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扉の破壊

 三人は扉の前に辿り着くと自然と横一列に並ぶ。

 扉の奥からは音が何一つ聞こえないため、三人とも少しだけ不穏な空気を感じていた。


「いったいどうしたんでしょうかぁ。ゴーレムさんもまだ寝てるんですかねぇ?」

「ああいう、石で出来たタイプって寝るのか?」

「さあ、知らない」


 フランの疑問に対して、二人とも答えをもってなかったので自然と首を傾げる。


「――って、そういうことはどうでもいいの。この扉をどうやって開けるかってことでしょ? 扉から少しだけ魔力を感じるんだけど……」


 アリスは扉に近寄り、軽く触れてみる。

 かすかに感じる魔力の原因は、魔法による施錠が施されていることが原因だとアリスは気付く。しかも、初心者が簡単に覚えられるような解錠の魔法ではなく、かなり複雑な設定をされた施錠だった。

 少なくとも偶然ここまで来たような冒険者たちでは無理な品物。


「やっぱり魔法による施錠かー。じゃあ、今から解除に移るね?」


 アリスがそう言った直後、アヤカから、


「前から思ってたんだが、これって物理的に破壊できないんだろうか?」


 と疑問が投げかけられる。


「定番のぶち破り方式ですねぇ。そういうの少しだけ憧れますぅ!」

「やってみる?」


 アリスはアヤカの気持ちを汲んで、すぐさま扉から離れる。

 フランはともかくアリスは「無理だ」と言って静止をかけてくると思っていたアヤカは、思わず驚いた表情をしてしまう。


「止めないのか?」

「止めた所で、いつかまたは同じ疑問が来そうだからね。というか、破壊できないわけではないと思うよ? 単純な話、この扉に施されてる魔法の防御壁を破壊出来るだけの攻撃を放てば良いだけだし。それに、その破り方とかって結構その場のノリとか空気を良くするものもあるでしょ?」

「おいおい、私やスザクはともかくとして、二人の内、どっちかは止める役はしないと駄目だろう」


 なんて苦笑するアヤカだったが、


「ま、許可を貰ったんだから、遠慮なく破壊させてもらうか!」


 と言って剣を抜く。

 扉がアヤカの間合いに入る位置まで近寄ると、目を閉じて精神集中をし始める。剣に気を送って最大限まで強化し、それを一気に解放することによって扉を破壊するイメージを脳内で作り出す。

 失敗する可能性だってある。しかし、それ以上に成功することへの渇望と絶対的自信が不可能を可能にする事をアヤカは知っている。


「はっ!」


 その絶対的イメージと共に扉へと一撃を打ち放つ。

 扉は轟音と共にその床を抉ったことにより、溜まっていた埃が舞い上がり、アヤカの姿を隠した。

 と同時に何かが崩壊する音が遺跡内に響き渡る。


「成功ですかぁ!?」


 フランは埃に咽ながらアヤカに尋ねる。


「ああ、やれば出来るものだな」

「許可したけど、こんな物理的な破壊出来るのはアヤカぐらいなんじゃないの?」


 アリスは驚きを隠せず、少しだけ皮肉交じりに言った。

 いくらアヤカでも破壊出来ると思っていなかったからだ。会話的にチャレンジしてみたそうだからやらせてみたものの、本当に成功するとは思ってもみなかった。


「やれば出来る。それだけのことだろう。さ、中に入る準備をするぞ」


 アヤカは剣をしまうことなく、手に持った状態で二人に呼びかける。

 すでに準備出来ているアリスはアヤカの隣に立つ。

 フランはその言葉に対し、腕をナイフで掻っ切り、いつものように血の水溜りを作り、十体程度の魔物が召還。

 そして、アリスに習ってアヤカの隣に立つ。


「お待たせしましたぁ」

「よし、じゃあ行くか」


 アヤカはそう言って一歩を踏み出す。


「そうだね!」

「ですねぇ!」


 二人もその言葉に従うように部屋の中に入った。


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