タイトル未定2025/11/17 21:51
出社した俺は、軽く深呼吸をして歩き出そうとした時だった。
「おはようございま~っすぅ!」
背後から、永田の大声と共に背中を思い切りたたかれた。
俺は目の前のガラスに、したたか顔面を打ち、しゃがみこんだ。
……撃沈……。
「わ……わ……石田さん。すみません!大丈夫ですか?大丈夫……」
「……な、わけないだろぉ!」
俺は額を両手で押さえながら、立ち上がって言った。
「うわぁ、腫れてる!」
永田は、俺の額を触ろうとした
「よせ」
俺は、永田の手を払いながら言った。
「そんな……心配してるんすよ」
永田は、情けない声を出した。
「おはようございます」
受付から、友田と杉尾の明るい声がロビーに響いた。
「おはよう」
俺と永田は、声を揃えて挨拶をした。
「石田さん……大丈夫?」
受付から一部始終を見ていた友田が、心配そうな顔を俺に向けてきた。
「大丈夫……って言いたいけど痛いよ。バカ照、行くぞ」
そう言って、俺は歩き出した。俺の後を永田が愚痴りながらついてくる。
「バカは、余計です!」
「バカだから、バカに、バカって言ったんだよ」
永田と職場に入った俺は、主任に呼ばれた。
主任の机の前には、桐野が立っていた。
俺はカバンを自分の席へ置き、急いで主任のところへ行った。
「おはようございます」
「おはよう。今、桐野君にも話したが。今日、我が社の工場の主任と部長が挨拶に見える。悪いが、お茶を用意してくれ」
「はい」
「その時、今までのデータを先方に見せてやってくれ」
「はい」
「じゃ、頼んだよ」
俺と桐野は主任の席を離れて、データを用意した。
データの用意をしていると、桐野が言った。
「おでこ、腫れていない?」
「ああ、これ」
俺は、永田の方を見ながら言った。
「どっかのバカが、見境なく背中どつくから、勢いあまってガラスにぶつけました」
「やだ……大丈夫?」
「だいぶ、痛みはとれて……」
そう言いかけた俺の目の前に、白鳥がやってきた。
「お~っすぅ!」
白鳥は言いながら、俺の額を指で思い切りはじいた。
「いっ……てぇ~」
ガラスにぶつけた額に、まさにクリーンヒット!俺は両手で額を押さえた。
そんな俺に、白鳥は容赦なく言った。
「……んだよぉ。これくらいで、大げさだな!」
白鳥は周りにいた社員に、挨拶の声をかけながら俺の側から離れた。
「……大丈夫?」
桐野は、笑いをこらえて言ったのだった。




