表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第3話 雪と蛍と迷宮と
7/100

昨日のことと今日のこと




「えー!おとねちゃんのお兄ちゃん、おじいちゃんと海外に行っちゃったの!?」

 翌日になり杖を持って幼稚園に行くと、玄関でリン姉と会い挨拶を交わす。

 ロップールやポビー、ミュレットはぼくたちの近くを飛んでいる。

 ぼくはおとねちゃんがむすっとしている理由を、リン姉に話し始めた。


「そっかー。アニーちゃんもおとねちゃんもお兄ちゃん大好きだから寂しいよね」

 おじいちゃんは魔法関連の仕事で世界中を飛び回り、たまにぼくたちと遊ぶ。

(大好きなお兄ちゃんの口調をまねると、勇気が出てくる気がするんだ) 

 この話は昨日の昼に急に決まって、食後に食べたケーキのことも思い出す。

(どんぐり粉のイチゴのケーキおいしかったな。おとねちゃんも喜んでいたのに)


 おとねちゃんとリン姉と一緒に廊下(ろうか)を歩き、お部屋に入る。

「向こうに着いたらオンラインって言うので会えるんだって」

 リン姉のおかげでおとねちゃんは落ち着き、ぼくも話し終えられた。

「お城にも行くっていってたもん!私も行きたかったのにー!」

「どんなお城行くの?」

「イングランドの貴婦人のお城ってところ」

 そこはおじいちゃんの生まれ故郷で、ぼくもお父さんもおじいちゃん似と聞く。

 おじいちゃんの白い髪を思い浮かべている隣で、会話が進んでいく。

「だからどんなお城?」

「お話聞く感じだと迷路とか湖とかお庭があってね――」

「お城に迷路?」

「お城のお庭ってお花あるの?」

「え、えーっと……」

 お部屋の子たちがどっとおとねちゃんに集まり、ぼくはリン姉の後ろに隠れた。


「そのお城にはねブドウ園もあって、ワインを作っているのよ」

 ちょうど先生がお部屋に来て、おとねちゃんに代わって説明する。

「おはようございまーす」

 声をそろえてみんなで先生に挨拶する。

「うん。おはようございます。みんな元気に挨拶できたね」


「みんな、杖は持ってきたかな?」

「はーい」

 朝の会で先生がぼくたちに聞いてきて、みんなが元気に返事をした。

「持ってきた杖と昨日みんなが選んだ杖や服、道具とこれから交換するよ」

 再度返事をすると、先生は笑顔で(うなず)いてお部屋の入り口を見る。

「これから杖を作ってきたお兄さんお姉さんを呼ぶよ」

 そういって先生は扉を開けて、廊下にいた人たちをお部屋に招く。


 何人かのお兄さんお姉さんと、園長先生やほかの先生も入ってくる。

「はーい。これから杖を配るから、呼ばれたら取りに来て――」

 説明する声が急に消えた。

 みんなが杖をもらいに一気に集まったのかな、とぼんやり思う。

「昨日のグループの番号を呼びますから、呼んだ人の所に来てください」

 園長先生がお腹を揺らして説明を引き継ぐ。

 

「はい、アニーちゃん。魔法は一回だけ使えますよ」

 園長先生はぼくの名前を呼び、杖を手渡す。

「ありがとうございます」

 杖とコンパクトを受け取って、さっそく着替えることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