写真・思い出、アルバムへ
「つり橋……」
強い風でつり橋が揺れる。
どうやって渡ろうかを相談し、それぞれに魔法をかけあうことになった。
ぼくたちは三角の形をとって杖を向けあう。
「奇麗に咲いたその中で、艶やかに咲くアデニウム!」
山頂から見える景色に思いをはせ、花の魔法の言葉を続ける。
「思い一途に咲きほこれ!」
一途な思いを抱いて、韋駄天のごとく山頂へと駆けていく。
「きれいな景色―」
みんなで山頂からの景色を眺めていると、心が安らぐ。
「お花はどれかな……あれだ!」
可憐に咲くニリンソウに駆け寄ると、近くにいた蝶が空に舞う。
「ねえおとねちゃん……」
「うん、リン姉どうしよう」
「魔法を使いすぎちゃったなあ」
ニリンソウとかすかに光る杖を見て、ぼくたちは思案に暮れる。
「そうだ!こんなときこそ魔法だよおとねちゃん!」
お買い物のときの話をして、ぼくとおとねちゃんはリン姉の杖に杖を向ける。
「リン姉、できる?」
「じょぶじょぶ大丈夫。なんとかなるよ。なるなる大丈夫」
ぼくとおとねちゃんへのリン姉の言葉は自分にも言っている感じがした。
「光あわせるチューイング!リン姉だけを高くして!」
音の魔法を使うとぼくたちの杖の光が消え、リン姉の杖だけが光りだす。
「お願い!リン姉!」
ぼくたちの声にリン姉は力強く返事をすると、言葉の魔法を紡ぐ。
「言葉よ言葉、言の葉よ。まわりまわったバトンパス」
リン姉が杖をくるくると回すと、杖の輝きが増していく。
「バトンに受けたこの光、次に渡すはこの花に、二輪に増えて受け取って」
ニリンソウが一輪、空中に舞う。ぼくたちが手にとると雲の世界に戻っていた。
「お母さんお母さん!今日ね今日ね!写真もらったの!」
魔法の授業のあと、ぼくたちに写真を受け取り、それをお母さんに手渡す。
「二人とも楽しそう。いつでも笑顔になれるようにアルバムに入れておくわね」
お部屋でアルバムを開くと、これまでの写真をお母さんと一緒に振り返る。




