これより、婚約破棄による名誉毀損の裁判を開廷します
※基本的に明るいヤバイ人しかいないよ!
少し遅刻したな。友人に呼ばれて待ち合わせのバーに行くと、相手はカウンターテーブルの端の席に座っていた。
「マスター、ミルクを一杯」
「はいよ」
真っ白いミルクをコップに注ぐマスター。そんな上からじゃなくていいのにな、しかしよく零さないな。
「リカルドお前、ミルクってことは明日は裁判か」
「待ってたぜ、カルレス。好きなものを注文してくれ。自分の金で」
「言われなくても勝手にやるさ。で、話って何だ?」
コイツは学園で同じクラスだった友人で、ロブレード公爵家の末っ子だ。成績が良く、今では裁判官をしている。
俺は隣に座り、白ワインとスペシャルクリームあんみつを注文した。
「実は明日、サンドラ・フォルネル侯爵令嬢の名誉毀損の裁判で、裁判官をやるんだ」
ミルクのグラスを見つめながらこぼされた呟きは、最近よく耳にする名前についてだった。あの注目の裁判の、判事はこいつか。
「あー、あの噂のヤツ。ガビノ・レガスピ伯爵令息が夜会で婚約者であるフォルネル侯爵令嬢に、愛人をいじめたとか、そもそも好みじゃないとか、とんでもない理由で婚約破棄をして、フォルネル侯爵家が激怒した件ね」
三ヶ月前の出来事だが、今でも社交界は大賑わい。その注目の裁判が明日、開廷する。こんな場所にいる場合なのかよ、リカルドは。
「……侯爵は“我が家の名誉を傷つけられた、ガビノ・レガスピを処刑しろ。でなければ裁判官も連座制でクビを並べる”とか、物騒なことを言ってきてるんだよ……」
「え……どんな法律を適用しても、死刑にはならないぞ……」
さすが武闘派貴族の筆頭とも目される、フォルネル侯爵。メチャクチャ怖い。こいつ、明日死ぬかも知れないのか……。
よく見れば、いつも人を食ったような態度なのに、今日はやけにしんみりしてるな。
「確かに僕は、今まで賄賂をもらって判決の参考にしていた。それに僕の夢は裁判で死刑を言い渡すことだ! カッコイイし」
「持つなよ、そんな夢」
「だからって、名誉毀損で死刑は難しいよな。そこでお前の出番だ」
「関わりたくないなあ……。一応聞くけど」
面倒になる予感がする。クソ、暇だからって、誘われても来るんじゃなかったぜ。
「二年前、お前が浮気をした恋人を刺した事件、僕が裁判官だったじゃん? あの時、本当は被害者の父親からアイツを死刑にしてくれって大金を積んで頼まれてて、僕もそのつもりだったんだ」
「え? 急になんに告白? 初耳だし、えげつないな」
コイツ、俺を殺そうとしたクセに、素知らぬ顔で友達を続けてたのかよ。良心はないのか? とんでもない野郎だ。
「友人だから、僕の死刑判決を下す夢を叶える手伝いをしてくれるかなって」
「なんでお前の夢に俺の命をかけるんだよ」
呆れているところに、俺が注文したスペシャルクリームあんみつが届いた。
真ん中に載ってるサクランボのシロップ漬けを一番に食べるのが、俺の流儀だ。リカルドの話を聞きながら、真っ赤な果実を口に含む。
「だが始まった裁判での、お前の伝説の弁論! いかに令嬢を愛していたのか、裏切られたと知った自分の絶望はどれほどだったか、今では深く後悔しているというあの身振り手振りを交えた大げさな話で、被害者の父親まで泣いて“悪いのうちの娘じゃん……”って、被害者家族が彼は無罪だとか言い出したの」
「あんなに上手くいくとは思わなかった」
コイツも感動して「愛に罪はない、無罪に決まっるだろおぉ」って、泣きながら判決を下してたな。
色々な場所に連れて行き、毎回食事を奢って高価なプレゼントまでさせられた挙げ句、二股の浮気相手の方だったんだぞ……。刺しても仕方ないよな。相手も生きてるんだし、良かったじゃないか。
判決を告げる木槌の音で、俺は顔を覆ったまま笑っちまったが。
「“アイツの判決、賄賂次第だ”と言われる僕の裁判で無罪を勝ち取ったあの手腕で、今度は死刑に導いてくれ。カルレス、弁護を引き受けてくれるな?」
弁護させる気かよ、しかも裁判が明日! こいつ、逃げられないようにギリギリまで黙ってたな……!
