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第十話 どこの世界もお偉いさんは、高圧的である

「あーあの魔人ね。魔人は、人から生まれた魔物だよ」


 「人から生まれた?」


 「そう。人から生まれた。基礎的な話、魔力って攻撃性が高い物質、つまり不安定な物質なんだよ。不安定な物質は何を求めるか分かる?」


 不安定な物質が何を求めるかか。理科の授業って事だよな。ッツー忘れちゃったな。頭を捻らせて……あ、思い出したわ。やっぱ、俺のスパコンは性能が良いね。


 「安定を求める!!」


 俺はキメたように言った。


 「ピンポーン!! 魔力ってのはね、何かにくっ付く事で、初めて安定するんだ。それは、人間の体にも言える。魔力は、僕らの体にくっ付き安定な状態を保ってるんだけど、癒着している人間が死んじゃうと離れねばいけなくなっちゃう。分解されちゃうからね」


 そうか、だから魔力が体に流れても何の害も無いのか。冷静に考えれば、攻撃に使う物質なんて、体を彷徨いてて良い訳がない。


 ライヴァンは続けた。


 「でもね、魔力は、しつこいんだよ。その安定状態を取り戻そうと、元の体の形質に戻ろうとする。大抵の場合、儚くその試みは散るんだけど、稀に成功するモノも出て来るんだよね。それが魔人ってわけさ。これは動物にも言えるんだけどね」


 「それじゃ、知能を持った敵になるって事?」


 「そう。だから、もの凄い厄介なんだよね」


 ライヴァンは、口角を下げた。


 確かに、俺らが想像する魔物は、殆どが知能が無い。だから、相手の方が身体能力が高くても戦いに余裕で勝てた。しかし、知能が有れば、魔人の方が優位性に立てると言うわけか。厄介だ。


 「それじゃぁ、先生のあの攻撃を通さない技って何ですか?」


 「あー、コレはユニークスキルでね。生まれた時から刻まれている能力だよ」


 「へぇ、スゲェ!! ちょっと触っても良いっすか?」


 「良いよ」


 ライヴァンはそう言うと、手のひらをソッと近づけてきた。


 「そんじゃ、遠慮なく」


 俺は、手のひらに触ると、床にへと倒れ込んだ。


 え? 体が動かなくなった。いや、もっとヤバい。俺の根源を吸い取られるような、そんな感じだ。


 俺は、手先を動かせるか確かめると、ピクピクと動いた。動くのか。どうやら、触れた時しかそのユニークスキルは発動しないらしい。


 ライヴァンは、そんな俺の姿を見て、手を差し伸べた。


 俺は、その手を取ろうとしたが、スッと手を引っ込める。


 「ユニークスキル発動してないよね?」


 「可愛い生徒にそんな意地悪はしないよ」


 流石に大丈夫か。

 そして手を取り、体勢を直す。


 「先生何なんですか? そのユニークスキル!」


 「ユニークスキルの詳しい説明は後々しようと思う。今はその段階じゃないからね。今は、体験だけして貰っただけ」


 うわ、お預けかよ! クッソ気になる。

 だが、俺のユニークスキルって何なんだろうな。先生ほどのユニークスキルが無くても良い。だが、強い奴が欲しい。そもそも、ユニークスキルが俺の中に存在するのか? 転生したから云々では無く、個人で有している者と有してない者が存在するかもしれない。


 考えるだけ不安が襲い、憂鬱になるだけだから、今は考えないでおくか。


 「アレン、まずはその莫大な魔力を放出させる練習をしよう。不思議と君の通常状態は、魔力制限状態だからね」


 「何をすれば、出来るように?」


 ライヴァンは、どっから取り出したのか分からない木の板を見せて言った。


 「コレに魔力をずっとぶつけるんだ。僕のユニークスキルを流し込んでるから、壊れないから安心してね」


 「え? でも、魔力切れを……」


 「正しく言うと、アレンの場合魔力切れでは無いからね。出せなくなっても、出すイメージをすれば良い」


 「でも暇じゃ……」


 「うーん、じゃぁ本を貸すよ」


 そう言うと、又もやどっから取り出したのか不明な本を差し出してきた。


 「それはね。スカッと系の物語だよ。最初ら辺は胸糞だけど、最後まで読めば読んだ甲斐があると思える」


 へぇ、それは楽しみだ。読書は嫌いだが、娯楽がそれしか無いと言うならば仕方が無い。コレ読むか。


 「それでは、僕はやらなければいけない事があるから行くね。あくまで、魔力を出す練習だからね。本に集中するなよ」


 ライヴァンはそう言うと、魔法陣を使って、飛んで行った。


 ◇


 ライヴァンは、お偉いさんに会いに魔剣騎士団本部へと向かっていた。お偉いさんは、上から目線で高圧的な態度を取るので、嫌気を指していた。


 ライヴァンは、ドアの前に立つとため息をし、鬱憤を吐き出すと部屋へと入った。


 お偉いさん達は、長い机にザッと座っていた。特に部屋に装飾の無く、つまらない場所であった。


 「今から僕は、他国へと足を運ぶんで、この国を空けます」


 「何故だ? ライヴァン」


 お偉いさんAが嫌味ったらしい顔をしながら問いた。


 「魔人の件ですよ。魔人が身につけていた、剣の模様が彫られた金のメダルに見覚えがあり、調査しに行くんですよ」


 「ったく、ライヴァン。半端な気持ちで仕事しやがって」


 お偉いさんBは、魔人を逃した件について突いた。


 「何回も言っていますが、あれは僕の休暇の時に起こった事です。責任など微塵も有りませんよ。ボケてるなら、辞職する事をオススメしますよ」


 ライヴァンは、やり返すように嘲り笑った。


 「おい、クソガキ。あまり、調子乗んなよ」


 お偉いさんCが身を机に乗り出し、怒鳴った。


 「それは僕のセリフですよ。魔剣騎士団は、僕が居るから成り立ってるんです。その事はお忘れなく」


 ライヴァンは鋭い眼光を向けて忠告し、部屋を出た。


 まだ怒鳴り声が響いていたが、耳にフィルターを掛けた。

 

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