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記録40 ――焔を抱いて

ノクス・ヴェルム編 ついに完結。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

マグマが噴き上がり、黒蝕の巣が悲鳴をあげる。

リングの中心では、ケイとアイ、そしてジョーカーが最後の死闘を繰り広げていた。


アイは全身の駆動機構を超加速させ、超高速で跳ね回る。その軌跡は、もう肉眼では捉えきれない。

対するジョーカーも黒蝕の疑似ワープを駆使し、空間ごと引き裂きながら襲い掛かる。


「クッ……!」

アイの装甲に裂傷が走る。


ケイは即座に地を蹴り、巻き上げたマグマの岩盤でアイの足場を作った。二人は互いを補い合いながら、超常の戦場を生き抜いていた。


(限界が近い……!)

アイの視界に、赤く警告サインが灯る。


《放射エネルギー残存率:19%》

このままではもたない。だが、ここで引くわけにはいかない。


「……まだ、やれるっ!!」


アイが最後の加速に移った瞬間――

ケイの視界が、ジョーカーの挙動にわずかな間を見た。


(――!)

その瞬間、ケイは一気に踏み込んだ。


「アイ!!合わせろ!」

「了解ッ!」

二人の呼吸が完全に同期する。


ケイの能力が閃き、空間を裂き、ジョーカーの動線を断つ。

アイが直後に焼却バーストを叩き込み、その空間ごと吹き飛ばす。


ジョーカーが吠える。

「ぐおおおおおおおッ!!」


二人の連携に黒蝕の再生細胞が――僅かに追いつかない。


(今しかない……!!)

ケイはナイフを逆手に構え――


(リュー、ダグ、ティーラ、カイ、ソラ……みんな……)

脳裏に、仲間たちの顔が一瞬よぎる。


ケイは呼吸を整えながら虚空を見上げた。この星を喰い荒らした黒蝕の巣、その天蓋が破れた穴から、

見えるはずの無い未知なる物質、赤黒い光を反射する燃素(フロギストン)が降り注いでいる――。


(……あれだ)

ケイは、拳を掲げた。


星の胎動に揺れる空間から、微細な粒子を――力で――"掴み取った"。


「ッ……!」

右手に走る火傷の痛み。

だが構わず、そのまま燃素(フロギストン)を圧縮し始めた。


まるで、重力そのものを拳にねじ込むような負荷。

集束した粒子は、徐々に――黒い石へと変わっていく。


ルシアとアイの脳裏には一つの映像が蘇る……。

(……研究棟で見た、あの……)

あの奇妙な黒い塊――

黒蝕実験の副産物であり、惑星を蝕んだ災厄の苗床だったもの。

あれこそが数万年の圧縮塊だったのだ。


ケイの掌で一瞬にして結晶化させた。

その黒い石は脈動する。

その内奥には、星の力すら、時空すら歪める禍々しいエネルギーが渦巻いている。


(これを――ぶつける)

片手にナイフ、片手に燃素(フロギストン)の圧縮塊――。


そして――彼らの『死』を心象へと落とし込んでいく―― あの夜、みんなでランタンを囲んでいた。

ルシアは、父の遺志を継ぐ覚悟を語った。 アエドは若き日を共にしたオデッサへの想いを。 ダグは過去の罪を越えて、誰かを救うために生きると。 カイとティーラは星を捨てず、未来を信じると笑った――それぞれがそれぞれの路を……。


そして――

「おい、ケイ。お前さんはどうだい?」

ランタンの光の中で、アエドが問いかけた。


仲間たちの視線がケイに向けられる。

ケイは、しばらく沈黙した。 目を伏せ火の揺らぎをじっと見つめたまま。


「……オレは……」

その先の言葉を彼は紡ぐことはなかった。


ただ、薄い空気がテントを揺らしていた。


――そして、今。

死地のど真ん中で。 無数の仲間たちが倒れ、溶け、消えていったこの地獄で。


それでも、まだ。

彼らの想いが燃え続けている。


(オレは――)


