ドタバタ転生令嬢、でも希望は消えない!
みなさん、こんにちは!
「銀河令嬢繁盛記」の第2話です!
前回の1話はいくつかランキングにも載せて頂き、とても嬉しかったです!
2話目では、転生令嬢アイリスがドタバタ劇を乗り越え、新たな力を試す姿を描きました。
廃墟宙港で希望を見出し、恋の予感も…?
私の新挑戦、ぜひ楽しんでください!
感想や応援、コメントで待ってますね!
アイリスは「ステラ・ストップ」のカウンターに立ち、湯気を立てる「ハイパードライブ・コーヒー」の香ばしい香りに包まれていた。
薄暗い店内に漂うその匂いは、彼女の過去の記憶を呼び起こす。
スターマートでの過酷な深夜シフト、客の無愛想な顔、そしてたまに頂く感謝の言葉。
それらが今、この廃墟宙港で新たな意味を持つ気がした。
ピンクとターコイズが織りなすレトロポップなユニフォームが彼女の小さな決意を輝かせていた。
金色のポニーテールを軽やかに揺らし、アイリスは小さく拳を握った。
この店を、私の手で蘇らせてみせる。
スターマートで学んだことを、ここで活かしたい… その思いが、彼女の胸に静かに燃えていた。
そんな決意を秘め静かに始まったその朝、店は予想外のドタバタに飲み込まれた。
ドアがガタリと開き、昨日訪れた星間トラッカーのガルドが姿を現した。
年季の入った革ジャンに縫い付けられたネビュラ・クリスタルのバッジが、薄暗い光の中でかすかに輝く。
「お嬢、コーヒーもう一杯!」
と豪快に注文する彼の背後で、配送ドローンの羽音がけたたましく鳴り響いた。
レンが操るドローンが荷物をドサリと落とし、壊れた反重力棚が傾いて「ギャラクシー・ラーメン」の在庫が床に散乱した。
アイリスは一瞬、目を丸くした。
またか…でも、こんな混乱も昔の私には日常だった。
彼女の心には、かつての深夜荷受けの記憶がよみがえり、慌てながらもどこか懐かしい感覚が広がった。
配送ドローンのハッチからレンが顔を出し、汗だくで叫んだ。
「すまねえ、お嬢! ルートエラーが酷くてさ。『クァンタム・スナック』の補給パック、宇宙で迷子になってるぜ!」
アイリスは慌てて外に飛び出し、ドローンの周りを囲むホログラム表示を確認した。
赤い警告信号が点滅し、航路がぐちゃぐちゃになっている。
「うそでしょ!?」
これじゃあ荷物が届かない… 彼女の心に焦りがよぎったが、同時に解決への意欲が湧き上がった。
「どうしよう、制御不能だ!」
レンが焦る中、アイリスはポケットから「スターダスト・コア」を取り出した。
廃墟で手に入れたその結晶は、冷たく光を放ち、彼女の指先に奇妙な温かさをもたらした。
これでコズミック・グリッドを操れるか…試してみるしかない!
深呼吸し、目を閉じると、頭に銀河を繋ぐエネルギーネットワークの構造が浮かんだ。
彼女はコアを握り潰すように力を込め、意図を集中させた。
瞬間、指の間から星雲のような光が溢れ出し、ドローンの周囲にホログラムが展開した。
アイリスの意識がドローンのシステムに繋がり、歪んだ航路が整列していくのが見えた。
すごい…私、こんな力を持ってるんだ… 驚きと興奮が交錯する中、レンが目を丸くして叫んだ。
「お、お嬢! ルートが元に戻った! どうやって!?」
アイリスは息を整え、笑顔で答えた。
「ちょっとした…コツだよ。荷物、ちゃんと届けてね!」
「すげえ! お前、ただの令嬢じゃねえな!」
とレンは親指を立て、ドローンを再起動させて去っていった。
アイリスの胸には、初めて自分の力を信じた喜びが広がった。
この力なら、もっとできるかもしれない…希望が、見えた気がする。
アイリスはレンが飛び去った後を眺め、こんなドタバタも、客の笑顔があれば意味がある。
と感じ、胸が温かくなった。
騒ぎが収まると、ガルドは飲食カウンターに腰掛け、コーヒーを啜りながら呟いた。
「この店、昔は賑やかだったんだ。俺が若い頃、仲間と飲んだっけな…」
その言葉に、アイリスの心はかすかに揺れた。
賑やかだった頃…この宙港にも、きっと希望があったんだね。
「じゃあ、また賑やかにしましょう! イベントでも企画してみるね!」
と提案した。
「お嬢、面白い奴だな」
ガルドは目を細めて笑い、店を後にした。
アイリスは彼らの温かさに励まされた。
この人たちと一緒に、店を生き返らせたい。
その決意が、彼女の心に深く根付いた。
その夜、アイリスはオライオンと一緒に宙港の廃墟区画を探索していた。
星雲の光が壊れたパネルを透過し、薄暗い空間に幻想的な影を落とす。
銀髪が揺れるオライオンの姿は、まるでこの廃墟そのもののように神秘的だった。
ミステリアスな瞳がアイリスを見つめ、
「この『スターダスト・コア』、コズミック・グリッドに繋がってる証拠だ。君の力、侮れないよ」
と低く優しい声で語った。
アイリスはコアを手に持ち、指先から星雲のような光が溢れ出すのを感じた。
私にこんな力があるなんて…信じられないけど、嬉しい。
彼女の胸は高鳴り、追放された屈辱を乗り越えたいという思いが強くなった。
「私、使えないはずなのに…不思議だね。」
と呟くと、オライオンが一歩近づき、低く囁く。
「君には特別な何かがある。僕もその一部になりたい」
その言葉に、アイリスの心はドキリと震えた。
特別…? 私なんかに、そんな風に思ってくれるの?
そんな思いが頭をよぎる中、崩れた壁に足を取られアイリスがよろめいた。
オライオンが素早く手を差し伸べ、二人の手が重なった。
温かく力強いその感触が、アイリスの孤独を溶かしていくようだった。
この手…私を支えてくれる存在なのかもしれない。
頬が熱くなり、初めての感情がアイリスの心を満たした。
だが、その静かな瞬間を破るように、遠くで金属音が響いた。
アイリスが振り返ると、廃墟の影に黒いシルエットが動くのが見えた。
「ライラの刺客かもしれない。気をつけろ」
アイリスの胸に緊張が走り、恐怖がよぎった。
「追放された私を…まだ狙ってるの? 」
だが、ユニフォームの裾を握りしめ、彼女は決意を新たにした。
逃げない。
ガルドやレン、オライオンと一緒に、この店を銀河一にしてみせる!
オライオンの瞳が優しく光る。
二人の絆が深まる予感がした。
その頃、ハウス・ノヴァの屋敷では、ライラが冷たい笑みを浮かべていた。
「アイリスがネビュラ・アウトポストで動き出した? ふん、刺客を向かわせたから、すぐに終わるわ。」
銀河のどこかで、コズミック・グリッドが微かに揺れていた。
アイリスの逆転劇が、始まったばかりだった――。
第2話、いかがでしたか?
アイリスが「スターダスト・コア」でルートエラーを解決し、ガルドやレンとの絆が深まる瞬間を描きました。
オライオンとの手つなぎにも注目です!
次回は刺客との対決が待っています。
私の新作、楽しんでいただけたなら嬉しいです!
ブクマやお気に入り、よろしくお願いします!




