表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第九話 最強の教師

 「失態だぞ!!ライヴァン。魔人を逃すだと」


 光の無い部屋で感情を剥き出しするのは、ガタリ先生であった。


 「仕方がないでしょ。それに僕、休暇の時にわざわざ来てあげたんだよ?感謝の1つぐらいあってもいいんじゃない?」


 ライヴァンは、黒いソファーに深く座り、机に足を乗せていた。

 資料をペラペラと捲り、月明かりを頼りに生徒表を見る。


 ガタリ先生は、ライヴァンの軽薄さに呆れたようにため息を吐く。

 だが、ガタリ担当の生徒を助けてくれたのは、感謝していた。


 「あの魔人、レベル4案件だ。僕が担当するよ」


 この世界には、強さの基準が次のように定められている。


 レベル1→戦闘未経験の人でも殴って殺せるレベル


 レベル2→筋肉質の人ならギリ倒せるレベル


 レベル3→平均、魔剣士の新人がギリ倒せるレベル


 レベル4→魔剣士のベテランが倒せるレベル


 レベル5→魔剣士のベテラン3人組で倒せるレベル


 ※これは、人にも適用している基準です。


 「ライヴァン、お前に割に合ってないんじゃないか?」


 ガタリ先生が髭をジョリジョリしながら言った。


 ライヴァンはレベル5の強さを持っている。レベル5を有する魔剣士はごく少数しか居ない。その中でライヴァンは最強である。


 故にレベル4ぐらいの強さの敵に、時間を割くのは割に合ってないのであるとガタリは考えた。

 実際、ライヴァンは基本レベル5案件しか受けない。


 「レベル4の強さだが、魔人だ。魔物と違って知能が有る。魔剣士達には死んで欲しく無いからね。僕が担当して確実に殺すよ」


 「そうか。ならば、頼んだ」


 そうガタリ先生が頷いた瞬間


 「あー!!」


 といきなりライヴァンが声を上げた。


 ガタリ先生はギクっと驚く。


 「へぇ、アレンって言うんだ」


 ニッと口角を上げる。


 「どうしたんだ?ライヴァン。うちの生徒に」


 「アレンって言う生徒。僕が育てるね」


 ガタリ先生の質問を被せるように言った。


 「何か気を留めるものでもあったか?」


 ライヴァンは、不敵に笑うと


 「ああ、とてもね」


 と手を頭に組んだ。



 やー!!諸君!病み上がりアレンだよ!!


 2日ぐらいで退院出来て良かったよ。

 元々、致命傷でも無かったから、すぐ退院出来る事分かってたし、仲間達にも退院日は伝えた。


 でも、医者に


 「傷を早めに治さないと回復魔法では、治せなくなっちゃうんです」


 とか言われた時はビビった。


 理由は良く知らないが、まぁそう言うもんなのだろう。

 でもね、戦い中はアドレナリン出まくってしょうがないよ。痛みに鈍感になってしまうからね。

 痛みって何て無能な機能なんだ!って思っていたあの頃を殴りたい。


 レイロットとフィオナがお見舞いに来た時は凄かったよ。温度差が天と地の差っていうか。

 レイロットは、パパロットと白鳥の舞?みたいなのを踊って入ってきたんだけど、フィオナは全然違くて。

 少し涙を零していたんだよね。いや!そんなに重症じゃないっつうの!死ぬわけじゃないんだから。

 ラインから事情聞いたんじゃないのか?


 そんなこんなで、病院から直で学校へと向かっている。


 学校も見えてきた。学校を休んでから、そこまで経っていないけど、久しぶりかのように感じる。


 て....フィオナ?


