第十八話
う、ううん…。
や、やめ…。こな…で………やめ…。
こな………こ…こここないでくだしゃぁあああ!
ハッ!!
ハァ、ハァ、ハァっ…ゆ、夢か。
釣りしながらいつの間にか寝ちゃってたのね。
昨日の事回想したのが悪かったのか。ちょっとうたた寝したくらいでこんな悪夢をみるなんて…。
びしょ濡れの体を抱きしめ、額を流れて来る水分を手の平で拭う。
ふぅ…。
空を見上げてため息を吐く。
今日はもう気分が乗らない、寄り道せずにさっさと帰ろう。
腰を上げて今日の収穫を確認しに行く。
大きな岩を素手でくり抜いて作った生け簀。その中で、例のポージングを決めた時の大物と普通サイズの魚達が気持ちよさそうに泳いでいる。
ザァー。
昨日から降り続く雨は一向に止みそうにない。
それどころかますます強く肌を打つようになってきている。
嵐に吹かれようが雷に撃たれようがピンピンしてるような体だが、私の精神は未だ脆弱な人間の物だ。
見た目がいくら変わろうと私は私なのだ。
私の精神は今日はもう行動不能なのだ。
さっさと愛しの我が家に帰るのだ。
寝床でごろごろするのだ。
処理した魚達を蔓で一纏めにして帰る支度をする。
水の流れを挟んだ向こう側、愛しの我が家に思いを馳せる。
今日は川を迂回しながら森を探索して帰る気力はない。
ズバリ、最短距離を突き進むのだ!
軽く助走をつけて跳躍、そのまま川を一気に飛びこ(ツルリ)………ッ!
ザッパーン!!
ガボガボ!
ほぁああああああああああ!
ツルリ☆じゃねぇーよ!
今日はやばいんだって!川増水してんだってぇええ!
泳げねぇえー!流されるぅぅうう!ガボガボ。
どんぶらこ~どんぶらこ~
「………」
もうヤだ…ここ何処?