タイトル未定2025/11/16 20:04
俺はインターネットで、浴槽の情報を見ていた。
「どうだ、なんか選りすぐりの情報手に入ったか?」
白鳥が聞いてきた。
「……いやぁ、どれも似たり寄ったりですね」
「そうか」
白鳥も、パソコンの画面を覗き込んだ。
「……企画書が作れないな。外回りに行くか。あんまり、期待はできないけど」
「そうですね」
俺は、パソコンを閉じた。
裏口に廻り、会社の車に乗りこむ。
白鳥が助手席、俺は運転席に座った。
ハンドルを握りながら白鳥に聞く。
「最初、何処に行きますか?」
「そうだなぁ……」
二件のショウルームを廻った頃には、お昼を過ぎていた。
結果、これと言った収穫もなく疲れてしまった。
会社に戻って車を返し、会社近くの立ち食い蕎麦で白鳥と遅めの昼食をとった。
「なぁ、受付の友田って可愛くないか?」
蕎麦をすすりながら白鳥が言った。
「はぁ?」
「職場の花、桐野も良いけど友田も良いよな」
「はぁ、そうですか」
「一緒に帰ったくせに、気のない返事だな」
黙ったまま蕎麦をを食べていると、突然白鳥は言いだした。
「俺、友田を狙ちゃおうかな!」
俺は相変わらず黙ったまま、蕎麦を食べ続けていた。
「いいのか?俺が狙っても」
「なんで俺に聞くんですか?」
「石田、お前なんにもわかっていないな」
「何がです?」
「……もう、いいよ」
呆れたように言った白鳥は、それきり何も話してはこなかった。
仕事が終わって家に帰ると、母親が夕飯を作っていた。
俺は大きめの茶碗にご飯をよそい、お茶漬けにして食べだした。
「もう少しで、できるわよ」
母親の言葉を無視して、俺はお茶漬けを食べ続けた。
二杯目のご飯を茶碗に盛っていた時、母親はお皿に山盛りに盛ったおかずと味噌汁を出してくれた。
俺は、おかずに箸をつけながら、二杯目のご飯を食べた。
そんな俺に、呆れて母親は言った。
「よく食べるわね」
「成長期だからね」
「まだ、成長するつもり?」
俺は、立ち上がって三杯目のご飯を茶碗に盛った。
「ちょっと、まだ食べるの?」
「おかずが美味しいから、ご飯が進むんだよ」
「当てつけみたいに、言わないでよ」
文句を言う母親だが、食べ続ける俺を嬉しそうに見ていた。
「ごちそうさま」
食べ終えた食器を母親が片付け、俺は居間のソファーで横になった。
「食べてすぐに、横になるんじゃないの!」
俺は起き上がって、ソファーに座った。
「今度の土曜日、明彦たちが来るのよ」
「ふ~ん」
何気なくテレビをつけると、テレビはバラエティー番組をやっていた。
会場の客たちの笑い声が聞こえたが、一向に面白くない。
テレビをつけたまま新聞を読み出すと、母親は呆れて言った。
「ちょっと……テレビを見るか新聞を読むか、どっちかにしなさい」
俺は新聞に目を落としたままテレビを消した。
「もう少し、愛想があればいいのに……この先、ずっとあんたと暮らしていくのかしら」
「うん、そうだね」
「あんたが認めてどうするの!」
「ん……なんか言った?」
俺は新聞から顔を上げて、母親の顔を見た。
母親は、深いため息をついていた。
風呂に入った後、俺は自分の部屋に行った。
明日の仕度をしてからベッドに入る。
ふと、部屋の片隅を見る。
自然に笑みを浮かべて、そっと言った。
「おやすみ」