ケイは、怪しく波紋が揺らめく刃を握りしめた。

足元で蠢く黒蝕を踏みしめ、跳ね上がるマグマを背に、


「――オレは、先に行かせてもらう!!」


その瞬間、彼の腕に蒼白い光が宿った。

世界がきしみ、空間が割れる


「おおおおッ――!!!」

ケイは咆哮と共に、ナイフと超圧縮した燃素(フロギストン)を両手に、最後の弾丸として握りしめた。


視界に映るのはただ一つ――

ジョーカーの鼓動する心臓部。


ケイは、吼えた。

全部(すべて)……断ち切る!!」


刹那―― ケイが振るった刃が、空間を切り裂く。


アイの視界HUDが、警告を乱打した。

《異常検出/解析不能現象発生》


彼女の高密度スキャンですら視認できない。

だが――確かにそこにあるのだ。

通常、生体が損傷すれば細胞レベルで再生が始まる。分子が組み上がり、タンパク質が流れ、骨が蘇る。


だが今――再生が始まる前に絶たれていた。

細胞が再結合しようとする。 分子が寄り集まろうとする。 魂が肉体へ再び宿ろうとする。


その一歩手前――まるで、目には見えない境界線を断ち切った。

再生も、癒着も、繋がりも。すべてが、そこに辿り着く前に――絶たれた。


輪廻(リンネ)の……断絶……」

アイが震える声で、呟いた。


そして、ルシアが。

断ち切った(シェイカー)……」


ダグが呟く……。

輪廻断絶(リンネシェイカー)――」


生命の輪廻ではない。 魂がそれに到達する直前の見えざる糸を、ケイは断ち切ったのだ。


切り裂かれたジョーカーの肉体は、もはや再生しない。

リンネシェイカーによって断絶された肉体は、細胞も、分子も、再び巡ることを許されなかった。

だが――それでもなお。


「グォおおおおおォォォオオオ――――ッ!!」

ジョーカーは咆哮した。


裂かれた肉体の奥から、なおも四方八方に黒蝕の触手を伸ばし、死に物狂いで抗う。

無数の触手が、ケイに向かって殺到する。一条、二条――それどころではない。

空間そのものを埋め尽くすかのように伸びた黒蝕が、ケイの四肢を貫いた。


「――ッ!!」

右腕を貫き、脚を絡め取る。

ヘルメットには亀裂が走り、防護服も悲鳴を上げる。

防護機能は限界を越え、警告音が頭蓋を震わせた。


(こんなもんかよ……)

血が滲み、視界がかすむ。

だが、ケイは歯を食いしばった。


左手に纏った黒い塊――超圧縮された燃素(フロギストン)

それを、いま、叩き込まなければならない。

まるで小さな黒き恒星のように、凝縮された死の結晶。


残された全身の力を振り絞り――這いあがってくるジョーカーのむき出しになった核へ。

「おおおおぉぉ……ぁぁああア゛ア゛ッ!!!」


黒蝕の悲鳴が空間を震わせる。星の血潮――マグマが、さらに一段と噴き上がる。リング状の戦場が、砕け、崩れ、赤黒い光に呑まれていく。


次の瞬間――!


