第二十一話
私を中心に半径二メートル程の水を引き寄せ空中に浮かんでみる…うん、特に疲れたりもしないし能力を使った反動とかもないっぽい。
陸でも息ができるなら水を纏い移動する必要はなかったが、人魚=水なイメージだったので一緒に引き連れていく事にした。
それに魔物が現れた時水の弾丸が使えるしやっぱり水があった方が何かと便利だ。
ふよふよと水面から一メートル程まで上昇し、陸に向かい移動を開始する。
初めての場所だし何が起こるかわからないので警戒しながら進んでいく。
…おかしい、静かすぎる。前にいた森は鳥の鳴き声があちらこちから聞こえていたし、私が近付けばその分遠退いたりはするが生き物の気配はちゃんとしていた。
やばいなんか怖いんだけど…。
耳が痛くなるような静寂の中必死で自分を奮い立たせる。
さっきの池に戻って引きこもりたい気持ちをなんとか押し止め、行動しなければ何も始まらないと自分を叱咤し気合いを入れ直す。
この死んだような森の中一人で進むのは怖いがここにいても始まらない、再びゆっくりと前進し始める。
ぷかぷか。
ふよふよ。
ぷかぷk…お?
まだ遠いけど何かの気配がする!
これは行ってみるっきゃない!
ドカ!ゲシ!バコ!
まものたちはぜんめつした!
はい、魔物でした。
抜か喜びさせやがってコンチクショー!
暫くふよふよとあちこち漂ってみたがやっぱり生き物は見当たらない。
そのかわりといっちゃ何だが、魔物とのエンカウト率が半端ない。
魔物多すぎワロタ。ちょっと精神的に疲れたので休憩がてら理由を想像してみる。
『えー、魔物多すぎる気がするんですけどそこんとこどうでしょうかちょっと死臭がする森先生。』
《はい、動物達は食われまくってます。みんな気配をできるだけ小さくして隠れてるんですねぇ。もうあんまりいないけど。絶滅寸前だけど。》
『ハイ、森先生の解答でした。ありがとうございましたー』…っと。
え、まじで?
私のかわゆいもふもふ達は?
近付けないけど見ているだけで癒されるもふもふ達は?
もふもふ達は………もふもふたち…もふもふ…。
魔物、許せねえぜぇええええ!
貴様らは私を怒らせた。その罪、死をもって購うがいい!
―少女無双中―
気が付けば私を包む水は大分小さくなっていた。頭に血がのぼって水の弾丸使いすぎたな。
水がなくなったらこの姿も解除していつもの感じに戻ろうかな。
…でもせっかく苦労して色々頑張ったのに勿体ないなぁ。
うん、近くに水辺がないか探してみよう。あったら補給してちょっと休憩してからまた狩りに行こう。Levも結構上がったし、ここの魔物ならもう楽に倒せるようになった。
大分殺してまわったけどまだまだ気は晴れない。異常繁殖した魔物達はあっとゆう間にこの森に生きる全てを食い殺してしまうだろう。
何故こんな状態になったのかはわからないが、生き物のいなくなった森は朽ちるしかないのだ。
手遅れになる前に一匹残らず見つけだして根絶やしにしてやる。もう手遅れっぽいけど。
いいやまだギリギリ大丈夫なハズだ、ギリギリ盛り返せる!きっと大丈夫!
なんだかよくわからない励ましを森に送りながら水辺をさがして奔放する。
むむむ…近くには見つからない…。
一旦森の上まで出て上空から探してみようかな、うん。