作戦の立てようもねえよ、断るに決まってる。
「やらないからな、巻き込むなよ! そもそも賄賂次第ってバレまくってんじゃん、そんなだから危険な裁判を回されたんだよ!」
「賄賂を受け取らない裁判官の方が少数派だぞ」
「多数派なら正しいんじゃねえよ」
賄賂まで正当化し始めた。
誰だコイツを裁判官に任命したの。国王陛下だよ、文句のつけようがない。
「そうか、やってくれるか。依頼人はあちらです」
「え、は、ヴゾ!!! フォルネル侯爵、いるの!??」
リカルドが振り向いて示した席には、背を向けて座る侯爵の後ろ姿があった。
侯爵はゆっくりと振り返り、俺を頭からつま先まで眺める。
「……君が娘の弁護を引き受けてくれた、カルレス・ヒネス君だね。よろしく頼む、ぜひパーティー会場で婚約破棄をした不埒者を、処刑台へ送ってくれ。報酬は弾む」
にこりと笑う侯爵の瞳は、一切笑っていない。
ひいいいいぃ、怖い怖い怖い!!! 目付きは鋭いし、ガッチリとした体格で声が低い。
立ち上がるとこれまた身長が高い。こちらへ歩き、俺に片手を差し出してきた。え、なに? どういう意味? あ、握手……?
俺は正しいのか分からないまま手を握り、必死で笑みを浮かべた。
「が、がんばりますぅ……」
分厚い手のひらは硬く、腕も太い。とても力強い。
「……人間には二つの状態しかない。生きている身体と、死んでしまった屍だ。……分かるね?」
「全くですね……」
脅されてる! 意に沿わなければ殺すと言われている……!
リカルドてめえ、のんきにたこ焼き追加してんじゃねえよ!
「早く食べた方がいい、アイスクリームが溶けてしまうよ。ここは私が持つから、いくらでも注文してくれ」
フォルネル侯爵はマスターに、侯爵家に請求するよう告げて出ていった。足音が遠ざかるのを、耳の奥で聞いていた。
「ご馳走さまです」
固まっちまってたぜ、聞こえるか分からないが扉を開ける侯爵に礼を告げる。
侯爵は片手を挙げて出ていった。うおお怖い、聞こえてたぞ。
「やった~、侯爵の奢りじゃん! どんどん食おうぜ!」
「リカルド……お前、どういう神経してんの……?」
あまり食べものが喉を通らない俺の横で、リカルドははふはふと熱そうにたこ焼きを食べ、さらにケバブを追加してた。
このバー、どういうメニュー出してんの……?
「シメは天ぷらそばだよな」
「なんでだよ」
ああ、透明な寒天が胃に優しい。黒蜜の甘さが身に染みるぜ。あんこ、お前は友達だ。溶け出したバニラアイスが全てを包み込む。クリームあんみつは、宇宙の調和を表現する食べものなのだ。
明けて翌日、ついに裁判当日になった。
マジで準備も聞き取りもできずに弁護しなきゃならない。酷すぎる友達を持ったもんだ……。
「これより、ガビノ・レガスピ伯爵令息が、元婚約者サンドラ・フォルネル侯爵令嬢をパーティー会場で婚約破棄し侮辱した、名誉毀損の裁判を開廷します!」
俺はフォルネル侯爵令嬢の横に立っている。柵を挟んで、後ろに侯爵夫妻や関係者が並んでいる。圧がすごい。
ガビノ・レガスピも弁護人を連れていた。あちらも後ろにレガスピ伯爵一門が揃ってる。最初から死にそうな顔をしているのが、伯爵夫妻だ。フォルネル侯爵の恐ろしさを知っていれば、そうなるわな。なんでアホな息子と縁組みしちゃったんだ。
とはいえ俺も、もしもし万が一にも侯爵家から申し入れられたら、お断りできる気がしない。
傍聴席は左右と後ろに、中二階くらいの高さで円形に広がっている。
満席だってさ、大盛況だ。
貴族の裁判は元々、国王陛下が全て請け負っていた。しかしそれでは大変なので、陛下が選んだ裁判官が裁判をし、不服申し立てがあった時のみ陛下が判決を下すことになった。上告してもこれ以上の審議は必要ないとして、棄却される場合もある。
少し前まで自分で弁護する者が多かったが、口の上手い弁護人を雇う場合も増えたな。そのうち弁護も資格が必要になるって話だ。
まずは裁判官が訴状を読み上げ、両者に事実を確認する。
リカルドが立派に見えるのが裁判所マジックだ。
「……以上、両者言い分はあるか?」
「裁判長! 俺と親しい女性を、サンドラが口汚く罵り、ビンタしたんだ! 婚約破棄の原因は、あちらにある!」
「あら、婚約者に色目を使う女を排除するのは当然でしてよ。そちらこそ好みじゃないから婚約破棄なんて、何様のおつもりかしら!」
あああああ、やめてその態度。ビンタしちゃダメだから……!
