表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

タイトル未定2025/11/16 20:29

 無事に報告書を作り終え、職場の戸締りをしてから、桐野と一緒に会社を出た。

 人通りが絶えない明るい街中を、桐野と肩を並べて歩いた。

「疲れたね」

 笑顔で言う桐野に、俺は言った。

「腹減っていませんか?そこの牛丼屋に入りませんか?」

 俺の提案に桐野は賛成し、俺と桐野は牛丼屋に行った。

 夜遅い時間だと言うのに、牛丼屋はけっこう客が入っていた。

 俺と桐野は、カウンター席に座った。

 並の牛丼をオーダーした桐野に対して、俺は大盛りの牛丼のセットをオーダーした。

「石田君って、よく食べるの?」

「……はい」

 俺は、照れながら頷いた。

「ひょろひょろしているのに意外だわ」

 黙ったまま聞いていた俺は、ふと桐野に言った。

「桐野さん。ビール飲みませんか?」

「そうね……飲んじゃおっか!」

 職場にいる時の桐野とは打って変わり、桐野は無邪気に言った。

 初めて見るあどけない桐野に、俺は釘づけになっていた。

「すみません、ビールください」

 桐野は側にいた店員に言った。

 やがてビールが運ばれ、俺と桐野は乾杯をした。

 ビールを半分程飲んだ桐野は、声をあげた。

「あぁ、美味しい!」

「桐野さん、美味しそうに飲みますね」

「疲れた後のビールって、最高じゃん」

「仕事終わりに、よく飲むんですか?」

「普段は、飲まないわよ。週末に飲むくらいかな」

「自分、お疲れ〜って感じで?」

「そうそう、自分お疲れ〜」

 言いながら、桐野はグラスを上げてビールを飲み干した。

 そんな桐野を、俺はほほ笑ましくみつめていた。


 牛丼屋を出て地下鉄の電車に乗り、桐野と並んで座った。

「さすがに、お腹がいっぱいになったでしょ?」

 笑顔で言う桐野に俺は言った。

「うん。でも、デザートにアイスくらいなら食べれるよ」

 俺の言葉に、桐野は吹きだした。

「桐野さんって、ひとり暮らしなんですよね?」

「ええ。親がうるさくて、家を出ちゃった」

「親、うるさいの?」

「う~ん……ちょっと、父親がね」

「お父さんが……」

 俺はぽつりとつぶやいた。

 俺の声が、桐野には届かなかったようだ。

 桐野は、自分の父親のことを話しだした。

「父親って、娘が年頃になると何かと干渉したがるでしょ。彼氏がいないと、まだいないのか。いればいたで、どんな人なのかとか。それが嫌で家を出たの」

 俺は黙り込んだまま、桐野の言葉を聞いていた。

 やがて俺が降りる場所に着き、俺と桐野はそこで別れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