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第四章 票
異世界へと誘う数多の扉を、俺は幾度も開けてきた。夜が更けても枕元の明かりで読みふけった。開いたままの頁から世界が流れ出してしまう気がして、ちょっと席を立つときでも、しっかりと表紙を閉じていた。
異世界で何度も体験した劇的な出来事は、自分の身に起こればまるで悲劇だ。
実家の掘り起こしと、家に寝に帰るだけの毎日。両親の跡も継がずに得た書司での左遷。やりたいこととやるべきことと、やった方が理想のこととの板挟み。泣き言を言う暇もない日が続いていた。
その日常が変わったのは、彼女に会ってからだった。
彼女のおかげで、俺は両親の遺言を目にすることができた。
今までの俺は不安だったし疑っていたのだろう。でも、俺は確かに両親に想われていた。
全てが終わったら。それがどんな結末でも。
自分のために、お茶を煎れよう。陽当たりのいい簀子で、うとうとしながら。




