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タイトル未定2025/11/17 22:09

 翌日受付で、友田は杉尾に水族館に行ったことを話した。

「桃子、すごい積極的になったじゃん」

「でも、駄目。友達でいようって、石田さんにはっきり言われたわ」

「友達か。嫌われてはいないんだ」

 友田は、ロビーのソファーで商談をする社員や足早に歩いて行く社員をぼんやり眺めた。

 それまでの私は、石田さんを見ているだけだった。

 石田さんが居る飲み会に誘われ、飲み会をきっかけに、石田さんとの距離が縮んだ。

 そう思えば、友達みたいなつきあいでも良いじゃない。

 友田は、そう自分に言い聞かせていた。

 でも、それだけじゃむなしい。

 俺が受付の前を通りかかると、杉尾が気軽に声をかけてきた。

「おっす」

「よう」

 友田は我に返った。

「昨日、桃子と水族館に行ったんだって?」

「うん」

「水族館かぁ。ねぇ、今度お笑いのライブに行こうよ」

「お笑い?杉尾と行ったら、お笑いの世界にスカウトされるよ」

「それ、良い〜。私ツッコミ。石田君はボケ担当。コンビ名は、そうねぇ……杉石」

「杉石?それって、杉尾の杉と石田の石をくっつけただけじゃんベタだな。却下!」

 言いながら俺は、杉尾のひたいを軽く指で弾き受付を離れた。

 俺と杉尾のやりとりを見ていた友田は、驚いて言った。

「本当に、出かけるんですか?」

「やだ、さっきの話本気にしたの?」

「だって」

「冗談に、決まってるでしょ。あんな冗談言い合うのは、いつものことよ」

「そうなんですか。石田さんと、冗談が言いあえるなんて良いなぁ」

「石田君とは、同期だからね。冗談言ったり、バカ言ったり」

「一緒に出かけたりは、本当にしないんですね」

「桃子、やいているな。安心して!入社当時は、同期の皆でよく呑みに行ったけど、石田君は、呑み会には一回くらいしか出なかったね」

 石田さんは、本当に人付き合いが苦手なんだ。でも……。

 友田は、隣にいた杉尾をチラリと見た。

 親しげに振る舞う杉尾を見て羨ましく感じながらも、親しく振る舞うことができない。


 友田と水族館に行ってから、一カ月が経っていた。

 あれから友田は、俺を誘うことがなくなった。

 いつも通り、受付の前を通れば挨拶をして、何気ない会話をする。

 少し前と、同じ日常を送っていた。


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