タイトル未定2025/11/17 22:21
翌日会社に入った俺は、真っ直ぐ受付の方へ行った。
受付には、友田独りだけだった。
「おはよう」
「おはようございます」
「杉尾は?」
「今、総務課に行っています」
「そうなんだ。昨日健康ランドに、視察に行ってきたんだ」
「どうでした?」
「理想以上の浴槽を入れてもらえたよ。目の前には海が広がって、ロケーションばっちり」
「わぁ、行ってみたいな」
「でさ、無事仕事を終えた記念に……」
言いながら俺は、カバンから小さな紙袋を友田に手渡した。
「良いんですか?」
「開けてよ」
友田は、腫れものをさわるような感じで袋を開けた。
俺が買ったのは、キーホルダーだった。
「道の駅で買ったから、そんなので悪いけど」
「ううん。嬉しいです!早速バックに飾ります」
嬉しそうな友田の顔を見て俺は言った。
「水族館では、素っ気ない態度をとったり、帰り際、あんな言い方をしてごめん」
友田と水族館に行った時、友田がつけていたネックレスを見た俺は、ずっと素っ気ない態度をとっていた。
帰り際「ごめん。俺、無理だわ。友田さんとつきあうの」と言った。
「もっと、違う言い方をすれば良かった。友田さんにずっと、謝りたかった」
謝罪をする俺に、友田は笑顔で明るく言った。
「石田さん、謝ってくれたし。もう、気にしていません。だって、私たち友達でしょ」
友田の言葉に救われた俺は、笑顔で言った。
「ありがとう」
俺と友田が顔を見合わせ、笑った時だった。
俺の背中を、杉尾が思い切りたたいた。
「オッス!」
「オッス……じゃ、ね〜し!痛いだろ!」
「あら、お邪魔だった?」
「杉尾にも、土産を買ってきてやったのにな」
「買ってきてやったのになって、なによその言い方」
「欲しくないの?」
「欲しいわよ!」
俺は、杉尾に駅の道で買った土産を手渡した。
土産を受け取った杉尾は、声をあげた。
「何よこれ!」
杉尾に渡した土産は、変なキャラクターの缶に入ったあめ玉だった。
「受付の仕事は、喉が大事だろ。実用的で、杉尾にピッタリじゃん」
「私は、おばちゃんじゃないのよ!」
顔をそむけた友田が、くすくす笑っていた。




