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【耐久力/HP】 ~ルール無視して勝手に死ぬな~

※今回HPやダメージを扱う関係上、やや残酷な表現ありです。ご注意下さい。

 今回は、【耐久力】、或いは【生命力】、【VIT(バイタリティ)】の能力値の話です。

 あと、付随して【HP】(ヒットポイント)の話も含めます。


 主な用途は、防御力やダメージに対する抵抗性、あとは毒や病気に対する耐性等、とにかく「死ににくい」キャラになる為に必要な能力値ですね。

 【耐久力】についてはこれ以上書くことが見つかりませんので続いて【HP】のお話。こちらが今回のメインテーマです。



▼首ナイフ問題


「首ナイフ問題」と呼ばれる、TRPG(卓上RPG)界隈では有名な議論があります。


★要注意★ Google等でこの用語を検索すると残虐シーンの写真が出てくることもありますので、もし検索の際は必ず画像表示をOFFに設定して下さい!! ★要注意★


 問題の内容としては、「悪人が人質の首筋にナイフを突き付けて脅してきた。さあどうするか?」という、まあありふれたシチュエーションです。

 ここでルール的に厳密に考えて「ナイフのダメージ期待値は低いから一回ぐらい刺されても死なない」と判断し、容赦なくその悪人に攻撃を続ける人が割と居ます。マジで居ます。


 まあこの論題はある意味思考実験みたいなもので極論に近いのですけど……

 結論としましてはGM(=ゲームマスター。シナリオを進めたり処理や判断を下す人)の裁定が何より優先しますので、こういうケースではGMが死ぬよと判定すれば成す術も無く即死する訳なのですが。


 実際のところ、ストーリーの都合で【HP】に関係なく死ぬ事例は上記の卓上ゲーム業界に限らず古今東西非常に多いですよね。コンシューマーゲームでもネット小説でも……

 特にファイナルファンタジー2とか5とか7とか酷かったです。例えばガラフさんのフェニックスの尾すら弾く徹底ぶりとか。


 まあFFの話は置きまして。


 要は【HP】という概念が極めて「ゲーム的」な考え方であって、そのまま「物語(ゲームのシナリオも含む)」に持ち込んでもなかなか上手く行かない、ということを気に留めて頂ければと思います。

 ぶっちゃけると、【HP】というルールに縛られてストーリーや演出にしわ寄せが出るくらいなら最初から捨てちゃっても(【HP】というパラメータを無くしても)良いんじゃなかろうかということです。

 ファイナルファンタジー7みたいに、普段は【HP】制で殴り合ってるくせに重要なシーンでは話の都合でヒロインが対処不可能な形で即死するような展開は読者離れを引き起こしかねませんので要注意です。


 まあFFの話は置きまして。



▼部位狙いとか気絶とか


 【HP】の扱いと少し被りますが、皆さん、部位狙い(いわゆる手足を斬り落としたり目を潰したり)はルール的に処理してますか?

 恐らくは上で取り上げた「首ナイフ問題」と同様、物語的な都合優先で【HP】は考慮しないケースが多いかなと思います。


 部位狙いも一応、TRPGではルール上の前例とかがありまして、私が記憶している限りだと……


 例1.部位ごとに【HP】を持つ。例えば右腕には右腕用の【HP】があり、それが0になると右腕が失われる。


 例2.部位狙いを宣言し、一回の攻撃で【最大HP】の一定割合のダメージを与えるとその部位を破壊する。

 (当然、部位狙いは普通の攻撃に比べて命中判定にペナルティがつくので当たり難いです。特に“目”を狙うと高難度)


 ようなルールは小説と比較的相性が良いと思います。

 他にもクリティカル表を振るとかマニアックなものがありますが小説向きではないので割愛します。


 また、気絶や戦闘不能についても演出優先でルールが置き去りになってるものが多そうです。

 雑魚キャラは【HP】0になると即死するけど主要キャラなら一旦気絶扱いで救助を待つ、みたいな。


 これもルール的に対策可能で、例えば【HP】が0になると気絶、マイナス幾らになると死亡、みたいに境界線を複数持たせておくとご都合主義に陥らずに済むと思います。

 このようなルールなら負けても気絶するだけで死なないので主人公の敗北が演出上必要なら表現することができますし、同時に一撃で即死するような恐ろしいボス戦の緊張感も確保できます。



▼まとめ


 長々と書きましたが、【HP】は真面目に考えるとストーリーが成立しなくなる危険物ですので、よほど自信がある方でなければ作中でも適当にサラっと流す感じで良いと思います。

 ゲーマー目線で見ると【HP】の処理は「最も守られてないルール」に見えて釈然としないものがありますが、気にしだすとストーリーが破綻するからしょうがないと割り切ることも必要ですね。


 妥協案になる【HP】の扱いとしましては、ちょっと発想を転換して「【HP】が0になると死ぬ」ではなく「死ぬと【HP】が0になる」と考えて【HP】=どれくらい死に近いかの“指標”程度に留めておくのが無難だと思います。

 つまりは【HP】が低いと死が近くてピンチなのですが、例えば【HP】が満タンでも油断してると首斬られて即死しますよ、的な。


 中には最初から【HP】制を使わないことにする作者さんもいらっしゃいます。いくらゲームっぽい世界でも結局はゲームではなくて小説ですから邪魔なものは最初から使わないことにするのも英断ですね。



▼おまけ


拙作『レベル99の女勇者~』で、システム的なHPの削り合いを意識した戦闘の回がありましたので手法のネタばらしをしてみます。

クエスト07~08の回がそれに当たります。


まず最初に準備段階で主人公が、自分の攻撃力や相手のHPを分析し、「何回攻撃を当てれば倒せるか」を計算しました。

この時点で、因縁の中ボスを倒す為の戦術目標を「スキル≪雷神剣≫を4回当てること」に落とし込みます。

つまりは「何回斬れば勝てるか」が予測できた状態で戦闘を始めたのがキモです。

実際の戦闘で双方攻撃の応酬。

≪雷神剣≫は目論見通り効きますが敵の攻撃も強力で一進一退の攻防が続きます。

≪雷神剣≫を3回叩き込んだら、剣がアレして大ピンチ、そこから逆転できるかどうかの流れ。詳しくはネタバレなのでここでは伏せます。

展開的には、敵HPを知っているからこそ、「あと一撃で倒せるのにこんなところで!」的なピンチを挟むことで緊迫感を狙いました。


HP制、それとターン制も意識した分、展開や演出に非常に苦労した戦闘でした。

その分思い入れの強い回ですが、今にして読み返してみるとゲームシステム重視の戦闘描写はどうしても「ゲーム攻略日記」っぽい文章になってしまうのが難点ですね……


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