黒蝕の巣ごと、ジョーカーの存在ごと、すべてを吹き飛ばす衝撃がノクス・ヴェルム深層を包み込んだ――。






星が叫ぶような音。

マグマが吹き上がり、黒蝕の巣が内側から爆裂する。リングごと、ジョーカーと核を巻き込んだ超高温のエネルギー波が、すべてを飲み込んだ。


ケイも、その爆風に巻きこまれる。

一瞬だけ、世界が真っ白に染まる。


───…。


何も聞こえない……見えない――ケイは落ちていた。

マグマに包まれた崩壊するリングの中心、もはやどちらが天か地かわからない混沌の中で。


彼の全身は裂け、装甲は砕け、血と汗と焼け焦げた匂いが混じっていた。

意識は、ほとんど途切れていた。


――その身体を、抱きとめた者がいる。

アイ……焦げた装甲を強引に補修しながら、彼女はケイを支えた。


「……ケイ……!!」


彼女のシステムにも、エラー警告が鳴り響いていた。核融合炉の稼働率は、限界を超え、既に壊滅寸前。

それでも、彼女は動いた。


「目を……閉じないで……お願い……」

ケイの肩に手を添え、震える声で呼びかけた。


その顔には、冷たい機械の表情ではない――確かに、痛みと祈りが刻まれていた。


だが、地が鳴る――何かが這い上がってくる気配。


「まさか……そんな、まだ……!」

アイの瞳に、再び立ち上がろうとするジョーカーの影が映る。


半壊した身体、焦げた黒蝕の残骸。それでもなお、足を引きずり滲むマグマの中から這い出そうとする。アイがケイを庇うように身構えた――次の瞬間。



ズ――……圧倒的な気配が、崩壊した繭の中に現れた。



闇よりも黒く、光すら呑み込む影。そして、微かに香る焦げた鉄のような匂い――

漆黒のアーマーを纏った一つの影が、マグマの彼方から静かに歩み寄ってくる。


あの時、研究所の映像に映った衛星が捉えた、黒い閃光。

その存在は、すべての音を、空気を、重力すら支配した。


アイは、何が起きたのかわからなかった。

ほんの一瞬のこと――彼女のセンサーは、何も感知できなかった。


目を凝らした時には、その影はジョーカーの首根っこを掴み上げていた。



「――観測、終了」

漆黒の死神は、静かに呟いた。



「――ジョ……」

ダグが声を発する間もなく。


OOoo――――oonnN――――……

遠吠えの様な異常な音が響き渡り、


ジョーカーの身体が、何の抵抗もなく――消えた。

風のように。

砂のように。

痕跡すら、残さず。


直後、その点から広がる爆発的なソニックブームが巻き起こる。

そして、地殻が割れる轟音と共に、マグマが噴き上がった。

漆黒のアーマーの背に、吹き上がる赤い炎――


まるで、背に()()()を広げた、死神そのものだった。



時が止まったかのような錯覚に陥る程の一瞬、ダグは見た。

消えるその直前、ジョーカーの、いやジョンの口元が動く。

(――お前はいいやつだからさ……)

その瞳は、手を伸ばすゲイリー・ダグラスを見つめていた。


ダグは歯を食いしばり、地面を叩いた。





漆黒の影――断罪の場を静かに見下ろしていた。

まるで、死の審判を告げるかのように。


「貴様……何者だ……」

アエドがかすれた声で問うた。

その体は焼け、喉は潰れ、今にも倒れそうだったが、確かに目を逸らさなかった。


だが、それは答えない。代わりに一歩、地を踏みしめる。


ォン――。


金属の重さと重力の法則が狂ったような音。地面が軋み空間が震える。


「……我々はただ、記録し、残すだけです。抗う者が滅びることを、肯定するわけでもない。否定するわけでもない。この世界の“本来の形”に戻る、その過程を観察させていただきました」


アイが、震える声で訊ねた。

「あなた……ヒトなの……?」


その問いに、黒き影は――初めて、かすかに首を傾げた。

やがて、仮面の下から響いた声は、まるで風そのものだった。


「ここから更に抗うことが出来た時、いずれまたどこかで」

視線が――気絶するケイへと注がれる。

アイが思わず抱きしめるように身を寄せた。

だが、それはもう何も言わない。


そして、漆黒の影はニオイを嗅ぐような仕草をし、辺りを見渡す。

「残り香が……残滓は感じるのです、が……弾けて消えてしまったようですね。これほどのチカラを……」

「……何を言って――?」

アイが呟く。


「あぁ。いえ、お気になさらず。私の目的の1つは完遂しました。……ここはこのまま滅ぶでしょう、あなた方が助かる見込みは1%と無いでしょう。よくぞここまで抗いましたね。素晴らしい……それだけに、惜しいですね。諦めた者たちは生き、抗う者たちは――」


