第十五話
どれ、今日もお魚ゲッツーしに川まで歩こうかね。
テクテク
―少女移動中―
捕ったどぉおおおお!!
頭上に大物を掲げ、両手の爪で獲物を落とさない様にしっかりと掴む。頭の上で跳ねる魚の活きのよさを感じながら、私は誇らしげに胸を張った!
ビッチビッチ!
ビクンビクン!
ビチビチビチ!
よく考えたら結構シュールだな…。
絶世の美女が全裸で仁王立ちしてデカイ魚掲げて嬉しそうにしてるのって。
誰得?
はい、そんなこんなで握力とか力の把握がちょっぴり上手くなったりしてもう一ヶ月が過ぎました。
今日も今日とてイソイソと川へ向かいます。今のところあの川だけが私の生命線です。え?果物とか木の実はどうしたって?
バカモン!勇気と無謀は違う物だ!
履き違えるなよ小僧!
うん、正直もう立ち向かう気力がね…。
この森は危険だよ。触らぬ果実に祟り無しだよ。
木の実系の物に全戦全敗した所でようやくあのトマトっぽいなんかを発見して…。
ゴクリ…。
《やめて!たまきのライフはもうゼロよ!》
ぬぅう!止めるな、止めてくれるな理性ぃいい!
ほぁああああ!天まで届けぇええーー!我が咆哮!!
行くぞ!せあぁっ!
ガブリッ!
すかさず目をギュと閉じ体中を緊張させ、あらゆる衝撃に堪える準備をする!
………?
………シャクシャクシャク…ゴクン。
「………」
ほぁあああ、ほぁぁぁあああああ!
普通にウメーェエエエ!!!
こりゃたまんねぇぜぇぐへへぇ!
あんまり実ってないから少なめにいくつかもぎとって、このトマトっぽい何かの群棲地を覚える。
…ちょっと離れたとこに青っぽいトマトモドキもみえるけどスルーしよう。きっとあっちはフェイクなんだ、また何かあるんだ、騙されるなたまき!
よし、あれは絶対スルーしよう。
うむ、一個は残して夕ご飯のデザートにしようかね。今日は贅沢だなぁ~。
無表情でスキップしながら川まで進む。
…ガサッ。
ん?
ガサッガサッ…。
…見られてる?
…ガサリ
んー…特に敵意も感じないし、いつも通り野生動物が警戒してるだけでしょ。
スキップスキップるんるんるん!
っとね!いや~今日は大収穫だっt…。
…なんか。
ガサッ!
囲まれてない?
ガサッ!
ガサガサガサッ!!
やせいのうさぎっぽいのがとびだしてきた!
やせいのうまっぽいのがとびだしてきた!
やせいの…!
やせいの!
やせ…!
や…!
え…なにごと?
やせいのうさぎっぽいのはいろっぽいめつきでこちらをみている!
やせいのうまっぽいのは…!
やせいのとりっぽいの…!
やせいの…!
やせい…!
やせ…!
ゑ?なにごと?