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第61話 戦果の行方

 第八部隊は、自陣の戦略天蓋へ向かって歩いていた。


 戦場の中央は、すでに静まり返っている。

 あちこちで味方兵が動き回り、戦後処理に入っていた。


 その途中で、セレナが足を止めた。


 振り返る。


「第八部隊」


 一声で、全員が立ち止まる。


「命令する」


 声は低く、だがはっきりと通る。


「この戦場での戦果は――」

「すべて、貴様ら団員たちのものだ」


 一瞬、空気が止まった。


「我々、団長セレナ、副団長レオンは」

「早々に負傷し、戦線を離脱したことにする」


 ざわめきが起きかけるが、続く言葉で押さえ込まれる。


「第八部隊団員のみで、この戦果を成し遂げた」

「そう、記録される」


 剣を持つ手が、わずかに震える。


「これは命令だ」


 その瞬間。


「……っ!」


 誰かが息を呑む音。


 次いで、声が上がる。


「団長が……戦果を譲ってくれた……」


「俺たちの、戦果……」


 次第に、表情が変わる。

 戸惑いが、喜びに変わる。


「団長についてきてよかった……!」


 別の声が重なる。


「この部隊で、よかった!」


 セレナは、それを遮るように続ける。


「もう一つ」


 空気が、再び締まる。


「副団長レオンの弱体化魔法について」

「本日の戦闘に関する一切の口外を禁じる」


 理由は言わない。

 説明もしない。


「はい!!」


 声は揃っていた。


 セレナは一歩前に出る。


「いいか」


 視線が交錯する。


「貴様らは、勝った」

「中央を抜き、後衛を潰し、戦線を終わらせた」


 一拍。


「誰かに与えられた勝利じゃない」

「逃げなかった結果だ」

「止まらなかった結果だ」


 剣を持つ腕が、自然と上がる。


「我々は――」


 セレナは、はっきりと言い切る。


「勝利した」

「完全なる勝利だ!」


 一瞬の静寂。


 次の瞬間。


「おおおおおお!!」


 地鳴りのような声が上がる。

 拳が上がる。

 剣が天に向く。


 迷いはない。

 疑いもない。


 それは、確信だった。


 レオンは、少し後ろでその光景を見ている。

 何も言わない。

 だが、その表情は、静かだった。


 第八部隊は、確かに勝った。

 完全なる勝利だった。

 圧倒的な自信につながった。

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