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転生したら悪役令嬢、でもコンビニ魂は消えない!

みなさん、こんにちは!

新作、「銀河令嬢繁盛記」です!

今回は転生令嬢がブラックコンビニに勤めてた根性を武器に、辺境宙港の寂れたコンビニを復活させ、銀河のエネルギー網を掌握する逆転劇です。

コンビニ魂と恋が織りなす物語、ぜひ楽しんでください!

感想や応援、コメントで待ってますね!

「はぁ…また棚卸しのミスで店長に怒鳴られた…」

彩花は薄暗いバックヤードで、棚に頭を預けながらため息をついた。

深夜3時の「スターマート」。

客は誰もいないのに過酷なシフト。

過労で意識がふっと途切れた瞬間――


「アイリス・ノヴァ! この役立たず!」


鋭い声に、彩花はハッと目を覚ます。

目の前には、星の輝きを模したガラス装飾の豪華な部屋。

そして、ドレスの裾を踏みつけながら睨む、美しいが棘のある女性。

「ライラ…姉様?」

頭に流れ込む記憶。

彩花は、自分が銀河連邦「アストラル・ドミニオン」の辺境貴族「ハウス・ノヴァ」の末娘、アイリス・ノヴァに転生したと理解した。

「アストロマンシーの才能ゼロの恥さらしが、よくも第一王子アルタイル様の婚約者ヅラできたものね! 婚約破棄された今、さっさと出て行きなさい!」

ライラの言葉に、アイリスの記憶が蘇る。

アストロマンシー――銀河のエネルギー網「コズミック・グリッド」を操る力を持たず、家族から疎まれ、アルタイルに公衆の面前で婚約破棄されたのだ。

「追放先は…ネビュラ・アウトポスト!? あの辺境のゴミ溜め!?」

アイリスは叫んだ。

ネビュラ・アウトポストは、ハイパースペース航路から外れた寂れた宙港。

廃墟同然の場所だ。

ライラが嘲笑う。

「そこで朽ち果てなさい。ステラ・デュシェスの座は、私がいただくわ!」

ステラ・デュシェス?

