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その後……

「本当に終わったの?」


 スザクが元に戻った姿を見て、少しだけ不安そうな声を出したのはアリスだった。いくら、スザクが戦闘状態を解いたからといって、ゴーレムの時のような復活や増援のことを考えると気を抜けなかったためだ。

 それはフランとアヤカも同じらしく、スザクを見て反応を伺っている。


「大丈夫だろ。っていうか、今のお前たちなら問題なく倒せるんじゃね? ちょっと弱めのボス程度なら余裕で」

「どういう意味だ、それは?」


 スザクの言葉にアヤカが訝しげな表情で尋ねる。


「原因までは分からないけど、三人同時でなら魔王の結界を破れるほど強くなったってことだよ」

「そうなんですかぁ? さっきの結界はかなり弱く感じましたけどぉ?」

「あ、私もそう感じたよ? スザクのおかげでそこまでの魔力が残ってなかったんじゃないの?」


 フランの言葉にアリスも同意して尋ねてくる。

 スザクは少しだけ休憩させて欲しかったが、どうやらそんな状態ではないみたいなので仕方なく答えることにした。


「いや、三人の攻撃ぐらいなら凌ぐ程度の魔力は残しておいたと思うぞ? さすがに三人は結界で守られて無事だったっていうのに、俺だけを倒すためだけに全力を出すほど馬鹿じゃないさ。つまり、結界を破壊できるだけの実力が急に生まれたってこと。アヤカも魔剣の制御に成功してたみたいだしな」


 そう言って、アヤカが持つ刀を見つめる。

 戦闘状態ではないためか、すでに刀身は黒く戻っていた。


「うむ、この刀の仕組みがいまいち分からないな。なんで、今は通常状態に戻ってるんだ? かなり前に使った時も暴走しかけたから使わなかったというのに。それに私の時は刃が白く変化したのに、スザクの時は黄金に光ってたんだ?」

「さあ? 俺にも分からない。つか、俺が持ち主でもないのに答えられるはずがないだろ? そもそも、その刀はどうやって手に入れたんだよ」

「親から渡された。いつかは必要な時が来るからって。魔剣だから使用する時は死を覚悟して使うように、とは言われていたが……」

「さようですか」


 普通に答えるアヤカに少しだけスザクは呆れてしまう。

 そんな危険を忠告されているものを使う展開になってしまったのはしょうがないとしても、その剣のことについての知識を知らなさすぎるからだ。そんなことでは今回は偶然使えたみたいだが、再び操られる姿がスザクには見えた気がした。

 急に「あーっ!」と大きな声を上げるアリス。

 全員の視線が自然と集まる中、


「そう言えばさ、今までどこにいたの? 私たちが結界を破ったのは知ってたみたいだけど?」


 とスザクに不満そうな表情を浮かべて、スザクへと詰め寄る。


「あ、言われてみれば……。なんで、私たちが結界を破ったのを知ってるんだ?」

「そうですねぇ。姿が見えたのは『獲物を取るな』って言った後ですしぃ」

「まるで、どこからか見ていたような言い方だったな」

「どこにいたんでしょうかぁ?」

「居たんだろうな?」


 フランとアヤカもそのことに気が付いたらしく、アリスと同じようにスザクへと詰め寄る。

 三人とも笑顔なのだが、目が全く笑っていない。それどころか、三人はそれぞれに戦闘準備をしていた。アリスの手には炎が、フランの隣には先ほどの二体の魔物が構え、アヤカの持つ刀は刀身を白く変化している。


 これでは本当のことなんて絶対に言えない、と悟るスザク。

 実はあの自爆自体は聖気により防げていた。そして、遺跡の崩壊する前にフランとアヤカを回収した時と同じく光速移動し、三人より先に上空に逃げ、魔王の警戒を解くために気配を消して、魔王の行方を探していたのだ。すると、あろうことか先に魔王を見つけたアリスたちが戦闘を開始したため、乱入するタイミングを探っていると結界を破壊する場面を見てしまったのである。


「あ、あはは……。つ、疲れたから、説明はまた今度ということで……」

「うーん、そうだよねー」

「確かに疲れたな」

「はい、確かにまだ疲れが完全になくなったとは言いにくいですぅ」


 スザクの苦し紛れの後回し発言に三人も少しだけ苦笑し、乗っかってきた。内心、「助かった」と思ったのも束の間、


「許すわけないだろう?」

「ワタシたちの心配した気持ちを今すぐ返してください!」

「――というわけで、今からお仕置きタイム」


 乗ったかに見えた三人はすぐに意見を覆し、スザクへのお仕置きが開始される。

 それは今までのような手加減のお仕置きではなく、スザクの実力を考慮した上での本気のお仕置きだった。


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