 校門前には、フィオナが壁に身を委ね立っていた。


 髪が緑色の木の葉と一緒に靡く。


 フィオナは横をチラリと見るとアレンの存在に気付いた。


 「あ、アレン!!おはよう」


 風で靡く髪を耳にかけ抑えながら、笑顔で言った。


 「フィオナどうしたんだ?こんな所で待って」


 寮は、学校の敷地に建設されている。

 前世のように家から校門を通って学校に通う人など居ない。

 その分、学校の敷地はまぁ広い。流石、国の要。ジャブジャブ金出してるね。

 それも王都に建てられていると言えば、どれだけの凄さか分かるだろう。

 話は脱線したが、真面目にどうしたのだろうか。


 「アレンを待ってたんだよ〜」


 躊躇いが無かった。


 「俺を?」


 俺は、確かめるように自分の顔に指を指す。


 「ほら、一応昨日までは、病人だった訳だし。心配だったから」


 「えー、それなら病院まで迎えに来てよ」


 「すれ違うと嫌だったもん!!」


 「なら、意味ない気が....」


 そう言うと、


 「意味って必要?」


 目線を斜め下に逸らし、瞳を揺らした。


 一拍置いてから、


 「さぁ行こ」


 と腰を屈めフィオナは、手招きをした。


 まぁ待ってて貰うのは悪い気分じゃないし、どうでも良いか。


 俺達は、教室を入るとそこには、レイロットとラインが椅子に座っていた。


 「おはよ!」と阿吽の呼吸のように2人は、挨拶をしてくれた。


 俺も


 「おはよ」


 と返す。


 俺が心配していたラインは元気そうで良かった。参ってそうな感じがしてたし。

 ま、時が癒してくれるって言うもんね。


 俺は、学校の椅子に座った。


 フッカフカなベッドで寝てた俺には、学校の椅子は少し痛い。

 でも、良い意味でも悪い意味でも久しぶりな感じがして堪らない。


 「アレン体、鈍ってるんじゃないですか?どうです?シゴいてあげますよ」


 レイロットは、ニヤニヤしながら言った。


 「嫌だ」


 俺は即答する。


 どうせ、痛い目にあって煽られるだけだ。

 不快でしかないよ?うん。


 「なら、私がシゴいてあげようか?」


 ラインがお姉さんぶって言った。


 「う〜ん。ラインなら良いかもな?」


 俺はレイロットにニヤし返す。


 「アレン見損ないしましたよ!男の友情はこうも浅かったんですか?」


 レイロットは、少し不機嫌になった。


 「冗談だよ」


 と軽くあしらった。


 「あーもう許しません。後でトコトン、シゴいてやります。覚悟しておいて下さい」


 レイロットはキレた。



 俺達は、いつもよりも来るのが、遅いガタリ先生を待っていた。


 皆、暇つぶしにカードゲームをしている。


 そうして、時間を潰していると、ガラッと扉が開きガタリ先生が入って来た。


 やっとガタリ先生が来たかと安堵する束の間、


 「やーー!」


 と片足でスライディングをしながら、変にハイテンションで入ってくる男が居た。


 銀色の髪....水晶のような瞳....ってこの人、あの時の。


 ライヴァンだったけ?なんでここに?


 どうやら、この動揺は俺だけでは無いようだ。

 レイロット、フィオナ、ライン。


 でも、俺よりも動揺している気がする。


 「えー、アレン。お前は、この男、ライヴァンに修行を付けて貰う事になった」


 ガタリ先生は、端的に言った。


 え?いや?うん?


 「て言う事で、僕が担当する事になったよ。よろしくねアレン」


 「ちょ....状況が掴めないと言うか」


 俺は戸惑う。


 何でいきなりこの魔剣士が俺に修行付けるのかが分からない。

 俺何もしてないぞ!?したっちゃしたけど、そんな凄い事でも無いし。

 逆に情けないところを見せたと思う。


 俺は慌てていると、その魔剣士が「それじゃ」と俺の手を掴み教室から出ていった。



 俺は今、ライヴァンと一緒に見知らぬ場所に居る。

 魔法陣で飛んできたようだ。


 「っていう事で自己紹介をすると、レントウェイ・ライヴァンだ。よろしくね」


 ライヴァンは椅子を逆側に座り言った。


 えーと....レントウェイ・ライヴァンと言うのか。つまり貴族出身って事か。


 「なぜ、俺が?」


 「素質があるからだよ」


 ライヴァンは見据えるように俺を見る。

 水晶のような瞳が微かに光ってるように見えた。


 「....素質?」


 ある訳なくない?

