【戦闘】 ~磯野ー!模擬戦しようぜー!~
いきなり不真面目なタイトルで大変失礼しました。
今回は、【戦闘】の話です。今更かと思われるかも知れませんが、ある意味ここまでの集大成です。
▼模擬戦のススメ
・貴方の小説の中では、攻撃力500のキャラが防御力300の相手を攻撃したら、何点のダメージになりますか?
・貴方の小説の主人公が、仮に自分自身と戦うとしたら、命中率は何%で攻撃を何回当てたら倒せますか?
・通常攻撃のダメージに比べ、スキルを使った時のダメージは、何点くらいまたは何割ぐらい強くなりますか?
これらの質問の要旨としては、作中での「戦闘のルール」はきちんと決めてますか? ということです。
それには主に、行動順の決定、攻撃時の命中・回避判定の計算式、攻撃が当たった時のダメージ計算式、各種スキルや魔法のダメージ補正、HPが少なくなったまたは無くなった時の処理、などが含まれます。
究極的には、自作のルールを元に主人公と敵とで模擬戦を行い、その展開を再現するような文章にすれば、ゲーム物の小説としては正しい作りになる訳です。
ただ恐らく、ここまできっちり作り込む方は相当少ないのではないかと思います。
それでも、ステータスの数値はきっちり出してるのに数値計算の部分があまりにいい加減だと、戦闘の展開に矛盾が出てきたりします。単発の戦闘では解り難いでしょうけど、幾つかの戦闘シーンを比較してみた時に食い違いが発生し易くなりそうです。
せめて、「攻撃力と防御力の数値から大体どれくらいのダメージになるか」のイメージぐらいは把握しておいた方が便利だと思います。
▼ダメージ計算例
ダメージ計算式の一例として、「ドラゴンクエスト」シリーズの伝統的な計算式をご紹介します。
ドラクエでは通常攻撃のダメージはシンプルな計算式になっていて、「(攻撃力÷2)-(防御力÷4)±乱数」になります。
例えば上記の例だと、攻撃力500のキャラで防御力300の相手を攻撃すれば250-75=175点前後のダメージです。(会心の一撃が出なければ)
スキルを使った攻撃も、この175点を基準に一定倍率を掛けることで計算しています。
ちなみに、メタルスライム系は防御力が1000ぐらいありますので、こちらの攻撃力が500を超えない限りまともなダメージが入りません。
この計算式の特徴としましては、例えば攻撃力と防御力の数値が同じぐらいの成長量で育つ場合でもそれなりにダメージが徹り戦闘が硬直化しない点を挙げます。
何も考えずにステータスを決めると、攻撃力1000・防御力1000のように似通った数値になり易く、仮に「攻撃力-防御力」の計算でダメージを算出するとしたら同格の相手に全くダメージが出せないことになるのです。
そんな訳なので、作中のステータスの数値と照らし合わせて、戦闘の展開が破綻しない計算式を導入されることをお勧めいたします。
▼ターン制戦闘とリアルタイム制戦闘
RPGの戦闘システムはターン制が多いですが、元々はボードゲームやカードゲームのようなアナログゲームの概念をコンピュータに輸入してきたシステムですので正直なところ小説には落とし込みにくいです。
MMOになるとターン制ではなくリアルタイム制の戦闘が多く、VRMMO物の小説なんかでもそれに近い戦闘システムが主流のように思われます。
コンシューマーだと「テイルズ・オブ・~」シリーズが、格闘ゲームを意識したリアルタイムアクション型の戦闘方式を取っていて、シリーズの一つの売りになってます。
小説の描写としても、リアルタイム制の方が現実的感覚に近くて書きやすいでしょうね。
両者の中間として、「ファイナルファンタジー」シリーズでは4作目からATBを導入しており、これはターン制をベースにした考え方ですが敏捷が高い程行動順が頻繁に回ってくるコマンド入力式になってます。
また、ドラクエなどでもボス敵が1ターンに2回行動するのはザラで、昔ながらの「1ターンに敵も味方も1回ずつだけ行動」という大枠が崩れつつありますね。
ターン制主体の世界観で小説を書く場合でも、「強い奴は1ターンに複数行動しても良い」という逃げ道を用意しておくことで、戦闘シーンの描写や展開のバリエーションも増やせるものと思われます。
▼紹介コーナー
『バトルの書き方~その戦いに力はあるか!?~』
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戦闘描写特化の書き方系エッセイです。
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