その瞬間――世界が、凍った。

ほんの刹那、ノクス・ヴェルム全体が静止したかのように、時間が軋む。


地殻の亀裂に閃光が走り、地表を覆っていた黒蝕の巣が一斉に焼き払われるように消失していく。

まるでその漆黒の死神が、ただ歩いただけで、その痕跡を否定するかのように。


アイのセンサーは狂ったようにエラーを吐き出した。

《生態情報:全域リセット》

《熱源:観測不能》

《時間軸:ブレイク兆候アリ》


「これ、は……空間ごと……上書きされているような……」


だが、最も異常だったのは――音だった。

すべての音が、しん……と静まり返っている。


「まさか……この現象……『アポステリオリ』……!?」


アイのライブラリに刻まれた記録情報。

理論上、一つの事象が確定する前に、その()()()()()()()だけが存在を持つという異常現象。

「結果だけが残る」――それはつまり、経過という全ての因果を否定する行為だ。


これは――未来からやってきた結果。


そのとき、漆黒の影が振り返った。金属質の仮面の奥、彼の視線は再びケイを見つめた。

アイが動けずにいるその隙に――彼は、霧のように、塵のように、爆裂する地獄の中へと消えた。


……。


──そして、ケイの胸の中で、黒い石がかすかに光を放った。断絶した再生の輪廻、知らぬ間に手の収まっていた核か。


世界は再び、灼熱に包まれた。

崩壊が始まる。

このままでは、アイも、ケイも、ダグたちも、飲まれて終わる――。


だが、そのとき。


「――!通信が通じたッ!」

ルシアの声が響く。

「ロウからの救助艇が来たわ……っ」


アイはケイを抱えながら、急いで走り出す。

負傷した身体を引きずり、満身創痍の仲間たちが、必死に崩落の地獄を突っ切っていく。


生き延びろ――今はそれだけだ。

だが、アイの胸中に一つだけ、拭えぬ疑問があった。


(……あの存在……何だったの?)

(なぜ、ケイを……見ていた……?)