アイリスの記憶が囁く。

それは、アストラル・ドミニオンの貴族女性が目指す最高の栄誉――コズミック・グリッドを操り、銀河に影響を与える指導者の称号だ。

最初からなれるとは思ってなかったけどーーー


ーーー数日後、アイリスは小型シャトルの狭い座席で膝を抱えていた。

窓の外は星々の海が果てなく広がる。

だが、その輝きは彼女の心を慰めるには遠すぎた。


「なんで私がこんな目に… 」

スターマートでの過酷な日々を思い出す。

朝5時の品出し、深夜のレジ締め、クレーマーの罵声。

それでも、彩花は仕事を愛していた。

客の笑顔、在庫がピタリと合う瞬間、完璧なシフト管理。

それが彼女の誇りだった。


なのに、転生先は悪役令嬢。

家族に疎まれ、婚約破棄され、追放。

ステラ・デュシェスなんて夢のまた夢。

「でも…負けるわけにはいかない!」

アイリスは唇を噛み、顔を上げた。

シャトルが着陸態勢に入り、ネビュラ・アウトポストが視界に広がる。


この宙港は、かつて銀河交易の要衝として栄えた場所だ。

特産物は、近隣の小惑星帯から採れる「ネビュラ・クリスタル」――コズミック・グリッドの補助エネルギー源として貴重な鉱石で、星間トラッカーたちが高値で取引する。

だが、今はグリッドの老朽化で航路が逸れ、廃墟化している。

星間トラッカーたちは、粗野だが自由奔放な連中。

ハイパースペースを駆け巡るフリーランサーで、宇宙海賊まがいの荒くれ者から、希少鉱石を運ぶ商人まで。

皆、過酷な航海で疲弊し、立ち寄る宙港では「安くて旨い飯」と「一時の休息」を求める。

ネビュラ・アウトポストに来る彼らは、かつての栄光を懐かしみながら、クリスタル探しの合間に酒と噂話で時間を潰す。

アイリスは、そんな彼らの「ニーズ」を直感的に感じ取った。

「コンビニなら…彼らの心も癒せるかも…」


宙港は、まるで時間が置き去りにした遺跡だった。

薄暗い星雲の光が、錆びたドームをぼんやりと照らす。

ホログラム看板は半分が点滅し、「Welcome to Ne…」と途切れた文字が不気味に浮かぶ。

反重力ドローンが壊れた関節のような音を立てて漂い、かつての繁栄を嘲笑う。

遠く、廃墟と化したスターシップの残骸が、星の墓標のように突き刺さっている。

アイリスはシャトルのハッチから降り立ち、冷たい金属の床にハイヒールを響かせた。

彼女のドレスは、ハウス・ノヴァの伝統を象徴する重厚なもの。

濃紺のベルベットに、金糸で星座が刺繍された古風なデザイン。

裾は長く、動きにくいが、その優雅なシルエットは追放された貴族の誇りを湛えていた。

しかし、今は孤独を際立たせるだけ。

「こんな場所で、こんなドレス…まるで時代遅れの亡霊みたい… 」

アイリスの胸に、悔しさと寂しさが渦巻く。

だが、彩花の魂が囁く。

どんなボロ店でも、コンビニは客を呼べる。

スターマートで地獄を見た私なら、絶対に!


彼女に与えられたのは、宙港の片隅にある閉店寸前のコンビニ「ステラ・ストップ」の管理権。

スーツケースを引きずり、店に足を踏み入れる。

店内は戦場跡のよう。

反重力棚は傾き、AI調理機は埃まみれ。

商品は賞味期限切れの「ギャラクシー・ラーメン」だけ。

クァンタム・スキャナーのディスプレイが、悲しげに青く点滅している。

「これ…売れるわけないよね…」

絶望が胸を刺す。

だが、アイリスは首を振った。

スターマートで、もっと酷い状況を立て直してきた。

私にはできる!


その夜、アイリスは宙港の廃墟区画を探索していた。

誰もいない夜中の廃墟は怖かったけど、キャンペーン前日の深夜の荷受けに比べたら怖くないかな……

星雲の光が、壊れたパネル越しに差し込む。

重いドレスの裾が埃で汚れ、動きにくさに苛立ちながら、ふと輝きを見つける。

「これは…?」

崩れた倉庫の奥、埃に埋もれた結晶――「スターダスト・コア」。

触れた瞬間、頭に情報が雪崩れ込む。

「コズミック・グリッド…クァンタム・プロトコル…?」

アイリスの指先から、星雲のような光が溢れ、宙にホログラムが浮かぶ。

銀河を繋ぐコズミック・グリッドの構造が、星座のように脳内に広がった。


私…アストロマンシーが使えないはずなのに…これ、操れるの?