「フォルネル侯爵令嬢、ビンタをしたのは認めますね」
「認めますわ。武器を使用しなかったんですもの、感謝してほしいわ」
腕を組んで、なんとも堂々とした態度よ。フォルネル侯爵令嬢が睨むと、ガビノは震えて一歩後退った。ビビリのくせに衆目を浴びて婚約破棄なんてしやがって……!
リカルドが“どうすんの……?” という眼差しを向けてくる。どうしようもないぞ、これ……。事前に打ち合わせをさせてくれれば、泣きながらそれっぽい言い訳をしてもらったのに……!
「だからといって、公のパーティー会場で婚約破棄をしていい理由にはならない。その点については、どう考えますか? レガスピ伯爵令息」
「裁判長。……それは反省しています。つい逆上してしまい……、僕の考えが至りませんでした」
うぐぐ、殊勝な態度をしやがって。
相手はしっかり弁護人と相談してきてるな。不利だよ、ホント不利。アイツに反省する脳なんてあるわけないってのに……!
「そもそも婚約を解消してから、新しい恋人を作るべきだったのでは? なぜ、先に婚約の解消をしなかったのですか」
リカルドもガビノを不利にしようと頑張ってるな。さすが死刑判決をしたいだけの男。公平性の欠片もない。
「裁判長! 僕は元々、サンドラとうまくいかないと、彼女に相談していました。浮気とかそういう気持ちではなかったんです。彼女と恋人になりたいと思ったのはつい最近で、両親には婚約解消の話はしてありました」
カンペを読み上げるガビノ。聞かれるだろうと想定してあったか。続いて弁護人が援護をする。
「レガスピ伯爵夫妻は、相談されておりますよね? 家同士の結び付きがあるので、慎重に行動したことが裏目に出てしまったのです」
後ろで縋るように、うんうんと夫妻が繰り返し頷く。
傍聴人も納得してしまってるよ。
なんか愛人の件が、微妙にうやむやにされたような。
「その相談はいつ頃ですか」
「裁判長! 最初は半年ほど前に、軽く」
相手が両親だから、いくらでも偽れるんだよな……。
てかガビノのヤツ、なんで毎回頭に裁判長をつけるの? 枕詞だとでも思ってるのか?
