母さんのお手伝いえらいねぇ、じゃあご褒美にお小遣いあげちゃうぞ」
気分がイイので俺はようじょに釣りから小銅貨を一枚多めに渡そうと思って財布を覗く、すると前回は両替されていなかった銀貨が今回はきっちり両替されてた。
マジ女神様仕事が速いな!こいつは奴隷商も期待できるかもしれん!一回目はガチャすら引けなかったし、今回は大分改善さてるかもしれないな、こういう企業努力が見える運営はユーザーにとってはありがたい!
仕事の早い女神様に感謝して笑顔で幼女に小遣いを渡してから、俺は期待に胸を膨らませまずは念の為に冒険者ギルドに向って、冒険者登録をしていくことにした。
「念のため簡単に奴隷を買えるか確認だけしておくのも忘れないようにしないとな」
そう思いながらギルドに辿り着いた俺は、さっきと同じギルド嬢に声を掛けて冒険者登録をする、二度目なのでさすがにもう緊張はしない、俺は出来る男だからな!
「ギ、ギルド登録に来たんだけど、き、君でいいよね?」
「はい~、私が担当ですよ~、国民証を見せて頂けますか~?」
さっきと同じ流れなので、素早く俺は国民証をギルド嬢に渡す。
「あれ~?貴方もうギルドに登録が済んでますよ~?」
はぁ?もしかして引き継ぎなの?そりゃ無いぜ女神様、そういうのはメールとかでお知らせするのが常識だぞ!そういうユーザーへの配慮が人気を左右するんだぞ?
「え?あ、あの、そ、その……、そうだ!最初に登録した時に聞くのを忘れた事があったんだった~、ごめんごめん!」
しょうがないので俺の主人公力で華麗に誤魔化した、これなら少し疑問に持っても騙されるはずだ、だってコイツ馬鹿そうだし。
「え?ええと、じゃあ何をお聞きになりたいんですか~?」
よしビンゴ!俺の華麗なテクニックで、こいつはまんまと騙された!いや、騙す気はなかったんだ、でもやっぱこういうのは女神様がちゃんと教えてくれていれば避けれた危機だった、これはいわゆるコラテラル・ダメージってやつだ、多分違うけど。
「登録しただけじゃ奴隷を買えないって、あっちの偉そうなおっさんに聞いたんだけど、そうなのか?」
ここはおっさんがウソをついていないか聞いておくべきだろう、きっとあのおっさんの事だし勝手な俺ルールでいい加減なことを言っているに違いない!アイツからはウソの味がしたからな、なめてはないけど俺には分かるんだぜ?
「ああ、そうですえ~それは法律で決まっていますから~、最初はなにか依頼をこなして冒険者の実績をつくってくださいね~、なんでもいいですけどやっぱり討伐が一番じゃないかな~って思いますよ~」
鼻にかかったような甘々ボイスで指を立てながら首をこてんと倒してしゃべるギルド嬢、あざとい、さすがギルド嬢あざとい!そんな事された日には、よ~し俺様がんばっちゃうぞ~!っていうしかないじゃないですか~!
「そ、そうなのか?なら早速なんか適当にやって来る、討伐で一番簡単な奴をくれ」
かっこ良く決まった!これはギルド嬢が惚れても仕方ないだろう、だが俺には奴隷ガチャを回すという尊い使命があるのだ!残念ながらギルド嬢は次回へ繰越death!
「はい~じゃあ最初は魔鼠ですねー、王都から出た森の側に居ますから、討伐した証のしっぽを持って帰ってきて下さいね~」
がんばれ!がんばれ!のポーズで内容を語るギルド嬢、これはけしからん、ぜひベッドの上で言って欲しい感じである。
「おっけー、んじゃ行ってくるわ、何匹でもいいんだろ?」
「はい~常時依頼ですから、1匹からでもいいですよ~」
最初はホーンラビットとか、スライムじゃないのは運営の女神様のこだわりなんだろうな、まぁ最初の雑魚には変わりないし、適当な武器でも買ってさくっと狩ってくるか~。
やっとなんかいい感じに中世っぽいファンタジー感が出てきた、女神様、今とても満足しているよ、さぁ俺の新しい冒険の始まりだ!
此処から先は本編に関わってきますので、彼のお話はここで終わりです。