第十九話
滝を落ちたとこまでは覚えてる。
後はもう揉みくちゃ。
水の中で魔物に遭遇したりもしたけど私それどころじゃないし。
向かって来る奴以外はスルーしようと思ってたけど、見つかったが最後、必ず向かってくる。
うぜぇえー!
なんか滝を越えてから急にエンカウト率増えたなぁ。荒野の奴らよりLev高いし。
まぁこの程度ならたいした苦もなく倒せるからいっか。経験値の伸びもいいしね。
でも水の中だと動きにくいんだよなぁ~、水圧の抵抗で攻撃力も落ちるし色々やりにくい。
どこまで流されるのかわからないけど急に強い敵が出てきたら今の状態じゃちょっと危ないかもしれない。
いつもの強化状態じゃ多少強くはなっても、水は相変わらず私の動きを阻害するだろうし。
うーむ…私の意思で強化の方向変えられないかな?
水に特化した強化状態に体を作りかえる…それが出来れば大分楽になると思うんだけどな。
…うん、とにかく試してみよう。
集中集中…。
あ、でもあんまり不格好だとヤだな、どうしよう。
格好良くて尚且つ水中特化型な人型のイメージ…うーむ。
あ、人魚は?あれなら美しいし泳ぐの上手そうだし!うん、採用!できるかわかんないけどとにかく採用!
よし、イメージイメージ…。
―少女変形中―
結論から言います。できました。
でも泳げません。
え?それ意味あるの?
ぐぬっ、こう、下半身の使い方が…ねっ!この!
くっ、はっ…ぬぅ~!
ハァ、ハァ、あかん、めちゃめちゃ不格好や…。
見た目は綺麗なのに泳ぎ方がぎこちなすぎる。練習あるのみ!
そいっ!ほぁ~!せあっ!
ぐぬぁ~!せりゃぁ~!
そい!そい!そい!そい!
そいやぁ!
おお、おおお!
なんかちょっとコツわかったかも!
こう…この時にこう…こうかっ!
あれ違う?ああ違うね、うん違うわ。
うーん…、ここを動かした時に、この辺もくねらせれば…、そしてこっちはこんな感じで…。
気が付いたらなんか池みたいなとこにいました。
体の動きを把握するのに一生懸命で気づきませんでした。
特に強い敵とは遭遇しませんでした。
え、この体になる必要なかった?
え、私の努力はなに?
ま、まぁいいか、元々のベースはあの形なんだから!戻ろうと意識すればすぐ戻れるもん!
せっかく頑張ったんだからこの人魚形態を楽しもう、うん。
…でも水の中しか動けないよね?
…早めにこの辺探索したいし…。
あかんどないしよ…。