だが答えは出ない。



「ルシア、お前ら!急ぐんだ!!」

アエドが駆け出し、声を張り上げる。

「あの沈む船に乗ろう!まだ生きているかもしれねぇッ……」

彼が指さす先にある、この星の船の墓場。その先に突き刺さるのはジョンの船だった。


「……ああ、ジョン、俺たちは生き残るぞっ……」

ダグが霞む視界の中、アイに抱えられて走り続ける。




同時刻――ノクス・ヴェルム宙域

空間が歪む、その場所から50隻もの大型無人救助船が光と共に現れた。どす黒く渦巻くノクス・ヴェルムの危険空域まで降りていく。そして、シェルターへ無線が入った――。


《こちら、大銀河連盟(ロウ)――無人救助船団――我らが50隻を人口の多いシェルターから順に救助に向かわせる――》


黒蝕の晴れた空にも関わらず、星は黒く厚い雲に覆われ、いたる所で嵐が巻き起こり稲妻が走っていた。





――最下層、崩れ逝く中枢

黒蝕の巣が吹き飛び、地殻そのものが砕け、星の中心からマグマが噴き出している。

ノクス・ヴェルムはもう限界だ。アイはケイを抱きかかえ、ダグの肩を支え空を見据えた。


ルシアの声が、通信越しに響く。

《……みんな、ごめんなさい。先に行って……》

砕けた義足、傷ついた重装は、楔となり彼女をこの星に縛り付けた。


ダグが振り返る。

「ルシア!!――アエドォッ」


《……私はもう、動けません……》

通信の向こうで、ルシアの声が、滅びの音に掻き消えそうだった。

《ルシア……そうか……》

アエドはすぐに戻り彼女を支えるが、彼女はもう動けないことを悟る。


彼女は脚だけでなく、ケイとジョーカーの戦闘の最中、腹部を大きく貫かれていた。滴る血液がアエドの腕を濡らす。

《く……》

アエドはボロボロの重装で踏ん張り、彼女を肩に担ぎゆっくりと歩き始める。


「アイ、戻ってくれっ!二人も一緒に……」

ダグの悲痛な叫びを、アイは目を瞑り振り切る。

「――アイィッ、頼む、頼むっ」


そして、アエドの足場が崩れた。

沈みゆく星の底、炎の中に二人は吸い込まれてく。


《ケイ。アイ。ダグ。……ありがとう。あなたたちが来てくれて、救われたの。だから、お願い――あなたたちは、生きて》


ダグが叫んだ。

「ふざけんな!一緒に帰るって言ったろ!なんであんたらがッ……オレは……!」


ルシアがかぶせるように返した。

《私はこの星のみんなに生きて欲しかったの、だから、あなたたちまで道ずれにするつもりは無いわ》


アエドは確かに笑っていた。

《ああー、お前たち――ダグ、ありがとう。……アイ、ケイが起きたら伝えてくれんか?感謝している。最後に、ちゃんと()()()ことが出来たって先に逝った仲間達に自慢できるわ――》


「……はい。お二人ともありがとうございました」

アイは振り返ることなく、核融合炉を最大限に起動した。


VOOoo……

胸の奥で鳴る、その駆動音は、心臓のように静かに鳴りだした。

その音は彼女にしか聴こえない。

アイはすさまじいパワーでケイとダグを抱え跳躍した。崩れ落ちてくる岩を掛け抜けていく。


《――行ったな》

《……はい、行きましたね》

沈みゆく星の底、ルシアは、アエドの腕の中で、うっすらと笑みを浮かべた。

《……おじい様……》


アエドは、微笑んだ。

その名前は、きっと、遠い昔に失われた親友――オデッサのことだろう。彼女は夢の中で、愛された記憶の中に還っていくのだ。


アエドは、そっとその小さな命を抱きしめた。

まるで、オデッサに「任せろ」と誓うかのように――。


そして、落ちゆく中、アエドは宙から落ちてくる、一枚の写真を手に取った。どこから飛んできたのだろうか、黒蝕にのまれていたこの虚空のなかに、確かにそれはあった。

イーサンがいつも懐にしまっていた家族の写真だった。


そのまま、通信が……ぷつんと途切れた。





――アイは崩れる星の残骸の中、重力に逆らい駆け上がっていく。

坑道網は崩壊し、そこかしこに巨大な穴が開き、惑星は崩れていく。地下から駆け上がること数十分、アマデウスが迎えに来た。


臨界点ギリギリまで降下してきたアマデウスは、落ちてくる巨大な岩から三人を守る。

アイはそこに飛び移り傷ついた二人をシートに座らせ、自身もアマデウスと同調して操作した。


シートに腰かけたダグは、うつむいたまま声を発することもなかった。

ケイは意識を失い、ただただ深い眠りについていた。


アイの捜査するアマデウスは、彼女の超反射により、高速旋回を繰り返し、岩々を裂け続ける。

そして――ものの数秒後、宇宙空間へと飛び出したのだった。


宇宙空間にでると、割れたノクス・ヴェルムは、重力崩壊を引き起こした様に赤黒い雷を光らせ、最期の時を迎えようとしていた。


「アポステリオリ……」

アイは再びそれを口にした。



――それを見守るように、ロウからの大船団が取り囲んでいた。

命は繋がれた。

星に残り最期を共にした者、信念も何もなくただ生き残った者、子どもたちとともに未来を繋ぐ者――。

抗い道を切り開いた者達は『心灯(ヴェル・ユナ)』と共に。


どれだけの者に、伝わっただろうか?

それは誰も知らない。

ノクス・ヴェルム編 エピローグへと繋がります。

よろしくお願いします。

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