「ところで裁判長。確かにガビノ・レガスピ君はパーティー会場で婚約破棄をしましたし、酷い言い方もしてしまいました。しかしフォルネル侯爵令嬢も、彼女に売女、ロクデナシなどと酷い言葉を浴びせたのです。相殺されるべきではありませんか?」
ついに弁護人が反撃に出た。ここからが勝負だ。
「本当のことを言って、何が悪いんですの?」
ふふんと見下し、堂々とするフォルネル侯爵令嬢。だからその態度は減点なの……! 性格、お父さんに似てるね…。
「……そっちの弁護人は何かないの……?」
リカルドめ、ついにあっちから俺に振ってきたぞ。だがそろそろ頃合いだろう。まずは個人の問題ではなく、家同士の問題だと印象づけて、ことを大きくしなければならない。
「……フォルネル侯爵令嬢にも行き過ぎたところはあったでしょう。それは認めます」
背中から感じるフォルネル侯爵の圧力が強まった。怖い怖い、助けてくれ……! 侯爵一門がざわついてる。
「えー、んんと……。それは侯爵令嬢の非を認めるという意味でしょうか?」
リカルドが怯えた顔をする。
視線は俺を越えて、フォルネル侯爵に向けられていた。どんな表情をしているのか、絶対に振り返れない。石にされそう。
「少々違います。そもそも貴族の婚約とは、お集まりの皆々様もご理解している通りに、家同士の政略に他なりません。今回も両家は共同事業を計画していますし、フォルネル侯爵家はレガスピ伯爵領の武器職人を派遣してもらう約束でした。なので、彼女は侯爵家の一員として、家同士の結びつきに綻びを生もうとする男爵令嬢を、敵として排除しようとしたまでです。それは家の意向であり、侯爵家に生まれた者の純然たるプライドであります」
同調を誘うよう、さも信念があるような神妙な表情をして、堂々と訴えかける。傍聴席の連中は、隣と顔を見合わせたりしている。
フォルネル侯爵令嬢は首を捻っていた。君の感情と違っても、言葉に出さなくていいからね!
「我ら貴族は青い血が流れているとも表現されます。我らが受け継ぐ血脈は、決して情動による判断のみに迷わされぬ、冷静さと矜持を持ち合わせたものです。貴族として戦うのは、その矜持を踏みにじられた時でしょう。フォルネル侯爵令嬢は、婚約を阻害する者を不倶戴天の敵であると考え、己の、ひいては侯爵家の誇りの為に戦ったのです。多少言葉が強くなったのも当然のこと」
俺は傍聴席を端から端まで見回し、語りかけるように片手を伸ばした。
それまでたまにお喋りをしていた傍聴人が静になり、俺の声だけが裁判所にひびいている。
「意義あり! だからといって、売女などという言葉は貴族にふさわしくありません!」
相手の弁護人が必死で食らいついてくるぜ。俺は余裕を演じて笑顔で答えた。
「確かに言葉がキツく感じたかもしれません。しかし古来、矜持を踏みにじられた貴族は決闘を申し込みしました。決闘にはギロチン台まで用意し、負けは死を意味する、厳粛にして残酷なものでした。それに比べて命のやり取りをしない、なんともお優しい心遣いか!」
俺の言葉に、傍聴席ではまたざわざわと意見を交わしている。
「そうそう、昔の決闘裁判はどちらかが死ぬものだった」
「確かに、プライドを傷つけられて怒るのは当然だよな」
「我々とか言ってるけど、アイツって豪商の息子で父親は一代限りの準男爵、本人はなんかの功績で男爵をもらっただけじゃないっけ?」
おい、この場面で俺の素性を話すのはやめろ。雰囲気が崩れるだろ、いいところなんだよ。
「さて、本題は婚約破棄による名誉毀損です。名誉毀損は貴族にとって死に値する罪だと、以上の弁論でご理解いただけたと存じます」
「え、あ、うん、そんな話だった」
トントンと木槌を打ってごまかしている。
リカルドてめえ、ボケッとして本題を忘れてるんじゃねえよ! いいか、命がかかってるんだからな。
「ガビノ・レガスピ氏も婚約破棄をパーティー会場でするにあたって、身命を賭す覚悟であったでしょう。それだけの覚悟を持った彼を、俺は称えたいと思います」
「え? しんめいって命? ……え?」
思いがけない流れに、ガビノが挙動不審だ。頼るように弁護士を振り返る。弁護士も言葉を詰まらせていた。話の流れが想定外になってるんだろう、しめしめ。
