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【ステータス】 ~単なる文字数稼ぎにならないために~

 今回は、ここまでの纏めみたいな形になりますが、「【ステータス】表示」について考えてみましょう。

 ゲーム世界物の小説ではお馴染みになった表示形態ですが、あまり多用しすぎても読者さんから鬱陶しく思われたりする場合もありますので、ポイントを絞って効果的に使うのが得策かと思います。



▼基本は「相対化」


 【能力値】の項目でも書きましたが、【ステータス】表示としてキャラの強さを数値化することの最大の意義は「他の人と比べてどれくらい凄いのか」が明確になる点です。

 つまりは、主人公だけ【ステータス】をどんどんと出しても、比較対象が居なければそれが凄いのかどうか判断しようが無い訳です。


 なので、【ステータス】表示を出すならば、主人公+仲間全員とか、主人公+これまでの敵とか、比較しながら読み進められる形式にするのをお勧めします。

 あとは、脇役・チョイ役の皆様方も「この人は○○の能力値がこれくらいです」等得意分野に絞って一行だけでも出演させると、そのキャラを思い出す助けになりますし感情移入度も高まります。


 一度に多数のキャラの【ステータス】を出す場合、下手するとそれだけで1話埋まってしまいそうなボリュームが出てきますので、例えば物語の節目毎に「ステータス表示回」として別個に尺を取るのも良いと思います。

 あまり頻繁に【ステータス】を並べていると「本文よりステータスが長い」ことになったりしますのでお気をつけ下さい。



▼ステータスに「表示するもの」「表示しないもの」を決めておこう


 標準的なゲーム世界小説の場合、【ステータス】表示では大抵名前や年齢や性別、種族やレベルや職業、あと能力値やスキルが並ぶようです。

 ただ何もかも先例に倣う必要はありませんので、作者様の好みや物語の都合で表示の有無をカスタマイズすると良いでしょう。

 その際の想定される疑問点や判断の助けになりそうなものを以下に挙げます。


 ・名前、年齢

 本人が自分の本名や年齢を知らない場合、どう処理しますか?

 【ステータス】看破がいわゆる「真実を見抜く眼」のように本人の知らないことまで見ることができるのか、それとも履歴書のように本人がどこかで登録した内容が映し出されるのか、予め決めておくと良いでしょう。


 ・修得スキル、魔法

 覚えているスキル名や魔法名だけ出しても、効果が判らなければあまり意味がありません。

 反対にスキルや魔法の効果を事細かに記すなら、今度は文字数が増えすぎて邪魔になってしまいます。

 対策としては、初出のスキルや魔法だけ解説を入れるか、できるだけ判り易い名前にするか(≪剣術≫とか≪火球の魔法≫とか)、最初からスキルは【ステータス】に含めないかが考えられます。


 ・現HP、MP

 HPやMPを数値で管理する世界の場合、現HPや現MPを表示しだすと大変になります。

 傷を受ける度に現HPを表示し直すのはゲーム的ではありますが書く側も読む側も大変です。また、謎のパワーで低いHPからトドメを刺されるはずのところを持ちこたえたりするのは物語の作り方として王道ですが「これまでのHP管理は何だったんだ」と言われます。

 数値優先か物語優先か、自分の小説がどちらのスタイルに合う最初に考慮しておくのをお勧めいたします。


 ・特殊能力、加護、神業(など)

 特別なスペシャルパワー(大抵スキルの上位に位置する特殊能力)が設定されている世界もあります。

 そういう場合、そのスペシャルパワーの呼び方や【ステータス】表示での扱い等を考える必要が出てきます。


 ・称号

 ゲームでもお遊び要素で「ある特定の行動を取ったり特殊な実績を打ち立てたりする」と何かの称号が得られたりします。

 キャラクターの個性付けに使える手法ですのでご一考されてみると良いと思います。



▼看破と隠匿のいたちごっこ


 作品によっては、主人公が他人の【ステータス】を覗き見たり、または自分の【ステータス】を隠したり、そういう展開がたまにあります。

 その場合も、【ステータス】を看破したり隠匿したりする際の原理を決めておくことで、頭脳戦っぽいやりとりが演出できると思います。


 例えば、【ステータス】を調べるのはどういう原理なのか? 体組織や脳細胞をスキャンできる便利な魔法なのか、どこかに魔力的なサーバーみたいなのがあってそこに全ての情報がデータベース化されているのか、それとも各自が所持している冒険者カードみたいなものの中に書き込まれているのか。

 情報を隠す場合は、自分の能力を封印してあえて弱くなるのかあるいは冒険者カードの情報を(フェイク)に書き換えるのか。


 また、自分が情報を隠せる場合、相手も同じように情報を隠してくるかも知れない、または相手が隠匿を看破してくるかも知れない、そう考えるのは自然です。

 その場合、直接的な戦闘を離れて【ステータス】情報を巡る頭脳戦のような駆け引きが繰り広げられることもあるでしょう。書き手としては戦闘がマンネリ化した時に新しい展開を試すチャンスでもありますので積極的に頭脳戦を書いてみるのも良いのではと思います。



▼縦書きを意識する


 もし貴方の小説が書籍化するなら、ほぼ間違いなく縦書きの書式で世に送り出されます。

 ただ、一度縦書きで見てみると判りますが、【ステータス】表示は縦書きととても相性が悪いです。

 特に桁数の多い算用数字は要注意です。調子に乗って能力値の値を天文学的な数字にしてしまうといざ書籍化の際に困ることになりかねません。


 レイアウト的にお勧めは、数値よりもA~Eとかのランク製でアルファベット一文字に収めることですが、数字を使う際は下の桁を適度に四捨五入して「戦闘力五十三万」とか「魔力二○○億」とか漢数字で表すのも有効です。



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