 だって、魔力も満足できるぐらい持って無い。それに、剣技の技術だって無い。俺が居るクラスでは、断然ビリだ。どっからどう見たらそうなるんだ?やっぱ、この人さっきから、テンションバグってるし、頭のネジ飛んでるんじゃ無いか?魔剣士って大体そんなもんなの?


 「そう、素質。僕の目には魔力関連のモノを見通す能力があってね。アレンは莫大な魔力量を有しているのが見えるんだよ」


 見せびらかすように目をバッと開けた。


 「でも、俺は魔力を練れないですよ?」


 俺の受け応えを聞くとフフッとライヴァンは笑い言った。


 「君って何者?」


 「何者とは....?」


 「魔力制限はね。人間が出来るような事がじゃ無いんだよ」


 魔力制限!?あー、俺が魔力を沢山保有しているのに、放出してない状態の事を言っているのか。

 仮にライヴァンが言ってる事が全て正しいのであれば、俺は人外って事になるのか?いや、そんな事あるか?確かに、転生したら人外でした作品は存在してるけど、人外て言う感覚ないんだよな。


 ライヴァンは心臓あたりに手を当て続ける。


 「今では、僕たち人間は、魔力が身近なモノだとして認識している。それは、遺伝子レベルまでにね。つまり、生まれたての赤ちゃんまでも無意識に存在を知覚している程のモノ。だから、自然に魔力を放出しオーラを纏ってるみたいな感じになるんだ。それが通常の状態であり、当たり前な事。その当たり前は、変え得る事が非常に難しい」


 「何が言いたいのかよく分かりません」


 「まるで、君がこの世界の人では無いみたいって事さ」


 俺はライヴァンの言葉を聞いた瞬間、ぎくっとした。

 こめかみの奥が冷えて、思考がうまく噛み合わなくなる。


 え?マジで?見抜かれたの?誰にも見抜かれた事無かったのに。こんな一瞬で?


 「追い討ちをかけるようで悪いんだけど、アレンを初めて見た時、ここまでの魔力は存在してなかった事を覚えている」


 アレンを初めて見た時って、まだ俺が転生していない頃か。


 「えーと....それは」


 言葉が詰まっている俺を見てライヴァンは言った。


 「ま、遺伝子の暴走とか色々とあるし、どうでも良いんだけどね」


 ケラケラと笑った。


 ライヴァンの呆気ない言葉に、俺は胸を撫で下ろす。


 「趣味悪いですよ〜!!」


 正直、この現状に俺は、途轍もなく嬉しい。あまり無いと思っていた魔力。そして、上澄みの魔剣士直々に教わるなど願ってもない事だろう。これなら、試験など余裕突破出来るだろう。足引っ張り役から、リード役に踊り出るなどアイツらは驚くだろうな。


 「それじゃ、僕の事はライヴァン先生と呼ぶように!」


 とライヴァンは胸を張った。


 先生と言われたかったを小声で付け出す。


 「分かりました!!ライヴァン先生」


 「よろしい!!アレン君。それでは、僕が質問ばっかりしてたし、僕に対して質問良いよ。ライヴァン先生の質問コーナー!!ってね」


 マジか。ライヴァン先生どこまで神様なんだよ。

 俺はまだこの世界に来て間もない。当然、アレンが受けてきた授業は、俺の頭に残っていない。

 だから、周知の事でも俺は知らない。何を聞くべきだろうか。いざ、やっても良いよ!と自由にさせられると脳がフリーズする時があるように、今俺は、その状態だ。


 魔力...魔力....魔力.....あ、あの人間のような形をした喋る魔物について知りたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