タイトル未定2025/11/16 20:21
翌日企画部に行くと、会社の車のキーを持った桐野がいた。
「おはようございます」
「おはよう。行きましょうか。私が運転するから、帰りお願い」
「はい」
桐野と肩を並べて歩き、外に出ると裏口にまわった。
運転席に桐野が座り、俺は助手席に座った。
桐野が車のエンジンをかけた時、小走りに友田がやってきた。
「……おはようございます。よかった、間に合って」
肩で息をしながら、友田が言った。
「おはよう。どうしたの?こんなに朝早く」
桐野は車の窓を開けて、友田に聞いた。
「明日主張って、桐野さんが言っていたから、お二人にお弁当を作ってきました」
友田は、桐野にお弁当箱を差し出した。
「ありがとう!桃子」
「友田さん、ありがとう」
友田は、今まで見せたことがない笑顔を見せた。
「じゃあ、行って来ます」
「行ってらっしゃい」
桐野は、ゆっくり車を走らせた。
無事予定の時間に、目的地に着いた。
健康ランドは国道のすぐ目の前にあり、裏には海が見える。
建物はまだ完成していない。
「また、凄い場所に建ちますね」
「ホテルも一緒にやるそうよ。さ、行きましょう」
桐野に促され、俺は歩きだした。健康ランドの経営者らしき人間が俺たちのところにやってきた。
「お呼びだてして、すみません」
「初めまして」
経営者は、俺たちをプレハブに連れて行った。プレハブの中で経営者と名刺交換をしながら、お互い名前を名乗った。
初めて会う経営者に、桐野の姿は実に堂々としていた。
一通りの紹介を終えた後、経営者からヘルメットを渡されプレハブを出た。
建設中の健康ランドの中に入ると、桐野は経営者の男の説明を聞きながら先頭を歩き、俺は設計図を眺めながら歩いた。
まだ骨組みしか建てられていない建物は、どんなものになるか想像できなかった。
昼の休憩を取ることになり、先ほどのプレハブの建物に戻った。プレハブには、俺と桐野以外誰もいなかった。
昼ご飯は、健康ランドの近くでコンビニを探して、コンビニのお弁当を食べる予定だったが、予想外に友田からお弁当の差し入れをもらったので、それを食べることにした。
桐野と並んでイスに座り、友田から差し入れされた弁当を広げる。
弁当は、高校生が食べるようなカラフルで恥ずかしくなるような可愛らしい弁当だった。
「たこさんウインナー可愛い~」
桐野は友田が作った弁当をほめていたが、腹が減っていた俺は無我夢中で食べていた。
そんな俺に桐野は言った。
「それだけでたりる?」
「大丈夫です」
嘘。全然たりない。
桐野は、ゆっくりお弁当を食べ続けた。
早くも弁当を食べ終えた俺は、用意されてあったお茶を飲んだ。
ゆっくりお弁当を食べている桐野を、恨めしい気持ちで盗み見た。
空になった湯飲みをテーブルの上にそっと置き、意を決して桐野に言った。
「あの……」
「ん?」
「此処に来る途中、道の駅がありましたよね」
「そう言えば、あったわね」
健康ランドに行く途中、道の駅をみかけた。
道の駅には売店があった。
「帰りに、寄っても良いですか?」
俺の気持ちを察したのか、桐野はふきだした。




