【スキル/魔法】3 ~魔法が魔法であるために~
D&DやWizardry、そしてドラクエの頃から、RPGには【魔法】とか【魔術】とか【魔導】とか【呪文】などがつきものでした。
今でもファンタジー物ではやっぱり【魔法】は欠かせない立場に君臨してますね。
最近では膨大な【スキル】の中の一分野で小さく纏まっていることも多いですので、本作でも【スキル】カテゴリの一分野として【魔法】を扱いたいと思います。
▼【魔法】の独自性を考える
【スキル】が多様化してくると、【魔法】の独自性は相対的に低くなってしまいます。
例えば、「銃弾に炎を纏わせて射出する≪フレイムバレット≫という銃スキル」があった場合、「炎の矢や球を投げつける魔法」の優位性が薄れてしまいます。道具とスキルがあれば似たようなことができますので。
(この場合、銃弾と魔法との細かな違いや一長一短については横に置いておきます。要は「魔法を使わなくても似たようなことができる事例」を取り上げたかっただけです)
特に、クラス(職業)制システムでクラス毎にスキルツリーが用意されていてポイントを費やしてスキルを修得していくような形式の場合、魔法は数あるスキルの中での一系統に過ぎないという位置づけになっていきます。
ですが、魔法の修得には大抵難しい勉強があったり厳しい修行に耐えたり面倒臭い師匠に振り回されたりと大変なコストがかかる実情を考えますと、スキルが多様化された世界ではあっても魔法には何らかの独自性があっても良いという考えもまた自然なものです。
さて、皆様はどちらの世界観が好みでしょうか?
▼【魔法】の独自性・特殊性を高めるには
魔法が特別なものである、という世界観を演出する場合、通常のスキルとどう差をつけるか、過去のゲームの事例を少し拾い上げてみます。
1.魔法以外のスキルを持ち込まない
古典RPGタイプ、例えばWizardryとかドラクエ3とかの手法です。
これだと戦士キャラは通常攻撃するだけなのでちょっと面白みに欠けますが、魔法の特別感は保障されます。
あとは魔法以外のスキルを大人しめのものだけに設定する手もあります。例えば≪薙ぎ払い≫や≪二段攻撃≫等、現実でもできそうな技だけに絞って、≪火炎斬り≫みたいな魔法ダメージ技は使えないようにするとか、ですね。
2.魔法スキルに影響を及ぼすギミック
魔法スキル全般に影響を及ぼすアイテムやスキルやトラップやその他ギミックを出す手もあります。
例えば特定の杖を装備すると魔法スキル全般の命中率とダメージが上がるとか、特定の属性の魔法スキルの消費MPを軽減させる宝珠とか、よく見かけます。
また、魔法スキルを封じる呪文(例:マホトーン)や、範囲内では魔法が使えなくなるトラップ等、効果が多彩な分対策も充実しやすいかも知れません。
3.マジックアイテム作成
例えばGURPSだと、魔法を物品に付与したりスクロールに書き込んで他者が使えるようにできるルールが用意されています。
「なろう」内の作品でも、エンチャント技術を駆使して自前でマジックアイテムを作り出す展開は人気があります。
このようにマジックアイテム関連の仕様で他のスキルと差をつけることもできます。
4.n倍消費、拡張性
ソードワールドRPGでは、魔法使用時に精神点を通常よりも多く使用することで威力や成功率を上げることができます。
このようにMPの消費量を変えることで効果をカスタマイズできる等の拡張性を持たせる考え方もありそうです。
5.魔法の合成や創造
これはゲームよりは「なろう」で見る小説に多い手法ですが……
複数の魔法を組み合わせたり応用したりして新しい魔法を創りあげる発展性が考えられます。
勿論魔法に限らず一般のスキルでもイメージを広げることはできますが、参考になる前例の量だとやっぱり魔法が飛びぬけていて、お手本にも事欠かないと思います。
▼【魔法】の独自性・特殊性を気にしないなら
気にしない場合は、上記の逆の方法論を取れば良いです。特にスキルは剣士やガンナー等にも派手な演出の技をガンガン入れてしまいましょう。
この考え方のメリットは、魔法独自のややこしいアレコレを気にしないで済むため、各職間でスキルの強さ・便利さのバランスを取り易いことです。
あなたの小説の主人公が剣士タイプで魔法にあまり拘りを見せない場合、こちらの手法でスキルや魔法周りのデータを構築した方が有効かも知れません。
勿論主人公が魔法寄りタイプだったり主人公のユニーク能力が魔法関係だったりする場合は、ストーリーの根幹に関わりますので徹底的に拘り抜くのも良いでしょう。
▼紹介コーナー
『和製ファンタジーにおける”魔法”の設定について』
(http://ncode.syosetu.com/n0976bz/)
作者さん向けエッセイです。魔法について広く深い考察がなされています。