木漏れ日がさす大広間
『三角形をふたつ、一筆できなさい』
扉に文字が流れ、そのとなりの地面から平たい石が出てきた。
ぼくたちは相談して、リン姉が石の上に指を置く。
線の途中から三角形を描き、交わる直前に横に動かし逆三角形を作りだす。
リン姉の指がヘキサグラムを描き終えると、扉がゆっくりと開く。
中に広がる大広間には木漏れ日が差し込み、奥にある王冠を輝かせていた。
「あったー!」
ぼくたちの足取りが軽くと当時に、頭上のコウモリさんたちが飛び交う。
コウモリさんたちは大広間に入っていき、王冠を被って宙高く舞い上がる。
「こらー!返しなさーい!」
おとねちゃんがコウモリさんに向け棒を振り回す。
コウモリさんたちはさらに高く飛びあがり、ぼくたちをあざ笑う。
「こうなったら魔法よ!」
宝箱から拾った杖の宝石をリン姉から手渡され、杖のと取り換える。
「あー!もー!コウモリさんたち飛びすぎ!どうしようこのままじゃ――」
狙いをつけようにも王冠のコウモリさんは、図に乗ってあちこちを飛びまわる。
「確かコウモリさんたちは音を出したり聞いたりして動くのよね……なら!」
リン姉はぼくたちの一歩前に出る。
「私が動きを止めるから、アニーちゃんとエリーちゃんは叩き落して」
そう言ってリン姉は、落ち着いた声で言葉の魔法を紡ぎだす。
「氷凍って固まって、動きを止めてコウモリの!」
ドレス姿のリン姉が吹雪を召喚してコウモリさんたちの動きを止める。
「よし!アニーちゃん!」
「うん!おとねちゃん!」
ぼくたちは杖を構え、声をそろえて一緒に音の魔法を紡ぐ。
「コウモリ落とせ!超音波!」
「第二の試験、合格!」
リン姉が目を回しているコウモリさんから王冠を外すと、ダグさんの声が響く。