胸が高鳴る。

追放された屈辱、ライラの嘲笑、アルタイルの冷たい目。

それらを跳ね返す力が、ここにあるかもしれない。

ステラ・デュシェスの夢が、ほのかに輝き始めた。


翌朝、アイリスはステラ・ストップの再建に取り掛かった。

だが、動きにくいドレスに我慢の限界がきた。

「こんな重いドレス、仕事の邪魔! 」

彼女は店の倉庫を漁り、ネビュラ・アウトポストが繁栄していた時代のユニフォームを見つける。

レトロポップなデザイン――ピンクとターコイズのストライプ、星形のボタン、裾に施された小さなロケットの刺繍。

古臭いのに、どこか愛らしく、アイリスの心を掴んだ。

「これ…可愛い! 」

アイリスは重厚なドレスを脱ぎ捨て、ユニフォームに着替えた。

軽やかなナノファブリックが肌に馴染む。

金色の髪をポニーテールにまとめ、壊れたホログラムパネルに映る自分を見る。

星雲の光を浴びて輝く星形ボタンが彼女の笑顔を一層引き立てる。


貴族然としたドレスを脱ぎ捨てた瞬間、アイリスの心も軽くなり、胸には新たな期待が芽生えた。

スターマート時代、過酷なシフトを乗り越えた自分。

あの「コンビニ魂」が、銀河の辺境で恋と夢とともに燃え始めた。

「よし、やってやる! 」


問題は、商品の仕入れだった。

ステラ・ストップの在庫は壊滅的で、使えるのは賞味期限切れのラーメンだけ。

だが、アイリスは倉庫の奥で、宙港の古い物流端末を見つけた。

スターマートの物流システムを思い出し、彼女は端末をハック。

この宙港、ハイパースペース航路から外れてるけど、星間トラッカーの小型船は寄るはず…

アイリスは端末を操作し、近くの星系から低コストの「ハイパードライブ・コーヒー豆」と「クァンタム・スナック」の補給パックを注文。

コズミック・グリッドの微弱な信号を使い、廃墟のドローンを再起動させて配送ルートを確保した。

スターマートでたまにあった納品遅延を、近くの姉妹店から転送して貰って即席で解決したあの感覚…!

数時間後、ドローンがコーヒー豆とスナックのパックを運んできた。

アイリスはAI調理機をハックし、香ばしい「ハイパードライブ・コーヒー」を復活。

反重力棚を叩いて直し、「クァンタム・スナック」を並べる。

埃まみれの看板に、ユニフォームの裾で「ステラ・ストップ」の文字を磨き上げた。

コンビニというより、最小限の品しか置かない売店みたいな店だけど…

「開店!」

星間トラッカーが訝しげに店を覗く。

「こんな辺境でコーヒー? まじかよ!」

髭面のトラッカーがカップを手に笑う。

アイリスは、レトロポップなユニフォームで軽やかに動き回り、笑顔で応える。

ピンクとターコイズのストライプが、店の薄暗い光の中で彼女の美しさを際立たせ、星形ボタンがキラリと輝く。

私の頑張りを認められたい…

客が来れば、店は生きる。

この感覚…やっぱり最高!


その時、店の奥から低い声が響いた。

「興味深い人間だ…この宙港に、こんな光を灯す者が現れるとは。」

振り返ると、銀髪に星のような瞳の青年がいた。

黒いローブに銀の装飾が施され、ミステリアスな魅力が漂う。

「私はオライオン。このネビュラ・アウトポストの過去を知る者だ。

君の行く末を見届けたい…そして、君の笑顔に惹かれる。」

アイリスは息を呑んだ。

オライオンの瞳は銀河の深淵そのものだが、その声には温かさと優しさが混じり、彼女の心を揺さぶった。

この人…一体何者?

「あなたは誰?宙港の管理者? 」

それとも…私の運命を変える存在?


オライオンの佇まいは、まるでこの廃墟の宙港そのもの――古びて、孤独で、しかしどこか高貴で魅力的なのだ。

「君の行動…コズミック・グリッドに波紋を広げている。

共にこの宙港を変え、共に未来を描くか?」

アイリスは、ユニフォームの裾を握りしめ、頬を少し赤らめながらニヤリと笑った。

「いいよ、オライオン。まずはこのコンビニを、銀河一の店にしてみせる! そして…君と一緒に。」

彼女の笑顔は、ネビュラ・アウトポストの暗闇を切り裂く、星の光のようだった。


その頃、ハウス・ノヴァの屋敷では、ライラが苛立っていた。

「アイリスがネビュラ・アウトポストで何か企んでる? ふん、あの役立たずが何をしようと、ステラ・デュシェスの座は私のものよ!」

だが、銀河のどこかで、コズミック・グリッドが微かに揺らいでいた。

それは、アイリスが起こす大逆転と恋の始まりだった――。

第1話、いかがでしたか?

「墓から始まる英雄譚」から一転、今回は恋とファッションが彩る逆転劇に挑戦!

次回は彼らの絆が深まり、ステラ・ストップに初客ラッシュが!

私の新作、楽しんでいただけたら嬉しいです!

ブクマやお気に入り、よろしくお願いします!

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