【スキル】2 ~魅力的な「弱点」は要りませんか?~
【スキル】の話の続きです。今回は「連携」と「弱点」について。
▼連携やコンボを意識してみよう
単体で馬鹿みたいに強いスキルがあったとして、それを連打するだけでどんな敵にも勝ててしまうのはゲームとして失格です。
漫画だと「定番の必殺技」があって勝負を決めるシーンでは必ずそれを使う展開が絵的に燃えますが、ゲーム寄りの作品だとむしろ様々なスキルの組み合わせや相性による丁々発止のやりとりが醍醐味であって欲しいと思います。
以下に、ゲームでお馴染みな組み合わせをご紹介します。
1.Buff(バフ=強化)やDebuff(デバフ=弱体化)
特にダメージ倍率が掛け算で上がっていくシステムだと強化・弱体の重ね掛けが非常に有効です。
但し、ゲームによっては一度にかけられる強化・弱体スキルの枠数に上限があるものもありますので、ご自身のバランス感覚と相談して上限を設定すると良いと思います。
また、範囲にかけられる強化スキルであれば仲間の人数が多ければ多い程有利です。
2.あるスキルの弱点を別のスキルで補う
例えば「威力は超強力だけど命中率が低い」浪漫スキルがあったとすると、そこに命中率上昇スキルを加えることで一気に実用レベルに上がります。
このように、弱点を補うことで一気に強くなるスキルをさりげなく配置しておくと、作家としてだけではなくゲームデザイナーとしても評価されると思います。
3.地形操作やらバッドステータス付与やらを駆使する
石の壁を立てたり濃い暗闇を発生させて視界を封じたり、相手を毒状態にしてあとは逃げ回って時間を稼いだり、正々堂々とした勝負からは外れますが手段を選ばず勝ちに行きたい場合は一考の余地がありそうです。
ただ平原で殴り合うのではなく、戦術・戦略的な戦いが好きな方にお勧めです。
4.コンボを決める
単体では微妙なスキルを組み合わせて強烈な効果を発揮するコンボもカードゲームの華ですね。
綺麗に決まれば読者をあっと驚かせることが出来ますので、作中人物目線のみならず作者・読者目線でも一種の「必殺技」になりえます。
実例はここでは省きますが、カードゲームを調べると本当に色々なコンボが存在します。参考にされてみては如何でしょうか。
5.協力技
昔のドラクエで「ミナデイン」という呪文がありました。4人分の行動を食う割に効果の程は微妙でしたが、複数人で協力して一つのスキルを使う展開は物語として滾るものがあるかと思います。
また、MMO等でも「ギルドスキル」と呼ばれる、パーティやギルドやクラン(呼び方はゲームにより異なる)のメンバー全員に影響を及ぼすスキルが存在します。パーティやクランを結成するメリットの一つですね。
システム上でパーティを組んで行動するタイプの世界観なら、個人のスキル以外にパーティ用スキルをみんなでわいわい言いながら選ぶのも良いのではと思います。
▼弱点を作ろう
ただ単純に強いだけのスキルは、大抵皆さん同じようなことを考えますのでどうしても同業他者さんの作品に埋もれてしまいます。
強力な効果に見合ったペナルティを設定して、インパクトを強めたり迂闊に使えない「切り札」感を演出したりするのも一つの手だと思います。
こちらも、ゲームではお馴染みな弱点をご紹介します。
1.命中率、成功率が低い
有名どころでは「まじんぎり」とか「クライソウル」みたいな大技ですね。
上の「連携」の項目でも書きましたが、他のスキルで命中率を上げるように仕向けると凶悪になります。
2.HPや防御力を犠牲にする
コストとしてHPを減らしたり、攻撃力を上げる代わりに防御力を下げたりといった、前のめりなスキルにも華があると思います。
HPを減らしすぎた挙句に流れ弾で倒れたりするのもお約束です。デスゲームでないVRMMO物でしたら気兼ねなく死なせられるので安心ですね。
3.無差別範囲攻撃
敵味方問わず吹っ飛ばすような広範囲攻撃もよく見かけます。味方や人質が居る場面で使うには一工夫必要になりますね。
勿論デスゲームでないVRMMOなら状況によりけりですが気兼ねなく吹っ飛ばすのも有りだと思います。
4.「溜め」時間が長い
いわゆるエネルギーチャージに時間がかかるアレです。パワーを溜めてる間、主人公抜きで仲間達だけで時間を稼ぐ展開が鉄板でしょうか。
または溜め時間の亜種として、スキルを使った後に重大なペナルティが襲い掛かって来るスキルも考えられます。(例えば全能力値がダウンしたり深い眠りに陥ったり)
5.使用条件が厳しい
格闘ゲームの超必殺技みたいに、HPが一定値を割り込まないと使えないような技もたまに見ます。
他にも、「その戦闘中に何らかの準備行動を取らないと使えない」とか「特定の仲間やアイテム等が必要」とか、色々な条件設定が考えられます。
▼紹介コーナー
『天啓的異世界転生譚』
(http://ncode.syosetu.com/n5652v/)
一癖も二癖もある難物な特殊能力が多く、それらを使って綱渡り的に冒険を繰り広げる作品です。
コメディ色が強く、合う合わないは分かれそうですが、物語構築やスキル設計で学べる点が多いです。
また、商業作品ですが、『HUNTER×HUNTER』(漫画)や『Magic: The Gathering』(カードゲーム)も、スキル構築のアイディアを得たりバランス感覚を磨いたりするのに参考になると思います。