レガスピ一門は、終始そわそわしているよ。最初はガビノがよほど心配なのかと考えていたが、彼らが忙しなく様子を探るのはフォルネル侯爵だ。ガビノの生死より、フォルネル侯爵の動向が不安なんだな。侯爵、めっちゃ怖いもんな……。
俺も気合いを入れ直し、弁論の仕上げをする。
「これはつまり、古式ゆかしい決闘裁判の再現なのです。裁判長、フォルネル侯爵令嬢か、レガスピ伯爵令息か……、どちらかに死刑をお与えください。正しい貴族の裁判をなさってください」
傍聴席からは誰からともなく拍手がされて、満場の拍手と歓声になった。
流されやすい人たちって好きさ。フォルネル侯爵が誰より激しく手を叩いている。決闘好きそうだし、だからかなあ。
トントン! 木槌の音が、一際大きく裁判所内に響いた。
「判決! ガビノ・レガスピ伯爵令息に、死刑を言い渡す! 公然で婚約を破棄し、令嬢を侮辱した罪は極刑に値する!!!」
リカルドの夢が叶い、俺たちの命が繋がった瞬間だった。めっちゃドヤ顔してるぞ、アイツ。
裁判所内はかつてないほどの熱気に包まれた。俺が言うのも何だが、大丈夫か傍聴席のヤツらは。死刑とか異常な判決だからな。フォルネル侯爵は勝利の雄叫びを上げ、対照的にレガスピ一門は悲痛な有り様だ。弁護人だけが冷静だった。
俺はフォルネル侯爵令嬢に「あなた、なかなかやるじゃないの」と、褒められたぜ。
ちなみにその後、ガビノ・レガスピは弁護人の勧めで国王陛下に再審を請求し、国王陛下は「これで死刑って重すぎない?」と、禁固五年、罰金百万ダラーと、刑期が終わってからの奉仕活動を言い渡した。これでも十分に重い。元が死刑判決だったので、軽くしにくかったそうだ。
陛下が覆す分には、フォルネル侯爵も文句はないだろう。
「カルレス君、いい弁論だった! 君は本当に素晴らしい!」
「いやあ、侯爵様にご満足いただけて、俺も肩の荷が下りましたよ」
命も助かりました。お金も本当にたくさんもらえた。早速船を貸しきってクルーズしてきたぜ。
「君は見込みのある男だ。サンドラの婚約相手に考えている」
「ほえ? いえいえ、俺は所詮商家の出身ですから、由緒正しい侯爵令嬢様には相応しくありませんよ!」
侯爵家の一員になるなんて、命が縮まる……! 侯爵マジ怖い。
「なかなか気骨のありそうな方ですもの、私は異論ありませんわよ」
「そうか、サンドラ。嬉しいだろう、カルレス君。答えはハイかイエスか?」
両方の肩に手を置かれた。逃げられない。
肯定しかない……! ノーを許さないスタイルだ。うわあああぁ……。
「ありがたく……お受けしますぅ……」
「よろしく頼むよ! これからはパパと呼んでくれ」
なんでパパなんだよ、それは無理だーーー!
侯爵親子は笑っている。
せっかく無事に生き残ったのに、詰んだ……。恨むぞリカルド……!!!
読んでくださり、ありがとうございました!
裁判は詳しくないので、この世界ではこんな感じだと思ってください。
・カルレス…主人公。詐欺師になったら成功するタイプ。コレより先はフォルネル侯爵家の管理下に入ります。侯爵家を継ぐのではなく、侯爵が持ってる子爵位をプレゼントされるよ。
・リカルド…公爵家の末っ子で、国王陛下の親戚。「リカルド君は将来何になりたい?」「裁判官です!」「よし、任命しよう」と、軽く任命されました。任命権が国王陛下にあるので。まさか死刑判決をしたいだけだとは、陛下も知りません。
・レガスピ君ち…ある日フォルネル侯爵家から、「厳正な抽選の結果、息子のガビノ君を娘の婚約者に決定しました」と通知を受け取り、卒倒しかける。息子には「侯爵令嬢を大切に」と口を酸っぱくして言い続けたが、むしろ反発されたっぽい。
・フォルネル侯爵…ハイかイエスか拳しかない人。判決を覆した後、国王陛下は侯爵を宥めるのが大変だったそうな。
・ガビノ君の浮気相手…なんか男爵令嬢。ちなみに裁判で証人として出廷を求められていたが、両親がフォルネル侯爵家を恐れて軟禁してた。お陰で出番なし。今回のできごとで侯爵の怖さを知り、そっとガビノからフェイドアウトしたそうな。