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プロローグ
木々の梢に薄紅色の花が咲き乱れ、風が柔らかさを孕む。
見上げた先は雪の様に舞散る花弁で溢れていた。
今年もこの季節がやってくる。
貴方と出会い、別れた季節。
貴方に出会えたことはわたしにとって奇跡とも言える事で。
出会えた事実だけで、私は幸せだった。
貴方が残してくれたものは今でもわたしの中に確かに息づいている。
いつかまた、貴方に会えたなら。
また、共に駆け抜けることができるといい。
どんな形でも、どんな姿でも。
また貴方と出会える日を願っている。
もう会えないとわかっていても。
貴方はもういないのだとわかっていても。
それでも。
貴方の魂がどこかに転生しているのであれば。
また会えると信じている。
きっとまた、わたしは貴方に会えるのだと。
だって。
わたしたちは時間さえ超えて。
出会うことが出来たのだから。
だからきっと……。
わたしはきっと、貴方を見つけられる。
そう信じているのだ……。